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白面の外套。その隙間から何かが放たれた。
狙いはリンファの上肢。
軌道を遮るものはない。
だが、そのことごとくは、突如、何かに衝突し、その威力を失う。
白面は動じず、もう一度、親指を弾いた。
だが、結果は変わらない。
ベクトルを失った金属球が虚しく地面を転がる。
「何人も我に触れること能わず」
「不可視の壁ですか」
白面は試しにと、天に向かって親指を弾く。
想定通り、放物線は描かれない。
一定の距離を進んだ後、衝突し、軌道を変える。
そこにも何かがあった。
「何人も我から逃れること能わず」
「既に囚われていると」
白面に焦りはない。
指弾は、攻撃ではなく、牽制である。
そも殺傷力などはなく、防がれたところで、どうということはない。
相手の異能に探りを入れるための一つの手段として、これを使っている。
とはいえ、全てが想定通りというわけでもない。
「これは厄介ですね」
言いながら、白面は跳んだ。
外套の中で打槍を握り、不可視の境界へと叩きつける。
衝撃が返り、腕を軋ませる。
二度、三度と打ち込むが、破れない。
「諦めろ」
リンファは、腕を組み昂然と宣告する。
「私の攻撃が通じないことはわかりました。
ですが、貴方も攻撃ができないのではありませんか?」
「そう思うか?」
リンファの視線。
それを追い、白面は察する。
リンファは、白面の手元を視ていた。
手を引くが、間に合わない。
「くっ!」
突如、不可視の境界が新たに現出する。
空間を分断する法則を無視した力に抗う術はない。
打槍の先端がこぼれるように落ち、乾いた音を立てる。
白面は後ろに跳び、体勢を立て直す。
身体に傷はない。
だが、手にしていた打槍は、その半ばで消失していた。
「壁を創ることで、そこにあるものを切断できるといったところですか。
正に攻防一体」
「投降する気になったか?」
「強力無比な異能を自在に使いこなしている。ですが」
白面は、ゆらりと体勢を直し、そして、言葉を接いだ。
「まだまだですね」




