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夜明けのソラの契承者 封印楽園都市  作者: やたか なつき
二章
21/34


 白面の外套。その隙間から何かが放たれた。

狙いはリンファの上肢。

軌道を遮るものはない。

だが、そのことごとくは、突如、何かに衝突し、その威力を失う。

 白面は動じず、もう一度、親指を弾いた。

だが、結果は変わらない。

ベクトルを失った金属球が虚しく地面を転がる。

「何人も我に触れること能わず」

「不可視の壁ですか」

 白面は試しにと、天に向かって親指を弾く。

想定通り、放物線は描かれない。

一定の距離を進んだ後、衝突し、軌道を変える。

そこにも何かがあった。

「何人も我から逃れること能わず」

「既に囚われていると」

 白面に焦りはない。

指弾は、攻撃ではなく、牽制である。

そも殺傷力などはなく、防がれたところで、どうということはない。

相手の異能に探りを入れるための一つの手段として、これを使っている。

とはいえ、全てが想定通りというわけでもない。

「これは厄介ですね」

 言いながら、白面は跳んだ。

外套の中で打槍を握り、不可視の境界へと叩きつける。

衝撃が返り、腕を軋ませる。

二度、三度と打ち込むが、破れない。

「諦めろ」

 リンファは、腕を組み昂然と宣告する。

「私の攻撃が通じないことはわかりました。

ですが、貴方も攻撃ができないのではありませんか?」

「そう思うか?」

 リンファの視線。

それを追い、白面は察する。

リンファは、白面の手元を視ていた。

手を引くが、間に合わない。

「くっ!」

 突如、不可視の境界が新たに現出する。

空間を分断する法則を無視した力に抗う術はない。

打槍の先端がこぼれるように落ち、乾いた音を立てる。

白面は後ろに跳び、体勢を立て直す。

身体に傷はない。

だが、手にしていた打槍は、その半ばで消失していた。

「壁を創ることで、そこにあるものを切断できるといったところですか。

正に攻防一体」

「投降する気になったか?」

「強力無比な異能を自在に使いこなしている。ですが」

 白面は、ゆらりと体勢を直し、そして、言葉を接いだ。

「まだまだですね」

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