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075:アンジュたちが色々やってた頃、タケルたちは……

「さて……と」


 アンジュたち3人が何だかコソコソしているようだが、レンが一緒なら暴走することはないだろうし、それに俺は今それどころではないのである。


 話は一昨日の夜にまでさかのぼる。



………

……



『グッドラック!』


「何がだよっ!?」


 俺のツッコミをスルーしたまま、アンジュはロロと仲良く出て行ってしまった。


「ったく、よくわかんねーな。……まあいいや、おーいリーリア~」


 俺はリーリアの寝室のドアをノックした。


「ファッ!? たったたたたたたっタケルさんっっっ!!?」


 ドアの向こうからドッタンバッタンひっくり返る音が聞こえてきた。

 一体何事だというのだろう。


「何かすげー叫び声が聞こえてきたけど、大丈夫かー?」


 ドア越しに問いかけると、少し間が開いてから「大丈夫ですっ!」と聞こえてきた。

 確か、大丈夫かと質問されて大丈夫だと答える人は、何か問題を抱えているとか聞いたことがあるけど、一体どうしたもんかな。


「何か悩んでいるなら相談に乗るぞー?」


「なっ、ななっ、悩みなんてありませんともォっ!」


 露骨に悩みありそうだなぁ。

 何だか口調も変だし。

 そんなコトを考えながらドアの前で立ち尽くしていると、再びリーリアが口を開いた。


「明日……は、お母様の手伝いで無理なので……明後日っ! 明後日、一緒にどこか出かけませんかっ!? えっと、二人でっ……!!!」


 いきなりデートのお誘いキターーーーーーっ!?


「あ、ああ、分かった……」


 あまりに唐突過ぎて俺も混乱しているが、とりあえず気を取り直して答えた。

 い、一体どういう展開だコレ???



……

………



 というわけで、買い出しなどの目的を持たないままリーリアとお出かけでございますよ。

 むむ、こういう時は俺がしっかりエスコートしなければ好感度が下がる的なイベントとかそういうヤツなのだろうか。


 しかし、屋敷に泊めてもらうために何度もこの街には来ているものの、正直なところ買い出し以外で街を散策したことは無いし、この街の観光名所が何なのかすら知らない。

 旅行ガイドブックやらの便利アイテムが平然と売られているマイア大陸とは違って、こちらの国ではそう言った文化は無いため、何も参考になるものが無いのである。


 と言うわけで、何もプランを考えないまま今日に至る。

 もうどうにでもなーれ~~~。


「お待たせしました……」


 部屋から出てきたリーリアは、いつもの長距離旅用のラフな姿ではなく、いわゆる「良いトコの令嬢」っぽい服……というか、初めて屋敷の前で会った時の格好だ。


「……えーっと、俺いつもの服装なのだけど、不釣り合いじゃね?」


 ついつい正直な意見を伝えると、リーリアは少し笑う。


「タケルさんはそういう事をあまり気にされないと思っていたので、ちょっと意外です」


「なんだよー、さすがに俺だってそういうコトくらいは気にするぞー」


 俺が少し不満そうにぶーぶー言うと、リーリアはさらに楽しそうに笑った。



◇◇



 俺たちはデート……というか長年連れ添った老夫婦のように、何かするわけでもなく街中をゆっくりと歩いていた。

 まあ、ショッピングで店をハシゴされてぐったり~…な展開じゃなくて良かった良かった。

 エアリオなんて、あの性格に似合わずショッピングだけは驚くほど優柔不断で、同じ店を何度も出たり入ったりした挙げ句『魔王様は何を買うべきだと思いますかっ!?』とか聞いてくる始末だった。


 ただ、街を歩いていて唯一気になるのは……リーリアに対する民衆の視線だ。

 幼い頃に木刀で何かやらかしたり、数ヶ月前にも炎の悪魔(に化けたエアリオ)と、死神(っぽさを大幅強化したメリーザ)を土下座させて懇々と説教する姿を目撃されて噂が拡散されたと言っても、さすがにそれだけとは思えないほどに民衆の目線は……よそよそしいというか、露骨に目を逸らしているのは火を見るより明らかだ。


「……そんな怖い顔をしちゃダメですよ」


 街人の挙動をチェックしていた俺の表情で内心を察したのか、リーリアは人差し指で俺の鼻をツンとつついた。


「でもさ、リーリアがそんなふうに見られるのは何か嫌なんだよ。見ず知らずの俺とアンジュに声をかけてくれたり、いつも陰ながら皆を支えてくれたり……。なのに無関係なヤツらが勝手にリーリアを悪く思うのがムカついてさぁ」


 俺が先ほどよりもさらに不満そうにぶーぶーとぼやくと、リーリアは少し寂しそうに微笑んだ。


「……私は、えっとですね。その……ハーフエルフですので。さすがに……ですね」


 その言葉に俺はハッとなる。


 初対面で俺とアンジュを食事に誘ってくれたとき、リーリアは人間とエルフである両親が結ばれたコトを素敵だと言い、自分もそうなりたいと誇らしそうに言っていたものの、「自分がどうだったか」なんて一言も言っていない。


 かつてメリーザが助けたリュート王国のユリアンナ王女だって、髪色が紫だという外見の理由だけで迫害を恐れて姿を隠し続けたのだ。

 異世界だからと言って、人類皆友達♪ のようなお花畑なわけがない。

 リーリアが子供の頃にヤンチャだったから民衆との関係がギクシャクしていると勘違いしていたけど、まさかこんな根本的なコトを見逃していたとは……。


「それでもやっぱ気に入らねえ。ハーフエルフだから何だって……」


 俺が本気で不満そうに吐き捨てるように言ったその時……!



【システムコンソール 緊急起動!】



「うぉわぁっ!? ……いきなり勝手に起動とか珍しいな。ったく、周りに人が居なくて良かったよ……」


 かと言って人が通りすがるとも限らないので、俺とリーリアはコソコソと物陰に身を潜めた。

 しばらくするとシステムコンソールにいつもとは違うメッセージが表示され、アナウンスが開始された。



【フラグ回収イベントの条件が変更されました】

 「Flag No.22:身分差に悩む令嬢の恋を叶えよ」フラグ回収クエストが第三者により条件が達成されました。フラグ回収条件を次の通り変更します。


変更後クエスト

『Flag No.22 (緊急)原因不明の病に倒れた少女を救え!』



「「え゛……」」


 システムコンソールから聞こえてきた突然のアナウンスに俺とリーリアは固まった。


「え、な、なんです今のはっ!???」


 リーリアが俺の顔を見ながらアワアワしているが、俺も内心は超絶に焦っている。

 つーか、第三者によってフラグが回収なんて、そんなことありえるのかっ!?


 ……と、ここでひとつの可能性が頭を過ぎった。

 俺の苦言に対してヤレヤレのポーズをしながら自信ありげに呟いたあのバカ天使の言葉。



『乙女のプライバシーに関わるコトだから、タケルは付いてこないでね』



アンジュかあああああああああぁっ!!!」


 そして俺が叫ぶと同時に、バタリと倒れた少女の姿が見えた。

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