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067:初のエルフ登場!…と思ったけどリーリア母もエルフでした

「ソロモン……じゃなくて、雪国サンタールよ……私は帰ってきた!!」


 轟々(ごうごう)と吹き荒れる嵐の中、俺は手を広げ叫んでいた。


『どうして魔王様はあんなに嬉しそうなのでしょう……?』


 雪を見たらテンションが上がるからさ!


「まあ、私もわらべの頃は冬が楽しみでしたから。タケル様の気持ちはとても分かりますっ」


 ニコニコ笑顔のレンだが、その言い方だと俺が子供っぽいという意味になってしまうので、ごく自然にディスられた感がちょっと気になるよ。


「俺はもともと暖かい地域に住んでたからな。こんなに雪が降り積もるようなコトは滅多に無かったんだよ」


 異世界に来る前に住んでたアパートは、雪どころか雨すら足りなくて断水しちゃったりする地域にあったので、ホントこんな雪を見ることは無かったんだよなぁ。


「まあ、外でずっと遊んでても風邪引いちまいそうだし、さっさと町に入るかなー」


 そして俺たちは雪の降る中を歩いて三日ぶりに雪の町サンタールへやってきた。



<雪の町 サンタール ……の冒険者ギルド>



「んで、久しぶりのギルドですよ。今度のジョ○イさんは一体どんな人だろうなー……。今度こそ驚かないぞっ!」


『そのパターンはもう聞き飽きたよ……。どうせまた驚愕するコトになるんだから下手なこと言わないほうがいいよぅ』


 アンジュに諭されながらも俺は驚かないと改めて誓ってから拳を握った。

 警戒しながらギルドに入り、受付カウンターに行くと……居たぁっ!

 服も顔もいつも見慣れたおねーさんだ!!


「いらっしゃいませぇ~。何のご用事でしょう~?」


 いつもの笑顔で話しかけられた俺は、いつも通りフラグ回収のヒントを求める質問をする。


「この近くに住んでいる方と思うんですが、氷の魔女をご存じですか?」


「氷の魔女の肩書きであれば、ルルーさんの事ですね~。当ギルドにご登録頂いております」


「魔女でその名前……実は魔法より格闘が得意だったりしませんかね?」


「い、いえっ。そんな風には見えませんが……。とても小柄な方ですし」


 ふむ、ルルーという名で魔女……うん。


『タケルが意味不明なコト言ってるのは気にしなくて良いから、どこに行けばそのルルーって人に会えるか教えてくれる?』


 うーむ、名前に気を取られているうちにアンジュに話を進められてしまった。


「えーっと、ルルーさんはヒトでは無いのですけど、この町から東にある針葉樹の森にある一軒家に暮らしてますね」


「ヒトではない???」


「あ、はい。彼女はエルフなのですよ。人里近くで暮らしているので、同胞からは変わり者扱いされてるらしいのですが」


『へぇー、この辺にエルフが暮らしてるとかホント変わり者だね~』


「そういうもんなのか???」


 俺の質問に、エアリオがコクコクと頷いた。


『ここからダークエルフの森まで近すぎますから。エルフとダークエルフは決して仲が悪いわけではないのですが、暗黙の了解として、互いに干渉し過ぎないように住処を遠く離す傾向にあるのです』


「なるほどねぇ。しかもギルド登録しているということは、人間と一緒に行動するコトも多そうだもんなー」


『それも普通はありえない事ですね。本来はエルフ族が人間と共に行動するだけでも変人扱いですから……はっ!?』


 エアリオがハッとしたあと、恐る恐るリーリアの方を見ると……ニコニコと笑っていた。


「……また口を滑らせたと思って、焦っているでしょ~? 大丈夫ですよ、私の父と母がそれを乗り越えて結婚したのを知っているからこそ、私は種族を越えた絆に憧れているのですよ♪」


 そう言って俺の方を向いて再び嬉しそうに笑い、それを見たエアリオとメリーザがちょっとムッとした顔をしている。

 ちなみにアンジュは『よきかなよきかな』とか言ってる……何だオマエ。


「んじゃ、ルルーさんの家を目指して出発しますかね。……ところで、貴女は他の街のギルド受付の方々とはどういった関係でしょう?」


「はい、私はリュート支部のギルド受付員から見ておいにあたります」


「なるほど、リュート支部の……ん???」


 おいとは……兄弟または姉妹の……息子。


「………」『………』


 俺たちはしばらく無言のまま固まった後、軽く会釈をしてギルドを出発した。



◇◇



「やっべぇ、まさかの男のだったよ。こんなのアリかよ……」


『さすがの私も驚いたよ。あんな可愛い子にチンチン付いてるなんて……』


 チンチン言うな。


「ま、まあ気を取り直して、ルルーさんの家を目指そう……」


 前回の反省を踏まえて、今回は防寒対策フル装備で俺達は雪原に挑んでいる。

 アンジュは羽を折り畳んで頭の上からフードを被っているが、正直いつもの姿よりこっちのほうがアサシンっぽくて似合っていると思う。


『私の姿を見ながら微笑むのやめてほしいんだけど……』


「いや、似合ってるなーっと」


 俺の褒め言葉に対して露骨に嫌そうな顔をしたアンジュは、再び前を向いてトボトボと雪道を歩き出した。


『それにしても不思議だね』


 突然ロロが口を開いた。


「『何が???』 」


 俺とアンジュが同時に反応すると、ロロはニヤリと笑う。


『ボクは感情の動きや魔力の流れなどを"色"として感知できるのだけど、ヘタレちゃんはタケルと話してる時、いつも凄く嬉しそうな色をしているんだよ。でも、口からは罵詈雑言ばかり出てくるから、不思議でねぇ。あ、どちらかというと嬉しそうというより好kムグググゥゥ~~』


 ロロがさらっと重要なコトを言ったような気がするけど、アンジュが手をバタバタしながらロロの口を塞ぎにかかった。


「まあ、アンジュちゃんはなかなか素直になれない子なので……」


『その立ち位置はなかなか面倒臭そうだ』


『重度の天邪鬼あまのじゃくですわね』


『我らのライバルにはまだまだほど遠いにゃー』


「でもたまには素直になった方が良いですよ?」



『うるせえええええええええええええっ!!!』



 仲間たちに囲まれたアンジュは叫びながらダッシュで雪道を駆け抜けて……あっ、転んだ。

 まあ、俺も正直アンジュの性格は結構好きなので助かっているけども。

 ……あっ、毒舌はさすがに治した方が良いと思ってるよ?



◇◇



 というわけで……デカい洋館の前にやってきました。


「雪の中に突如現れる洋館とか、これ見よがしに魔女の館です! って言ってるようなもんだな」


『建物でっかー。コレ独りで掃除するの凄く大変そうだ』


『エルフの魔法は存じませんけど、ほうきが勝手に掃除してくれたりとか、そんなイメージがありますわ』


『メリーザは時々、夢見る少女的な発想をするね。そんな魔法があればボクも是非ご教示願いたいところだね』


 ワイワイと屋敷について語りながら、俺は大きな門についた輪っか(名前知りません)をガンガンとやった。

 しばらくすると門の向こうからトトトトトッと小さな走り音が聞こえてきてから、ガチャリと門が開いた。


『あのぅ、どちらさまですか~?』


 中から出てきたのは、とても色白で耳がツンツンしたおねーさんでした。


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