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055:これでリーリアもフラグが立ちます

「さーて、どうしたものかなー」


 神都ポートリア滞在3日目。

 目的のフラグ回収も済んだことだし、そろそろリュート王国に戻って東の山脈を越えたいところだが、俺は「約束」を守るためリーリアと二人で街に出ていた。


「~♪」


 リーリアはとってもご機嫌さんだ。


「買い物に行くだけなのに、ずいぶんと嬉しそうだな」


「ふふふ。いつもは単なる生活用品の買い物ですけど、今日みたいにプレゼントを買ってもらうために街を歩くなんて、生まれて初めてですからね~」


 そう言いながらリーリアは苦笑した。

 確かに、領主の娘に贈り物をするとなると政治的な意味合いが強くなるし、それで届くモノはお偉いさんのメンツを保てるような、ありきたりなものばかりになるだろう。

 だからこそ、リーリアにとっては「自分のための贈り物」が何よりも嬉しいわけで、何とも貴族ならではといった感じの悩みである。


 ……そもそも、根本的にリーリアが俺たち以外と全く人付き合いのない「ぼっち」だという問題点もあるのだけど、いずれ領主的な立場になるまでに、どうにか解決してあげたいところだ。


「それにしても、アイツらが自主的に留守番すると言い出したのは驚いたなぁ」


 以前、メリーザがユリアンナ王女の代わりに演説をしたときも似たような展開だったが、あの時はリーリアが留守番で皆を見張っててくれたので安心していたけど、今回はストップ役がレンしか居ない状況なので、さすがに力不足は否めない。

 そんなコトを考えている俺を見て、再びリーリアは嬉しそうに笑った。


「タケルさんがどんなエスコートをしてくれるのか、とっても楽しみです」


「おいおい、頼むからハードル上げないでくれよっ!」



~~



『……というわけで、二人イチャイチャしやがってるわけだが!』


わたくしたちが黙って留守番するわけもなく!』


『私の恋愛成就のステータスアップのために頑張れ若者よっ!』


『尾行大作戦にゃりよーーーっ!!』


「いいのかなぁ~……」


 一応、皆の後ろをついて行っているものの、何だか後ろめたい気分だ。


『レンちょんはもうちょっとグイグイ行かないと、ヒロイン枠を脱落してモブ枠になっちゃうにゃりよっ!』


 モブって何だろう?


『にゃーは不服にゃりよ!! ここしばらく、ずーーーーっと人前ばっかに居たせいで、ひたすら無言!! ストレス溜まってしかたにゃいんよ!!』


 そういえば、セイントブラッドや可憐庭かれんていで全くにゃんこさんの声を聞かないと思ってたけど、リベカさんやカレンさんの居る手前、喋るわけにはいかなくて、ずっと黙っていたのか……。


『しっ、お前らうるさすぎだ。気付かれちまうだろっ』


 うーん、エアリオに怒られてしまった。


『ふたりがお店に入りましたわっ!』


 メリーザの合図で皆が素早く集まり、店に入っていった。



 ……と思ったら、すぐに出てきた。


「早かったですね。どうしました?」


 私が問いかけると、にゃんこさんが悲しそうに呟いた。


「ペット禁止……」


 あーー……。



~~



 結局、買うものが決められないまま、俺とリーリアは例のお店にやってきた。


「いらっしゃいませ~。あら、今日は二人なのねぇ」


「昨日は何だかんだ店で騒いだ挙げ句、結局リボンしか買わなかったんで……」


 というわけで、昨日に危うく爆破解体されそうになった可憐庭かれんていにやってきた。


 メリーザ曰く、目の前のおねーさんの正体が獣神ティーダらしいのだけど、追求してもロクなことが無さそうなので黙っておくことにする。

 だって、俺自身が身バレのショックで死んじゃったわけだしね。

 匿名性というのは、とても大事なのだよ、うん。


 ……って、よくよく考えたら、カレンさんも例に漏れず心読めるんじゃねっ!?


 モノは試しと、ひたすら心の中で人には言えないあんなコトやこんなコト! 危うくノクターン送りにされるほどに大変危険なモノを妄想しながら、カレンさんをじっと見つめてみた。


「タケルくん? な、なんかヘンな顔してるけど、どうしたのかな~?」


 良かった、カレンさんはそんなチート能力を持ってないらしい!

 ほっと一安心して、何気なく後ろのリーリアの方へ振り向くと……


『……うっへぇ』


 すっごいドン引きな顔で固まってるフィーネさんが突っ立っていた。

 俺が一歩踏み出すと、それに合わせて一歩後退りされた。


『……野菜をそういう使い方しちゃダメだと思いますけど』


 ヴァアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!

 超恥ずかしいィィィィィィィィ!!!!

 どうすれば良いっ!? どうすればいいのっ!!?


『笑えばいいと思うよ』


「アンタなんでその言い回し知ってるんだよっ!!」



◇◇



『なるほど、リーリアさんにお詫びも兼ねてプレゼントですか。それは殊勝な心がけですねっ。私としては、この世界の住民が一人でも増えてくれれば、それ以上喜ばしいことはありませんので。しっかりと夜の方、頑張ってくださいね』


「前々から気になってたんですが、天界関係者はもう少しマイルドにその辺を表現できないものですかね?」


 俺が不満そうにぼやくと、フィーネさんはそれとは対照的に、楽しそうに笑った。


『ふふふ。それじゃ、ごゆっくり~』


 フィーネさんはニコニコ笑顔のまま俺たちにウインクをすると、それからカレンさんに軽くバイバイと手振ってから、お店を出て行った。


「と、とりあえず何が良いかなぁ?」


「な、何にしましょうー?」


 何とも言えない空気の中、俺とリーリアは商品棚を眺めていた。



~~



『なんだいなんだいっ! あのふたりは結局ココで買うことにしたのかよぅ! 全く若者のくせに、冒険心ってモンが足りないねっ! せっかくの海外旅行なのに、世界的チェーン店でハンバーガー食うくらい冒険心が欠如してるよっ!』


 アンジュさんがやさぐれながら不満そうに文句を垂れている。


『よくわからねーけど、お前が期待した展開じゃないということは理解したよ』


 エアリオが溜め息を吐きながら、ぼーっと可憐庭かれんていを眺めていると、中から見覚えのある姿が出てきた。


「フィーネさんっ」


 私が声をかけると、少し笑いながらこちらにやってきた。


『皆さん、若い二人の恋路が気になって仕方ないみたいですね~』


「私は尾行するのはどうかと思ってるのですけどね」


 私が苦笑しながらフィーネさんに話しかけると、続いて皆も集まってきた。


『これは私が神になるにあたって、とても重要なプロセスなのですよっ!』


 うーん、アンジュさん必死だ……。

 他の面々もタケル様とリーリアさんの様子が気になるらしく、お店の周りを彷徨うろついて居る姿がとても怪しい。


『おっ、魔王様たちが出てきたっ!』


 エアリオが慌てて皆を建物の陰にいざなうので、それに従って隠れた。


『手荷物は……何もありませんわね』


『レンちょんの働いてた店で服でも買うのかにゃー?』


「えっ、今日はお休みだからお店が開いてないですよっ」


『えええーー。一体、どういうコトなんだよぅ……』


 結局、その後も尾行を続けたものの、最後にパン屋さんに寄っただけで、そのまま宿に戻ってきてしまった。



~~



『つまんないつまんないつまんなーいっ!』


 アンジュが手足をバタバタして暴れている。


「ったく、やっぱり皆で尾行してやがったな。お前らがこんな状況で、大人しくしてるはずがないと思ってたんだよ!」


 俺が呆れながら言うと、エアリオとメリーザとクローが目を逸らした。


「わ、私は……」


「ああ、レンは心配して付いてきただけだろ。お前は信用してるから気にすんな」


 ほっとした表情を浮かべるレンだったが、それを不服に思ったエアリオとメリーザがレンに飛びかかった!


『このよい子ちゃんがああああぁ!!!』


『ここで脱がして外に放り出してやりますわっ!』


「たーすーけーてーーーーっ!!」


「やめんかお前らっ!」


 俺はエアリオとメリーザの首根っこを掴んで、ポイッと放り投げた。

 そんな俺を優しく眺めるのは……


「ふふふ、今日は楽しかったですねっ」


「ああ、満足頂けて何よりだよ」


 ちょっと格好つけながら俺はシステムコンソールのステータス表示を開いた。



-----

NAME:Ange

TYPE:Angel

HP:1709 SP:1094

STR:1 AGI:1 VIT:55 INT:75 DEX:1 LUK:1

GOLD:0

ITEM

 恋愛成就のショートボウ

 天使のローブ

 天使のリング

-----



 やっぱり、また強くなってる……。


「まあ、何となく仕組みが分かったわ」


 首を傾げながらパンを頬張るアンジュの頭をガシガシ撫でてやった。


「ふふふ。本当にありがとうございました」


 リーリアはネックレスに付いた小さな指輪を指先で触れながら、再び嬉しそうに笑った。




Next FLAG ..

No.16 マウティ山に隠された秘宝を発見する!

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