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052:お察しの通り今回のシリーズはリーリアがヒロインです

 店の中はまさに夢の国といった様相で、女性向け商品が所狭しと並べられており、男一人では絶対に入れなさそうな雰囲気が漂っていた。

 リーリアとメリーザは目を輝かせて商品に夢中になっているが、その一方で、この店の魅力を理解できない二人は困惑している様子だ。


『わかんねぇ……可愛い……のか?』


 エアリオはシュシュを指でびよんびよんと伸ばしたり縮めたりしている。


『可愛いとは思うけど、私のキャラじゃないねー』


 一張羅の白ローブと頭の輪っか装備オンリーのアンジュは、そもそもアクセサリに全く興味が無いみたいだ。


『私の可愛さはシンプルイズベスト! 余計なモノは必要ないのさっ!』


「お前、ワラントで俺の犬耳帽子を被ってただろ……」


 俺が呆れ顔で突っ込むと、少し不満そうな顔で頬を膨らした。


「アレは周りの視線が怖かっただけだよぅ! だってほらっ!」


 そう言うとアンジュは、大きな赤いリボンの髪飾りを手にとり、自分の後頭部にくっつける。


『私こういうの似合わないでしょっ?』


「「ふつうに似合ってるよ?」」


 俺とリーリアのコメントが完璧にハモり、アンジュは顔を真っ赤にしながら手をバタバタし始めた。


『そそそそっ、そんなことっ!』


「ん~。アンジュさん、宜しければプレゼントしましょうか?」


 リーリアがまるで天使のような微笑みで、リアル天使に慈悲の言葉を放つ!


『はっうっあっ!』


 変な声を出して俯いた後、俺の方をすがるように見つめてきた。

 コイツにしては珍しい反応だし、せっかくなので追撃しておこう。


「せっかくリーリアに似合ってるって言ってもらえたんだから、こういう時は素直に受け取るのも礼儀だぞ?」


 というわけでアンジュの手からリボンの髪飾りをヒョイと取った俺は会計カウンターに向かった。

 あ、ちなみに代金は俺とリーリアで半分ずつ出すことにしたよっ。


 カウンターの前で待っていると、入り口でお客さんを見送った終わったばかりの店員さんが慌てて走って戻ってきて、こちらにペコリと頭を下げた。


「お待たせして申し訳ありません~。可憐庭かれんていへようこそ~」


 にこやかに俺の顔を見た店員さんは、チラリと俺の左下に目線をやると……笑顔のまま真っ青になり、直立姿勢のまま真横に倒れた!!


「だ、大丈夫ですかっ!!?」


 リーリアが駆け寄るも、その姿を見るや否や顔色が赤くなったり青くなったりして、ただ事では無い様子に俺たちもパニックに陥る!


「はっ、はひゅっ! ひゅっ!」


「どうしましょうっ!? かかかか、過呼吸ですっ! 店員さんがっ!! あわわわーーっ! どうしましょうーーっ!!」


『ふ、袋を頭から……!』


「それはガセネタだからやっちゃダメ、ゼッタイ!!」


 どこでそんなコトを知ったのか、ペーパーバック法を試そうとするアンジュの首根っこを掴みながら、店員さんの背中をさする俺。


『息を整えるんだよっ! ひっひっふー……!』


 何か色々と間違っている呼吸法を伝えるアンジュにチョップしつつ、ゆっくり息を吐くように指示しながら介抱していると、店員さんの顔色が落ち着いてきた。


「ハァハァ……も、申し訳ありませんお客様……」


「い、いえ、私たちは大丈夫なのですけど……むしろ、貴女のお身体は大丈夫ですか?」


「アッハイ、おかげさまで……」


 俺とリーリアの左肩あたりをすんごいチラチラ見てるのだけど、この人は一体何をしているのだろうか……?


「改めまして、いらっしゃいませお客様。私は可憐庭の店主をしております、カレンと申します……」


 え、店主だったのっ!?

 ……この店、ホントに大丈夫なのかなぁ。

 怪訝な顔でカレンさんを見ていると、さらにとんでもない追撃をぶっ放してきた。


「あの失礼ですが……男性ですよね?」


 この人、病院に連れて行った方が良いんじゃなかろうか。


「俺、さすがに女性に間違われたの初めてなんですけど、どこでそう判断しました?」


「あっ、いえっ。なんかそんな雰囲気が……」


 え、雰囲気???

 俺のどこにそんな要素が……?


『うわっ、まさかオネエだったのっ!? このハーレム環境にも関わらず一人も食ってないのはそれが理由か……』


「お前は黙ってろクソ天使がっ!!」


 アンジュの頬をぐにょーんと引っ張りながら、俺は風評被害を最小限に留めるために、さっさと話題を変えることにする。


「まあ、そんなコトはどうでも良いよ。このリボンを、そこのチビッ子のプレゼント用に買うんで会計お願いします」


「あっ、余計なこと言っちゃってすみませんっ! 1つ12000ボニーになりますっ」


 会計を済ませた俺は、そのままアンジュの頭にポフッとリボンの髪飾りを乗っけてやった。


「これでよし、なかなか似合うじゃないか」


「ですねー、可愛いですよアンジュさん♪」


 俺とリーリアに褒められて満更でもないのか、照れながらエヘヘヘヘ~と笑うアンジュ。

 それを見たカレンさんがリーリアを見て不思議そうな顔をした。


「貴女はプレゼントを貰わなくて良いのですか?」


「え、私がですか? えーっと、誰から???」


「あの、そちらのタケルくんから……」


「えっ、俺っ!?」


 予想外の展開になってきたぞ……。


「あの、大変申し上げにくいのですが、私の方が所持金が多くてですね……。普段からタケルさんには皆の宿代などを支払って頂いてますし、その上にプレゼントまで頂いてしまうのはちょっと申し訳ないと言いますか……」


 めっちゃ気ぃ遣ってる!!

 確かに温泉掘り当てた時の謝礼金は結構減ってきているけども、そこまで気を遣われると逆にこっちの方が申し訳ないよっ!!!


「ふーむ、貴女はもっと年相応に殿方に甘えても良いと思いますけどねぇ。知的なおねーさんキャラの貴女が甘えてくるギャップで、タケルくんみたいな男性はイチコロだと思うのですよ」


 カレンさんがとんでもないアドバイスをしてくれた。

 た、確かにとんでもない破壊力になるとは思うけどもっ!!


『うーん、タケルは年上の女から甘えられるよりも、もっと何か違う属性が適合する気がするんだけどねぇ』


 アンジュが恐ろしいコトを言い始めた。

 実はリーリアが俺のことを魔王だと疑っていた時の蔑みの目が一番好きだとかバレたら洒落にならない!


「そんなことより、さっさと本題に入ろうぜ!」


 俺は強引に話を切って、獣神ティーダについて聞くことにした。



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