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005:冒険のはじまり

 リーリアに案内されて屋敷の中を歩く俺とアンジュ。

 屋敷の中はとても豪華で、まさに「貴族!」って感じだ。


「ところで、お二人の姿を見た限りでは冒険者には見えませんが……どうしてこの街に?」


 そりゃ聞かれるよね。

 二人とも裸足だし、アンジュに至っては頭がおかしいとしか思えない格好だ。

 だが、ここで焦ったら怪しまれてしまうので、俺は伝家の宝刀「靴を無くした男の話」をする!


「俺とアンジュは身よりが無くてさ。二人でこの街に向かっていたら、いきなりモンスターに襲われてね……。靴を投げつけて命からがら逃げてきたんだよ」


 ありがとう、マーティ○・マクフライ!

 地上波吹替声優版のDVDも全巻持ってるよ!


「なるほど……。さすがに裸足のままでは大変でしょうから、後で使いの者に買って来させますね」


「ええええっ!? それはさすがに申し訳ないというか……」


 焦る俺を見て首を左右に振ってニッコリと笑うリーリア。

 て、天使だ……!


「アンジュちゃんの靴は……?」


『あ、私は裸足がポリシーなのでお構い無く~』


「ぽ、ぽりし???」


 白いヒラヒラの服装に靴は似合わないだろうけど、その断り方はどうかと思う。

 それにしても、天使が裸足というイメージを作ったのは一体誰なんだろなぁ。



◇◇



 執事さんとメイドさんが運んできた料理を頂きつつ、リーリアと話している。


「やはり小さい女の子を連れて、モンスターを狩猟して生活するのは難しいと思うのです」


『どちらかというと、私じゃなくてタケルが原因なんだけどね』


「うっせぇ」


 俺とアンジュのやり取りを見て微笑むリーリア。

 だが、俺は自信満々のこう答えた。


「俺は可愛いモンスターが狩れないだけさ。きっと、ドラゴンだって倒せるねっ!」


 なんと言っても俺は全ステータスカンストだし、この強さならドラゴンどころか魔王も倒せるレベルに違いない。


「あら、腕に自信があると?」


 どうやら俺の発言は、盗賊2~3人相手でも倒せると豪語するお嬢様に興味を抱かせたらしい。


「ああ。昼食の御礼もあるし、もしリーリアがピンチになった時は是非とも頼ってくれ」


 エッヘン! と胸を張る俺を見てアンジュがジト目を浴びせてくるけど気にしない。

 それを見てリーリアは再び微笑んだ。


 そんなこんなで食事も終わって一休み。

 あまり長居しても悪いし、そろそろおいとましようと思っていると……



「お嬢様っ!!」



 突然、玄関に一人の女騎士が飛び込んできた。


「旦那様と奥様がっ!!」


「っ!?」



◇◇



 女騎士が説明した内容を要約すると、どうやら領地に「封印の地」という魔物を封印した洞窟があり、そこで異変が起こったのを領主であるリーリアの両親が探索に行ったものの、洞窟に入ったきり戻ってこないらしい。


「お父様、お母様……」


 さっきまで笑顔だったリーリアが悲しそうにうつむいている。

 俺はアンジュに目配せをして、頷くのを確認してから口を開いた。


「まさかこんなに早く御礼をすることになるとはねぇ」


 席を立ちながら呟く俺を見て、リーリアがハッとした表情になる。


「そんなっ! 封印の地はモンスターが多数現れる、とても危険な場所なのです!」


 リーリアが心配そうに注意を促してくるけど、俺は笑顔でパタパタと手を振った。


「なあに、言ったろ? 腕には自信があるんだ。俺を封印の地まで案内してくれよ」


『ウサギさん相手に泣いてたくせに……』


 横からジト目で見てくる天使がウザい。


「……わかりました。でも、貴方様一人を危険な目に遭わせるわけには参りません。わたくしもご一緒させてください」


「オッケー、それじゃ封印の地に向かうとしますかねっ」



◇◇



 馬車に揺られてどれくらい時間が経っただろうか……。

 夕日もほとんど沈み、外も暗くなってきた。


「あれ? 遠くね???」


 あたりを見渡しても平原が広がっているだけ。

 システムコンソールに「封印の地」と入れてもマップに反応無いし、恐らくリーリア達が勝手にそう呼んでいるだけで、本来は違う名前なのだろう。


「封印の地はこの大陸の南西の最果てにありますので。もう少し行った泉の近くで今日は野宿ですね」


 ……はい?


「寝床は?」


「この馬車ですけど?」


「御者……というか騎士様は?」


「私と交代で見張りですね。モンスターから襲われる危険性もありますし」


 うわーい、アニメで「そして次の日」みたいに省略されがちな裏側を見てしまった気分だー。


「さすがに二人に任せっきりというのも気が引けるし、俺たちも手伝うよ」


「お気持ちは嬉しいのですが……」


 困ったように笑うリーリアが指を差した先には、俺の膝枕で気持ちよさそうに眠るアンジュの姿が。


「てめぇぇ。このまま馬車から投げ落としてやろうか……」


「ダメですよ~。そんなに気持ちよさそうに眠ってるのですから、そっとしておいてあげましょう。ね?」


 お姉さんっぽく俺を優しく諭したリーリアは、馬車を停めて寝床を作る準備をするのであった。

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