045-メリーザの名前の由来は……にゃりよ
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昔々、とある国にとても仲の良い双子のお姫様が居ました。
ところがある日、姉妹はちょっとしたことでケンカをしてしまい、妹はお城を飛び出しました。
しかし、不運にも妹は街の外でモンスターに襲われ、大怪我を負ってしまいます。
偶然通りかかった魔法使いがモンスターを倒したものの時既に遅く、妹はそのまま死んでしまいました。
女の子の正体がお姫様だと気づいた魔法使いは『禁呪』と呼ばれる不思議な力を使い、蘇生を試みたところ、なんと女の子が生き返りました。
魔法使いは嬉しさのあまり、泣きながら女の子を抱きしめていると、衛兵が現れて言いました。
「貴様! 姫を誘拐するつもりだな!」
魔法使いは事情を説明したものの信じてもらえず、お城に連れて行かれて牢屋に閉じ込められてしまいました。
「姫を誘拐してどうするつもりだ!」
「私は、そんなつもりは…!」
「死刑にしてしまえ!」
兵士達が騒ぐ声を聞いて、女の子は『あの方は私を助けてくれたのです!』と伝えたものの、誰も信じてくれません。
それもそのはず、この魔法使いは「国に害をなす悪い魔女」として、この城への立ち入りを禁じられていたのですから。
『どうして信じてくれないの……?』
悲しみに暮れる妹を慰めようと、姉はそっと妹の手を取りましたが、妹はその手を払いのけて、自分の部屋に閉じこもってしまいました。
◇◇
「どうして、あの人は私を助けてくれたのに……。どうして死刑だなんて……。みんな、ひどい……」
女の子が涙を流しながら泣いていると、不思議な声が聞こえました。
『あの魔法使いを助けたいのカィ?』
「誰っ!?」
女の子が声のした方へ振り向くと、そこには大きな鏡がありました。
「どうしてこんな大きな鏡が私の部屋に……?」
『それは、キミを助けるためサ』
「っ!?」
鏡から聞こえてきた声に、女の子は恐怖に足がすくんでしまいました。
『今のキミでは魔法使いを助けることはデキない。だけど……』
「…………だけど?」
『この鏡に触れてごらン。魔法使いを助ける力を与えヨウ』
とても怪しい言葉。
きっとこれは悪魔のささやきだろう。
そう疑いながらも、女の子は迷うこと無く手を伸ばしました。
◇◇
翌日、魔法使いは処刑台に連れて行かれました。
何か言い残すことは無いかと処刑人に問われた魔法使いは、お城の方を見つめながら一言だけ呟きました。
「あの子は無事かい? それだけが心配なりよ……」
魔法使いの優しい言葉を聞いた女の子は、泣きながら無我夢中で飛び出しました。
『あの魔法使いさんを助けてっ……!』
女の子が祈るように両手に力を込めたところ、そこに大きな鎌が現れました。
「ひいぃぃっ!?」
近くに居た兵士が仰天してひっくり返ってしまいましたが、それを一瞥した女の子は真っ直ぐに魔法使いのところに向かい、たった一薙ぎで処刑台を壊してしまいました。
『早く逃げてくださいっ!!!』
女の子の言葉に従って魔法使いはその場を飛び出しました。
魔法使いを捕まえようと兵士達が魔法使いに飛びかかろうとしましたが、女の子が再び大鎌を振るうと、兵士達が全員吹っ飛んで壁に叩きつけられて動かなくなりました。
女の子がひとっ飛びで城のバルコニーに飛び移って門の外を見ると、必死に走る命の恩人の姿が見えて、ほっと安堵のため息を漏らしました。
ところが、兵士の一人がこんな事を言うのです。
「姫様があんな邪悪な御姿なわけがない。あれは姫の姿をした悪魔だ!」
その声を聞いた女の子がふと室内の鏡を見るとそこには、薙ぎ倒した兵士の返り血で汚れた服を着て、右手にはまるで死神が使うような大鎌を持った化け物が映っていました。
そして今まで感じたことの無い、どす黒い感情に心が支配されている事に気づきました。
今まで誰かを傷つけたことなんて一度も無かったのに、兵士を斬った事に全く罪悪感を感じない……それどころか悦びすら感じている。
それに、自分を助けてくれた魔法使いを殺そうとした兵士達への憎しみで、感情が抑えきれない。
鏡に映る自らの姿を見て、笑いが止まらない。
自分は一体どうなってしまったのだろう……?
『悪魔か……本当にそうなのかもしれませんわね……』
そう呟いた女の子が部屋の隅を見ると、可愛がっていた猫のメリーザが不安そうな表情で、自分を見上げていることに気づきました。
女の子は『ごめんね』と呟いてから唇を強く噛み、眼下の兵士達を睨み付けて言いました。
『我が名は死神メリーザ! 人間共よ、恐怖するがいいっ!!』





