033:久しぶりの異世界ハッキング(出題)ですよ
居候生活3日目。
さすがに肩身が狭くなってきたので、エールに何か手伝いを……と伝えたところ、晩飯の食材をゲットしてくるコトになり、人数分の弓矢を渡された。
「俺、高校は弓道部だったけど、ショートボウなんて引いたこと無いぞ……」
『タケルなら小石を投げつけるだけで狩れるんじゃない? チート持ちでしょ』
ぶっちゃけ、完全にその設定を忘れていた。
この世界におけるステータス値は『どこまで全力を出せるか?』という閾値らしく、全力で何かをぶっ放すことが無い限りは全く実感が無いのだ
ちなみに前回全力を出したのは、宿の部屋に突然現れた黒い悪魔(G)をスリッパで叩いた時だったけど、その被害は思い出すだけで恐ろしいので割愛する。
「よーし、ひと狩り行こうぜ!」
◇◇
「うっうっ……」
俺の腕の中にはウサギ(略)。
『いや、正直その展開飽きたから……』
何故かウサギさんばかり寄ってくる俺と、そもそも立場的に殺生が許されないアンジュは完全に戦力外だったものの、さすがに魔王四天王トリオとリーリアはあっさりと獲物を捕まえていた。
クローに至っては、川に向かって攻撃魔法を撃ち込んでガチンコ漁で乱獲したため、リーリアにチョップされていた。
「みんな頑張ってるのに、俺が足引っ張ってる感じがするなぁ」
「そんなっ、タケル様が気に病まなくても……! 私たちが頑張りますからっ」
レンに慰められて更にしょんぼりしている俺に、アンジュが肩ポンしてきた。
『タケルは魔王らしくふんぞり返って、コイツらを馬車馬の如く扱き使うのが正しいと思うよ? 逆らったら鞭でビシビシやれば良いんだよ』
「お前にはもっと天使らしく清い発言をお願いしたいけど、正直諦めてるよ」
アンジュにジト目でツッコミを入れつつ、エアリオとメリーザを見ると……
『魔王様から鞭で打たれて縛られ……うへへへ、鼻血がっ』
『私は打たれるより打つ方が良いですわね……』
コイツらはもうだめだー。
◇◇
そんな生活を続けて1週間目、ついに事件は起こった。
『フレイが古の祠に入ったまま戻ってこないんだ!』
村長の屋敷に子供が一人飛び込んできたのだ。
その姿を見てガッツポーズをしたアンジュにチョークスリーパーをかけながら、俺たちはこの子から詳細を聞くことにした。
『大人たちから入るなって言われてたんだけど、実は探検ごっこで何度か行ってたんだ。でも、今まで扉が開いたことなくて! でも今回だけ開いて! 今までこんなこと……!!』
泣きながら訴えかけてきた男の子の襟首をエアリオが掴んだ。
『古の祠ってのはどこにある!』
『村の東にある岩山……』
『クソっ、邪神の瞳かっ!』
『!!!』
エアリオが吐き捨てるように言うと、そのまま独りで飛び出して行った。
『どうしてあの子は、祠に封印されている悪魔の名前を知っているの……?』
だが、この場にそれを答えられる者は誰も居ない。
俺たちはエールの案内でエアリオの後を追った。
~~
全力疾走で私は『古の祠』へ向かう。
あの時、私が「全て」を終わらせたはずなのに……!
もしかすると魔王様やアンジュの言っていた『ネブラ』とか言うヤツの仕業なのだろうか。
『そのクソ野郎を、いつか絶対ぶん殴ってやるっ!』
独り言を呟きながら村の東の森を駆け抜けた。
<古の祠>
岩山の一角に掘られた穴に入り、まっすぐ奥へ向かう。
一番奥には祭壇があり、その裏に開かずの扉があるのだが……。
開かずの扉は開かれており、その奥の洞窟が見えていた。
『クソっ! これじゃ私が何のために……!』
愚痴を吐きながらも扉に入ってさらに奥へ向かうと、小さな女の子が倒れていた。
『おいっ! しっかりしろっ!』
慌てて駆け寄ると、私の呼びかけに、女の子は「ウーン……」と反応した。
『良かった、生きてる……』
私は女の子を抱き上げて、真っ正面を睨んだ。
そこにはギョロリとした目玉が二つ浮かび上がっていた。
『約束が違うじゃないか』
私が愚痴を吐くと、洞窟に『クックック……』という声が響いた。
『我は約束は守っていたさ。それを強引に叩き起こした愚か者が居てな……』
『っ!?』
『それに今回は条件が変わっている。お前ではどうにもならんだろうよ』
私の目の前にいる「邪神の瞳」が諦めろとばかりに言うが、ここで引き下がるつもりは毛頭無い。
『条件を言え!』
しばらく洞窟内が静かになった後、空中に文字が浮かび上がった。
『……ならば解いてみるがよい』
『問題 下記のコードから導き出される解答を答えなさい』
[dpogfttjpo!nz!mp wf]
『……え?』
ガシャンッ
目の前に浮かぶ意味不明な文字を前に呆然とする私をあざ笑うかのように、開かずの扉が音を立てて閉まった。
次回、解答編です。





