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032:アンジュがコスプレ少女という言い訳はそろそろ限界だと思う

 ダークエルフの村に案内された俺たちは、村一番の大きなお屋敷に案内された。


『なるほど、予言書か……。内容的には何事もない方が望ましいところだが、心配して来て頂けた事は感謝しよう』


 エールの家……というか村長の屋敷の応接室で、俺たちがこの森に来た経緯いきさつを説明した。


 当然ながらフラグ回収なんて言っても伝わるわけがないので、オースの街の考古学研究所で見た予言書に、この森で迷子を助けなければならないと災いが起こると書いてあった……というコトにしてある。


「とりあえず数日は滞在させて欲しいのだけど、この村に宿は……さすがに無いよなぁ」


 少し困り顔の俺を見て、エールは笑った。


『残念ながらこの村に宿は無いが、良かったらこの屋敷に泊まるが良い。大したもてなしは出来んが、雨風はしのげるだろう?』


「そんなっ! 自分で言うのも何ですが、俺たちめっちゃ怪しいと思うんですけど……」


 ダークエルフのエアリオはともかくとして、後のメンツは男一人、背中にデカい羽を付けたコスプレ少女、美人ハーフエルフ、怪しく笑う妖艶な少女、腰に刀を下げた少女、オマケにしっぽが2本生えた猫。


『正直な話、このパーティは自警団に職質をくらってもおかしくないと思ってるよぅ?』


「いや、他人事ひとごとみたいに言ってるけど、この中で一番怪しい格好してんのはオメーだからな?」


『なにおぅ!』


 やいのやいの。

 言い合いをする俺とアンジュを見て、再びエールは笑った。


『本当に怪しいヤツが自分を怪しいなんて言うものか。それに、私は人を見る目には自信があるんだ』


 エッヘン! と胸を張りながら言うエールの姿に、今度はリーリアが笑った。



◇◇



『……エールかぁ』


 屋根の上でお月様を眺めながら呟く少女がひとり。


「やっぱ、この村がお前の故郷なのかー?」


『っ!!』


 俺は、驚くエアリオの横に座った。


「ハーフエルフのお嬢様も言ってたろ? 魔王様はお前の味方だぞ?」


 そう言いながらエアリオの髪をワシャワシャすると、そのままこちらに頭をコテンと預けてきた。


「んで、誰か知り合いが居たのか?」


 俺の質問に、少し考える仕草をしてからエアリオは口を開いた。


『エールは……多分、私の姪だと思います』


「!!」


『もし今も規律が変わっていないならば……。この村のダークエルフは必ず決まった法則に基づいて名前が与えられます。村の長となる一族は風の精霊の加護を受けているので、その精霊にまつわる名前を付けます。それが……』


「エアリオとエール、か……」


 エアリオは頷いた。

 ……あれ?


「お前、封印されたのが200年前でエールが姪って、計算おかしくね?」


 俺の質問にキョトンとするエアリオ。


『200年なら姪っ子だと思いますよ? 姉様がものすごい若さで子を授かったなら別ですが、たぶんコウノトリさんが飛んでこないと思うのです』


 あー、ダークエルフだもんなぁー。

 寿命が超長いんだよなー。

 そういう世界だったよなー。


「……ところで、エアリオって今、何歳?」


『封印されてる期間は?』


「ノーカンで」


『えーっと、それだったら……多分22ですかね?』


 なん……だと……。

 愕然とする俺を見てアワアワするエアリオ。


『だっ、大丈夫です! 私は年下でもっ! きっ、気にしませんっ! 愛があれば大丈夫っ!』


「ええっ、愛!?」


 するとエアリオが俺の背中に腕を回し、顔が近づいて来た。


『そう、愛です! 魔王様、愛してま……ゴフッ』


 ゴッ!!


 エアリオの脳天に、メリーザのチョップが炸裂した。


『油断も隙もない……。悩んだふりで魔王様に付け込んで抜け駆けだなんて、とんだ泥棒猫ですわね?』


『ふりじゃねーよ! 実際に悩んでたつっーの!!』


『泥棒猫は私の役目だからキャラが被るのは困るにゃりよー?』


『お前まだヒロインつらしてんのかよっ!』


『一生尽くすって言ったからにゃ!』 


 やいのやいの。




 夜更けに屋根の上でデカい声で騒いだため、後でめっちゃ怒られました。


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