013:サマウォを見るために岡山から新宿バルト9に行きました
「タケルさんは一体何を……」
『アレは話しかけない方が良いにゃりね。私が新しい術式を組み立てている時の雰囲気にそっくりだ』
周りの皆が何か喋っているようだが、俺は一人ひたすら羅列を眺めたり、目を瞑ったり、その場をウロウロしたり……まあ、色々だ、色々。
制限時間20分。
解析ツールは利用不可。
解けなかったら全員死亡。
そんなムチャクチャな条件下で数字の羅列だけ見て暗号を解くなんて、まるで某映画の数学オタクの少年を彷彿としてしまうのだが、まさか自分がそうなるとは……。
No.03がASCII変換程度の難易度だったのだから、恐らくそんなに難しい計算式ではないはず。
難しくないと分かってはいるのだけど……
11:15 ……… 11:14 ……… 11:13 ………
皆の頭の上に浮かぶ、死の宣告のカウントダウンを見ていると緊張で喉が渇き、冷や汗が出てきた。
こんな状況下でまともに頭が回るわけが無いだろう……。
俺の心情を察したのか、仲間たちも不安そうに俺を見つめている。
アンジュも俺の横で必死に数列の法則性を読み解こうと頑張っていたけど、知恵熱が出たのか、バタッと倒れてしまった。
改めて問題を見てみよう。
『死の宣告を中断するキーワードはコチラ!』
[05 C6 56 16 37 56 02 B6 96 37 37 02 D6 56]
「独自文字コード……にしても、05からいきなりC6に飛ぶ時点で範囲が広すぎる。+193も離れると、それが文字を表現しているかどうかも怪しいな……」
独り言をブツブツ呟きながら、再びタイマーを見ると…
09:59
うっ、10分切った……。
さっきまで朧気だった「解けなければ死ぬ」という感覚が徐々に実感出来てきて、手が震えてきた。
『うぅぅ……魔王様ぁ……。せめて私が代わる事が出来れば、貴方様だけでも助けられるのにぃぃぃ……ウワアアアンッ』
エアリオがとうとう泣き出してしまった。
それに釣られてメリーザまで泣いていて、まさに阿鼻叫喚だ。
……いや、待てよ。
代わる……。
ビットシフト……違うな。
エンディアン変換……じゃなさそうだ。
ビットスワップ……P,l,e,a..あああああっ!!
「まさか……!!!」
k、i、……頭の中でひとつの答えが浮かび上がった!
だけど、えーっと、うーん、マジか。
これマジでやるのか?
たとえ助かったとしても、その後に修羅場になる未来が既に見えている。
場合によっては、200年前にあったと言われる魔王と勇者の戦い以上の死闘を引き起こすかもしれない。
事前に合意を得るのは……無理だろう。
その話題を振った時点で、確実にエアリオが襲ってくるはずだから。
だが、ここで何もしなければ、俺もこの街の人々も、死ぬ……。
決めたっ!
もうどうにでもなーれっ!!!
俺は腰を屈めてメリーザの両肩を掴んだ。
「すまないっ!」
『魔王様……? 一体なンムーーーーーーーーーッ!』
俺とメリーザとの顔の距離が0センチメートル……つまり、アレです。
公衆の面前でいきなりキスシーンという謎過ぎる展開に周囲は騒然となる。
『いけー! そのまま押し倒せーっ』
「うわー……うわー……ドキドキ……チラッ」
『ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァァァッ!!!』
『やるにゃりねぇ~』
背中越しに聞こえる仲間たちの声にちょっと苦笑しつつも、目線を上に向けるとカウンター表示に変化が起こっていた。
88:88
00:00
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それを確認してから唇を離すとそのままメリーザはへたり込んでしまったが、その直後に死の宣告は解除され、皆の頭の上のカウントダウンタイマーが砕けて消えた。
「こんなの普通は解けるわけねえな。解除条件が、自分を殺そうとしてる相手にキスしろとか、意味不明過ぎるにも程があるわ……」
解いた嬉しさよりも緊張の糸が切れたことによる脱力感の方が大きくて、俺もメリーザの前にへたり込んでしまった。
目の前の女の子と目が合うとなんだか妙に照れくさくて、不思議と笑ってしまうけど、それに釣られてメリーザも笑っていた。
『ヴァアアアアアア!!!』
そんな二人の真ん中にズザザザーーッとエアリオが飛び込んできた。
『なんて……うらやまけしからん! ズォォォォオオオ!!!』
お前は何を言っているんだ。
だが、そんなエアリオを見てメリーザがニヤリと笑った。
あ、嫌な予感……。
『あら、お子様なエアリオには刺激が強すぎたかしら?』
「お前は挑発すんなっ!!!」
そのまま魔王四天王のキャットファイトが始まり、見物客は大盛り上がりした。
◇◇
クロスカウンターで引き分けになった二人の首根っこを掴んだまま、メリーザを奴隷として売っていた男に話しかけたものの、メリーザが凄まじい殺気を放ちながら『口が過ぎると後悔しますわよ?』と言うと、無償で譲渡してもらえるコトになった。
奴隷が奴隷商を脅す姿に、周囲の人々も無言のまま目を合わせようとしなかったのが何ともシュール。
長居するとロクなコトが無さそうだったので、俺たちは逃げるようにスレーブの街を脱出するのであった。
Flag No.04 スレーブの街を奴隷の少女から救う CLEAR
Next FLAG ..
No.05 木を動かしてみよう
~ あとがき ~
前回が「出題編」で今回が「解答編」です。
毎度おなじみ問題をおさらいしまっす。
『死の宣告を中断するキーワードはコチラ!』
[05 C6 56 16 37 56 02 B6 96 37 37 02 D6 56]
今回の暗号パターンは安直な「4ビットスワップ」です。
つまり、2桁(8ビット)ごとに区切られた各パラメータを4ビット単位で反転すれば答えになります。
05なら50、C6なら6C、みたいな感じですね。
この並びを全14文字繰り返すと下記の解が得られます。
[50 6C 65 61 73 65 20 6B 69 73 73 20 6D 65]
そしてASCIIコードを文字に置き換えると……
『Please kiss me』
お粗末様でした~。





