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001:ハッカーの本来の意味は「斧だけで家具をつくる職人」

 初めまして、Imaha486と申します。


 この『異世界ハッキング』は、かつて三才ブックスより発売されていた月刊ゲームラボという雑誌で私が連載していた『もっと脳を鍛えるよい子のDSハッキング』のタイトルを継承した作品です。


 単なる小悪党やヒキコモリだったはずの主人公が、何故か異世界に行くと唐突に正義に目覚めるのが世の常ですが、この作品も例に漏れずそのパターンです。


 行き当たりバッタリで書いているためどんな結末になるのかは分かりませんが、見守ってやってください。





『このゲームのコピーガードは世界最強です! 誰にも破ることは出来ません!』


 ……ダウンロード版の公開から6時間で陥落!



『この最新作はeSportsにも採用が決定しております! 世界最高のデータ改竄かいざん防止技術が使われており、絶対チートは出来ません!』


 ……生放送のプレイ映像に、Lv999でモンスターを蹂躙じゅうりんするプレイヤーの姿が!



『このマイナンバー管理システムなら、例え流出したとしてもハードウェアドングルキーが無ければ復号出来ないので安全です!』


 ……公式サイトがハッキングされ全社員のマイナンバーが大公開!



◇◇



 それらの事件、実は全ての犯人が「俺」である!!


 長いヒキコモリ生活の憂さ晴らしに冗談半分で始めたのだが、どうやらそっちの才能があったらしく、世界最強だの世界最高だのを聞くと全力で潰したい衝動に駆られて、ついやっちゃうんだっ!


 そんなコトを思っていると、珍しく電話が鳴った。


「はいはい~」


「あ、山田くんゴメン~。今、大丈夫~?」


 電話の相手は、アングラ雑誌の編集のおねーちゃんだった。

 確か前に「現代のクラッキング特集」とやらで取材を受けた事があったな。


「珍しいですね。どうしました?」


「えっとねー。ウチの編集長が捕まっちゃってぇ。私ったら、ついうっかりキミのコトも全部供述しちゃった♪ 確かキミって有名人だったよねっ?」


 ……はい?


「お巡りさん達、すんごい顔してたよっ! サイバーなんちゃらとか令状とか、ドラマみたいなコトも言ってたねっ! スゴイっ!」


「アホかああああああぁぁっっ!!」


 そのままスマホを床に叩きつけて、愕然とする俺。


「まさか……。あれだけ気をつけてたのに、捕まる理由が……記者のねーちゃん口説こうとして電話番号を教えたのが原因って……そんなバカな……」



 ショックのあまり裸足のまま部屋を出た俺はアパートの階段で足を滑らせ、そのまま転げ落ちて死んだ。



◇◇



 気づいたら目の前に天使がいた。

 ああ、やっぱりあの世ってあるんだなぁ。


『えーっと……ヤマダタケルさん?』


「あ、はい」


『私は天使のアンジュと申します。貴方の人生について色々と言いたいコトはあるのですが……どんまいっ!』


 何だか知らないけど応援されてしまった。


『それにしても、亡くなったのが19歳11ヶ月30日23時間52分……スゴイですね! 成人まであと8分ですよっ!』


「いや、そんなコトに感心されても……。そういや誕生日だっけ」


 二十歳になったからって何かが良くなるわけでも無いし、全然気にしてなかった。



『貴方はギリギリセーフだったのですよっ!』



 バンッと目の前のテーブルに置かれたのは、なんとノートPCだった。


「えっ! 天使がノートPCって、世界観おかしくないっ!? それに、そんな勢いでバンッてやったらハードディスク壊れちゃうっ!!」


『大丈夫です! 神々の世界ではそんな原始的なパーツは使っていません!』


 天使がパーツとか言っちゃうんだ……。



『このノートPCを操作して、貴方の転生先を決めちゃってください』



◇◇



 この天使が言うには『成人前に死ぬような哀れな若者にチャンスを』だそうで、俺は記憶を保持したまま転生させてもらえるらしい。

 ただし現世に戻ると色々マズイので、行き先は異世界限定だそうな。



『あ、それじゃ私は次の子のトコに行くんで後はヨロシク! キミなら操作方法は言わなくても大丈夫だと思うけど、名前を入力してから転生先を選んで、エンターキーで決定したらビューンって飛べるから! それじゃ、神のご加護を~っ』


 天使がビューンって飛んでいってしまった。

 なんだか、転生システムを効率化し過ぎた末路を見てしまった気がするよ……。



「さて、どうしたものかな?」

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