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後書き+小話

今日は三話投稿しています。これは三話目です


 完結しました! 終わった!! やった!!!!


 評価、感想、ブクマ、本当にありがとうございました!! こうして完結できたのも読んでくださった方がいたからです!


 心が折れそうになりつつも、何とか当初の予定通りの終わり方にすることが出来て感無量です。


 今回は企画提出作品ということもあり、元々は三話程度で終わらせるつもりだったのですが、そんなこたぁ全然無かったです。登場人物の分だけ話数は増えていきました。


 赤青黄黒忠さん、途中攻略ルートを迷いつつ、結局は黒に。『本当はあの時も、お前を止めに行ってやりたかった』、がどの場面かは読者様のお好きな様に受け止めてください。

 本当はあと一話ほどラインハルト回を作ろうと思っていたんですが、流石に間に合わんと思い諦めの構え_(:3 ⌒゛)_


 攻略対象のコンセプトは根が良い奴ってことです。


 アルフレドは王としての素質がある。弱者にも共感できる人

 フィトは頭が良く世話焼き。優しいのでちょっと繊細

 アマリは基本的に自分を相手より下に置くので、相手を常に褒めることが出来る


 それぞれ抱えていた悩みをミスズに解決して貰って好きになる。そんな感じです。


 何か矛盾点やおかしい点、ここってどういう意味? などの質問がありましたらじゃんじゃんどうぞです。それでは ´ω`)ノシ



↓以降小話です。蛇足とも言います↓



 慣れた空気を吸い込む。ガラス越しの世界、フローリングと電源のついていない黒いテレビ。後は――。


 忠さん、何で台の上に乗って紐を首にかけているんだろう?


 自分の体がヒョウモントカゲモドキになってキョトンとしていたラインハルトは、忠さんを見て慌てたように鳴いた。


 「ぎゅおっ(おい死ぬ気か! 早まるな!!)」






 俺の名前は忠。ブラック企業に勤める何処にでもいるような不憫な奴だ。

 唯一の生き甲斐はペットのヒョウモントカゲモドキのお世話。ミスズと名付けた美人なトカゲは、いつだって俺を癒してくれた。

 噛み付かれたことは一度もない。撫でると(これは多分気のせいだが)微笑んだような顔をする。そんな、餌のデュビアを美味しそうに食べる彼女を、俺は非常に溺愛していた。


 だが――ある日、俺が仕事から帰ると、水槽にはミスズが居なかった。

 その時は、一匹用にしては広い水槽だし、植物やオブジェの陰に隠れたのだと思っていた。たったの一度しか脱走しなかったミスズだ。外にいるなんて考えもしなかった。

 だけど違った。餌を持って近づいた俺は悲痛な現実に打ちのめされる。


 ミスズは水槽の中に居なかったのだ。






 それから俺は目に見えて生気が抜けていった。流石に自分でも笑えないくらいの顔色で、いつぽっくり逝ってもおかしくなかった。

 それでも生きていたのは、ミスズという存在があったからだ。安易に自殺してしまって、箱入りトカゲで、デュビア以外狩ったことのない彼女を残して死ぬなんて、そんな酷いことは出来ない。俺は必死でミスズを探し続けた。


 毎日同じことの繰り返し。最早何日が経ったかも分からなくなった頃、俺ついに心が折れた。

 俺の可愛いミスズはもうどこにも居ないんだ。唐突にそう思って、次の日はベッドから出るのも億劫だった。


 時間経過の把握に自信はないが、最低でも三ヶ月は経過している。家中をひっくり返しても影も形も見えず、俺は虚無感に襲われて無気力になった。会社からの鬼電、見つからないミスズ。もう嫌になって、俺はその日不意に衝動に駆られて自殺しようとした。


 その時、声が聞こえた。ミスズのものではないが、ヒョウモントカゲモドキの鳴き声が。


 「ぎゅおっ」


 即座に振り返って駆け寄る。一縷の希望に賭けて。


 俺はその賭けに勝った。そこには、確かにあの日のままのミスズが居たのだ。


 「うぼあぁ~!! ミスズゥ~~ッ!!」


 泣き出した俺を見て、彼女は(多分俺の気のせいだが)微笑んだ。俺はそれだけでよかった。


 泣きながら、しかし繊細に頭を撫でて、その感触にやっぱり泣く。愛してるよミスズ……頼むから寿命以外の理由で死なないでくれ(それでもかなりきついけど)……。


 メンタルが復活した俺は、鬱状態の俺を良いことに労基を散々違反してくれたクソ上司へと、拳と共に辞表を叩き込んで職場を変えた。




 「うおおおおおん!! よか、っ、よかっ――よがっだ……本当によがっだよぉ゛……!」


 「きゅ(忠さん、ごめんなさい)」


 「いいんだよぉ!! 戻ってきてくれたんだから!!! 所でその雄どこの馬の骨!? お父さん聞いてません! 伴侶探しの旅だったの!? 行方不明になった娘が伴侶を連れて帰ってきた件について!!!!」


 「ぎゅ(義父上、ドウゾヨロシク)」


 「くぅ! なんだこの殺意の波動! ちょっと邪悪なか○はめ波撃てそう!!」


 水槽の中の二匹。かつて一人分しかなかったドッグタグは二枚に増え、二匹は同じ屋根の下に佇み、側から離れることはなかった。

 ラインハルトは悟ったような顔でヒョウモントカゲモドキの体を受け入れ、ミスズは新婚生活に照れた様に少し尻尾を揺らしている。


 二匹はいつまでも幸せに暮らしましたとさ。どっとはらい。

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