問題点
ザクスは目覚め体を起こす。そこで状況を確認し思考を巡らせる。
ザクスが目覚めると周りの雰囲気が変化していた。やはり長が居るのといないのとでは皆の意識が異なるようだった。まだ、不和はあるようだが、意見を進言しそれによって第3者に裁決を仰げるというのは思いのほか良かったようだ。ただ、ザクスに残ったのは自分の持つ能力の危険性と敗北の2つだった。敗北はまだいい、元々負ける予定だったのだが一度ザクスが魔力を使いメッツがカウンターを使えるようになった。カウンターをメッツが使うようになってからはザクスもかなり本気になり、それでも勝てる状況になった。一度魔力を使い回復していない状態で、追加の魔力消費は致命的だ。相手の攻撃を防ぐことも躱すこともできるだけの余裕が残らない。先ほどの最後はやばかった。人相手でも命を失いかけない。どうするか……
「ザクス、起きたのか」
「先程。で、どうなりましたか?」
メッツが様子を見に来たのでザクスはありきたりの返事をする。その返事は思っていた通りだった。長がいることでここでの問題は収束し始めたのだという。それはメッツの高さにも起因するが、そこには触れないことにした。ザクスはここでのトラブルはひと段落したと思ったのだがそうでも無いようだった。ザクスも始めに気にしていた。食料の問題がある。今はザクスがある程度の量を持ち帰ったので節約しつつ食べていけているのだがザクス一人の持ち帰りで賄える消費量ではなくなりそうだったのである。そのため、どうにか食料を確保する必要がある。どうするべきかと言うことになるとザクス頼みの食料確保隊を編成し、数日間で備蓄を作るほかの方法が見当たらなかったのである。そうした結果、ザクスの立ち位置がフリーではなく、重要な意味があるポジションに位置付けられてしまう。ただ、現状打破は必要なので、何とかするための調査も必要で根本解決にも力を費やす必要がある。
軍でのザクスの使い倒しが、この場でも発生してしまったのである。
「はぁ。思いっきり負けたので、数日はゆっくりさせてもらおうと思ってたのに」
とザクスが呟くと、メッツの後から現れたハンナがザクスに微笑みながら話しかける。
「敗者は勝者に従うのみです。頑張ってください。ザクスさん。食料確保隊には私もついていきますので」
その言葉にザクスは呆ける。そして、われに返ると聞き返す。
「僕の聞き間違えじゃないですよね。今、ハンナさん食料確保隊に参加すると聞こえたように思うのですが」
ハンナは微笑みながら答える。
「ザクスさんがいらしたら外も安全だとメッツさんがおっしゃってましたし、ずっと穴の中に居たら息が詰まってしまいますので」
ザクスはさらに深くため息をつきこれは拙いと考える。ザクスと一緒に行動したら安全と考えることが間違いである。そもそもザクスからはぐれない保障がない。また何かのトラブルでザクスが使い物になら亡くなるとも言い切れない。ザクスが使い物でなくなってしまうと安全なんてなくなる。それ以外にも問題があった気がするが思い出せない。
「安全なんてないですよ。移動ではなく食料確保ですから、魔物や獣もいますし、採取する食料も手の届くところにあるとは限りませんし……そういえば、どれくらいの人で行くのですか?」
「えっと、5~6人くらいですよ。」
ザクスの注意の後にした質問にハンナが答えるとすぐにメッツが問いかける。
「それくらいなら、大丈夫か?」
ザクスは悩みながら答える。
「戦える人だけでそれくらいなら安心ですが、そうではないのですよね。食料持ちのためだけの人数ならかなり不安です」
「しかしな、負傷者や病人、看病や世話係、後そのほかの雑用とかを考えるとそれくらいしか人を回せないんだよな」
メッツに状況を説明される。ザクスはこれも問題と理解しひとまずは了承する。その上で付け足す。
「食料採取はいいですが人が頻繁に入れ替わるのは良くないです。なぜなら、採ってはいけないものを採り、隊を全滅させる可能性があるからです。聞くところによると、採ってはいけないものの中に僕の住んでいたところと違うところでは食料になっていたものがあるそうです。多少癖がありますが、病みつきになると言われているものですが、それは魔物も呼び寄せるんです。近くに生えているのを見かけましたので。ついてくる人が我慢できず採ってしまうことがないとは言いきれません。採った人だけが被害に遭うならいいですが、隊全体で被害もしくは全滅しそうなので。ちなみにその名前はブリントの実です。かなり遠くにいる魔物も呼び寄せますので」
ザクスは付け足しついでに説明する。メッツとハンナは故郷で、ブリントの実を食べたことがあり、そのような危険なものとは知らなかったので絶句した。
「わかった。ザクス。ブリントの実は採らないように皆に伝えておく」
「理解してもらえると嬉しいのですが……」
不安を抱えながらもザクスは食料確保隊で貯蓄できるまでは働くことを了承した。




