顔合わせ
ザクスは何日かかけて心当たりを周り、ロームさんと同じ条件で奴隷を雇い入れる。そしてその都度、軍に申請し、自分付にした。結果集まったのはロームさん、ハンディさん、ブイットさん、ガンムさんの4人だった。彼らはひとまずはザクスの部屋の適当な場所で寝てもらっていた。皆、一度の徴兵の軍役を終えた人たちだった。王宮に呼び出されている日になるまでに部屋の改装も終わった。そこで、アーニャを使い、5人を集めてもらい、ザクスは新たに迎え入れた4人をテーブルのある場所に呼び出し、皆を椅子やソファーに座らせた。
「部屋割を変更します。クレスタ、エンディーナ、ハナカ、パティナ、リスタ。それぞれは別の部屋に移ってもらいます。着替えは更衣室でしてください。見られてもいいならそのままでいいですが、そういうレイアウトに部屋を変更しました。今の部屋は使いません」
クレスタ、パティナ、リスタはザクスの顔をまともに見れなかったが名前を呼ばれた時はビクッと震えた。そして部屋の変更の話を聞いたとき、ただ静かに聞いていた。
「続けて、それぞれの部屋にこちらの男性の方々、ロームさん、ハンディさん、ブイットさん、ガンムさんが一人ずつ入って同室になってもらいます」
そして、それを聞いた、エンディーナ、ハナカ、パティナ、リスタは信じられないものを見るような表情で、ザクスを見た。嫌だと言いたいが、言えないような空気をザクスは強めの会話表現で作っている。
「お、お願いします。赦してください」
酷く弱く凄く小さな声で、パティナは話したが、ザクスの耳には届かなかった。
「男性は10日毎に部屋を移ってもらいます。これからはずっとこの方針で、同居をお願いします。クレスタ、エンディーナ、ハナカ、パティナ、リスタの部屋の場所についての絵はアーニャ、配ってください。あなたたちはずっとこの部屋です。ロームさん、ハンディさん、ブイットさん、ガンムさんは今日の部屋、
10日後の部屋の絵を渡します。そのあとは前の人と同じ移動をしますのでわかると思います。では部屋を移動してください。アーニャ女性の部屋移動を手伝ってあげて。重そうな荷物は男に頼めばいいから。では解散」
ザクスは言いたいことを言い切って有無を言わさず解散させた。
「あ、ロームさん、ハンディさん、ブイットさん、ガンムさんちょっと話したいので来てもらっていいですか」
ザクスは同居する男を呼び止めた。
「これからよろしくお願いします。彼女たちは多少やつれていましたが綺麗だったでしょ?」
男性陣は皆頷いた。
「襲わないでくださいよ。我慢してくださいね」
ザクスはそれぞれの顔をしっかり見つめるとそれぞれ再び頷く。
「受け入れてもらったので記憶してもらっていると思いますが、彼女たちに触れると魔法による罰があるので注意してください。すごくつらい痛みがあると思いますので」
ザクスが続けると男性陣は思い出したかのように顔を引き締める。
「後は初めのお願いは彼女たちに挨拶は必ずしてください。彼女たちを見る必要も微笑みかける必要もありません。挨拶。おはよう。元気?大丈夫?行ってきます。ただいま。お休み。の挨拶だけでいいです。この言葉は紙に書きましたので今配ります。彼女たちはかなり警戒していると思いますので、話しかけて来るまでは挨拶以外は不要です。話しかけてきたら答えてあげてください。自分の好きなことをしていてください。彼女たちは空気か居ないかのように生活してもらったらいいです。彼女たちの要望で男女の間のモラルレベルの快適な同居生活の範囲のお願いなら聞いてあげてください。会話できるようになれば皆からお願いもOKです。これからのここの生活については今言ったようにお願いします。明日からは皆さんは僕と同じ部隊で訓練してもらうのでお願いします。かなりハードなので、挨拶以外の余裕はないと思います。これからよろしくお願いします」
ザクスは再度共同生活する男の奴隷たちに念押しの確認をした。すでに主従契約の前にお願いしているのですんなりと理解してもらい、普通に生活が始まる。ザクスは特に心配していない。彼らなら何とかしてくれると信じていた。
「これから、頼みますよ」
と誰に聞かすでもなくザクスはひとり呟く。
そして、新たな日常が始まった。アーニャを通して指示を出し、女性の奴隷の5人は訓練に参加させなかった。新たに4人の奴隷が参加するようになる。4人には無理をして貰っていると分かっていても普通の森に入る内容の訓練に参加してもらった。足手まとい感はどうしようもないが、何とか4人ともやり切る。
この日から、さらに隊の中で不穏な雰囲気が漂う。ザクスが5人に酷いことをしたと軍に伝わっていた噂に尾ひれがついてザクスの隊にも流れ始める。これまで、ザクスに対して普通に接していた者たちが皆、避けるようにしはじめた。
ザクスは状況を見回し、ため息をつきながら呟く。
「はぁ……僕にとってこれは自業自得というべきか、好機ととるべきか」
隊の中でザクスが不要な雰囲気作りが始まり、王宮に呼び出された日が近づく。




