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ザコの僕には無理だと思うのですが  作者: 柚穐
3章 代理
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訓練演習についての真実

訓練の内容の発表をし、実行を始めると数日で隊員達の訓練内容についての高評価についてザクスの耳に入るようになった。しかし、ザクスは苦笑で返事するしかなかった。


そして、訓練内容について決まった経緯を思い出す。


ザクスは訓練内容について1人で決める事ができず、悩んでいた。


「訓練内容を隊長が決定するって無茶ぶりを……方向性も何もないのに、どこでも活躍できるようにって……」


ザクスが頭を抱えていると誰かが近寄ってくる気配を感じ、その気配に集中し、気を緩める。


「アラカトレス副長、お疲れ様です。何か面白いことでもありますか?」


「ザクス隊長。いえ、大したことはないですよ。隊長こそ頭を抱えて何をされているんですか?」


「基礎訓練の次の段階の訓練内容について悩んでいまして、全く考えつかないんですよ」


「もう次の訓練について考えておられるのですね。さすがはザクス隊長です!」


「いや、普通に誰でも考えるでしょう」


「隊によっては基礎訓練しかしない隊もありますよ。基礎訓練もこの隊は他の隊の数倍の量を行っておりますので」


「個人のノルマは数倍にはしなかったはずでは?」


「それはもう、ザクス隊長に負けたくないからですよ。ザクス隊長は基礎練習をノルマの数倍を淡々と休憩を挟まずにやり続けられるので、隊員の者達は手合わせで負けないように基礎練習もザクス隊長に競うように回数を増やしておりますので」


「僕のせいですか?」


「隊長のせいと言うより、隊長に負けたくないという優越感を維持するための行動ですよ。皆が、ぎりぎりの勝利を感じているのでさぼっていられないと感じているのだと思いますよ。私もぎりぎりの勝利だと感じているのですから」


「副長は何を言っているのですか!?ぎりぎりだなんて、副長は部隊内の勝率の順位10位以内にいらっしゃるのに。僕は最下位なのに」


「それがわからないのです。部隊の上位の人でも瞬殺できないザクス隊長が最下位だという事実が……呪われているようにしか見えないです。それが上位者の見解です。何しろ上位10人は下位の20人くらいはザクス隊長を除いて一瞬で勝敗が決まるのですから。来ることがわかっても回避できないと下位の人たちは言っていますよ。ザクス隊長はそういう点でもすごいと」


「評価されても勝てないことに変わりないから、下手な慰めはより惨めさを感じます。ただ、まぁ、僕たちの隊は普通の強さを求められているわけではないので、求められている内容の訓練をしないといけないのですよ。相談したいので、4人の兵長を集めてもらっていいですか?」


「了解しました。集めてきます」


「よろしく」


ザクスと副長はそういって別れた。そして、顔を合わせて話し合いを始めた。


「皆さん、集まっていただいてありがとうございます。訓練は次の段階に行かないといけないのですが、まだ、どうしたものか決めかねています」


ザクスは会話の火ぶたを切った。


「次の段階とは何なのでしょうか?」


クローデネスカーム兵長が質問し返した。


「この隊は普通の隊と戦地出陣の仕方とは異なることを総合指令長官に教えられています。その異なる内容は僕ができることの一部でもできるように訓練された兵を数名~十数名が戦地へ出兵し、効果を出せるようにと言われました」


ゲーレスム兵長が相槌をかえす。


「なんと、そんなことが」


「そんなことが求められていたのですか」


とヘットロン兵長も相槌を返す。


「では隊長、どんな能力を皆に習得させたいのでしょうか?」


ビアンセン兵長が問いかけてきた。


「いくつかありますが、まず始めは薬の調合とその材料の調達でしょう。そして、戦力としても求められていると思います。また、斥候としての役割も求められていると感じました」


ザクスは回答する。すると副長が口火を切る。


「では、どうしましょうか」

「現在の調合や薬学の学習は必須ですね。しかも実践できるとよりよいでしょう」

「戦力と言われているのなら、手合わせもそうですが、ザクス隊長の部隊と言うのなら、魔物との戦闘も欠かせないですね」

「斥候と言うなら、潜伏や、罠対応や特定地の調査報告作業も必要ですね」

「なら、同時にそれらを行える訓練が良いのでは?」

「部隊を分けて行動するのはいいかもしれませんね」

「では4~5隊に分けますか?」

「4~5隊なら1隊20人前後ですか。少なくないですか?」

「王都の周りの魔物の強さはどれくらいなのでしょうか?」

「4~5人で対応できると。ザクス隊長が行かれた戦地での魔物の強さはどれくらいだったのでしょうか?」

「それは私知っていますよ。一般の人で10~15人くらいの人が必要だと聞いています。エンドラント地方やザクス隊長の地元の魔女の森などの魔物強さは強かったと。でも、ザクス隊長の経験の地元の山の魔物は14人~18人くらいで対応しないと勝ちきれないくらい強いと聞いています」

「それくらいの強さの魔物との戦闘指揮や連携戦闘を視野に入れての戦闘訓練も必要ですね。」

「なら、1隊20人前後では心もとないですね」

「3隊で30人にすれば、1隊で魔物2体を想定した戦闘訓練があればよいですね」

「王都の周りなので、同時6体と戦闘可能ですか。群れる魔物に対しても十分な安全猶予の獲得ですね」

「では、1隊は戦闘ですね。もう他の隊は2隊はどうしますか」

「1隊はザクス隊長に見てもらって素材の採取や罠などの設置についてご教授いただいたらいいのではないでしょうか?」

「それはいいアイデアですね」

「あと1隊は?」

「罠を設置するだけではなく、解除する隊もあったほうがいいですね。それに、斥候を育てるならザクス隊長とは違う隊で訓練させるのがいいでしょう」

「潜伏や調査、罠の解析や解除も役割りとして与えたらいい訓練ができるのではないでしょうか」

「ここらでまとめましょうか」


と、ザクスを除いた5人の話し合いでほぼ方針が決まった。


「では、これまでの話をまとめると」

「3隊編成で1隊30名ですね」

「1隊はザクス隊長が率いて、調合素材の採取とそのための罠設置、そして、他隊の訓練用の罠設置も行う。訓練なので、森の行軍距離も稼いでもらいましょう」

「次の第2隊は戦闘中心ですね。魔物を狩ることを中心として、同時に6体の魔物も相手できると思いますので、十分な戦闘を期待しましょう」

「最後は、斥候訓練ですね。ザクス隊の設置した罠を解除することと、ザクス隊長不在でも魔物を警戒する技術の訓練ですね。潜伏や探索、察知を中心に行動するとよいですね。魔物に負けてはいけないので30人の集団行動は必須ですね」

「と言う感じでどうでしょうか。ザクス隊長」


副長と兵長たちがまとめた。


「そ、そうですね。それでいきましょう」


「隊への説明はザクス隊長からお願いしますね。資料は紙に記載しお渡ししますのでよろしくお願いします」


と最後にザクスに任せ、兵長たちの会議は終わった。ザクスはただ聞いていただけで内容が決まってしまったのである。


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ザコの僕には無理だと思うのですが1章~サイドストーリ~
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