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日本の一番長い日(異世界視点)

(´・ω・`)数字は適当です。

悪魔王国を平定して。一部の部隊を残したまま魔王城に帰って来た。

その部隊もいずれ、帝国軍、国境警備隊と工兵連隊に置き替わっていくであろう。


仕事が増えた…orz。


魔王城の玉座にすわると長い間、留守にしていたので城の皆に声を掛ける。

「魔王、俺が出ている間に何か変わった事はなかったか?」

魔王はブツブツと呟きながら「大丈夫です何も変わりません、変わる筈が…。ウウッ。」と泣き始めた。


まあ、変らないのならば問題は無いであろう。

皆に、人質として預かったリリンとジズを紹介したが。みなの前で。

『こーてーへいかのメスどれいとして引き渡された悪魔族のリリンと姉のジズです。次の悪魔魔王を生むのがにんむです。』

といって、俺とジズを狼狽させた。


俺の評価が海底より深く下がった。城兵の俺を見る目が冷たい。

「皇帝の毒牙にかかる乙女がまた増えたにゃ、女には辛い時代だにゃ~。ノートのページが足りなくなるにゃ。」

ネコミミ女中のエルムがエプロンドレスの胸元からノートを取り出して、何かを書き込む。以前より厚さと付箋が増えている。

この城の女中たちは良く働く。


「こーてーへいか、二人でがんばって何人も生みますからおねがいしますね。」

お辞儀をしたあと、玉座にすわる俺の膝の上にすわるリリン。

金髪ロングの髪で細い眉毛、紫色の瞳で、華奢な手足の細長いスタイルの幼児体形で、黒いすくみず(新)のにフレアの短いスカートをつけた様なへそだしワンピースを身に着けて、ガーター&ストッキング装備で少々扇情的な姿だ。

だが、子供だ。

くっそ、こんな子供なのにサラサラロングヘアに良い匂いだと?背中のコウモリ羽がパタパタしながら香りを送ってくる。

悪魔にもへそはあるのか…。

「リリン、ひざに乗らなくてもいいぞ。」

「えーでも、メスどれいの魔王さまはひざの上で飼われてるって教わりました~。」

「いや、それは、誤解「そうですにゃ、魔王さまは肉布団ですにゃ。」です。」

「え…。」

ジズがドン引きしていた。まるで汚物を見るような目でこちらを見ている。

うん、いかん、話を変えよう。

「この国はまだ出来たばかりで、マダマダ未熟なところがある、能力のある者には活躍できる場所を提供しているジズは何が得意だ?」

ドン引きしていたジズがこちらに戻ってきた。

「え、あ、空間魔法が得意です。」

いきなり話を振られてびっくりするジズ、黒紫色の髪のショートヘアで、目はパッチリした二重の紫色の瞳。

肌の露出がない、大きめの黒いローブを着ている。服の色と背中のコウモリ羽の色が同じでローブと一体化したように見える。

一見すると、女子高生の文化祭のコスプレにしか見えない。

これで、三角帽子と杖を装備したら魔法使いのようだ。

「空間魔法とはどのようなものだ?」

「物を別の場所に収納したり、取出したり出来ます。あ、帝国軍の方に頼まれてドラゴンも収納して持って来ました。」

「ほうソレは便利だな。助かった、皆にドラゴン肉を振舞うことが出来る。ジズありがとう。」

誉められて、ちょっと得意な表情になるジズ。

「それは危険だから、こちらで管理するにゃ。後で引き渡すにゃ。皇帝陛下のお手を煩わしてはいけにゃいにゃ。」

エルムがすごい剣幕でジズに詰め寄る。ジズがその剣幕に押されてさがってしまう。

「ジズ、空間魔法についてもっとおしえてくれないか。」

「えーっと、上級者だと異世界につなげる事が出来ます。」

「なにっ、ソレは異世界を選んでつなげる事ができるのか?」

「え、はい、かなりの技量が必要です。」

よし!!コレで日本に帰る算段が付く。思わず玉座の上でサイドチェストのポーズをとる。

「皇帝エガシラとしてジズに命を下す。異世界の日本国とつなげる道を研究せよ!!」

「え?あの。はい。わかりました。」

「こーてーへいかにほんとはなんですか?」

「うむ、俺の生まれた国だ…。」

「えー、こうていへいか帰ってしまうんですか~。」

「そ、それはこまるにゃ。国が未だ完全に安定してにゃいにゃ。また戦乱はこまるにゃ!!」

「ソレは解からん。しかし、召喚魔法で一緒に来てしまった者も居る、その者が望めば帰る道を示したい。」

ああ。サムソン王国で勇者している後輩たちはどうしているのだろう。


「ドコの誰がそんな迷惑なコトしたんだにゃ!責任取るんだにゃ!!」

「責任…。取ってョ…。元に戻してよ!!」

珍しく魔王まで声を上げる憤慨振りだ、うむ!全くだな。

「こーてーへいかの生まれた国ってどんな国なんですか?」

「うむ、そうだな、一言で言えば平和な国だ。」

「まものはいないんですか?どらごんとか?」

「うん、居ないな、ニンゲンが一番強い、ドラゴンの類きょうりゅうのたぐいはもう随分と昔に全滅した。たまに不覚を取って動物に返り討ちにあう者も居るが年に10人も居ない。」

「それは、納得できるにゃ。皇帝陛下見れば解かるにゃ。」

皆が力強く頷く、

「いや、俺はそれほどではなかった。まあ、せいぜい同年代で…。1000人に1人ぐらいの強さだった。」

あの、高校時代、柔道の負けた試合をおもいだした。

「それは、おかしいにゃ。」

「うん、間違えない、私は学生と言う、そうだな、身体は鍛えていたが。一般の書生の様な者だった。」

何故か皆ドン引きしている。

ジズがおずおずと手をあげ発言する。

「あの~、軍隊は強いんですか?」

「う~ん、軍隊なあ。昔は強かったんだが…。」

「昔?いーまはー?」

あまり面白くも無い話なので、リリンが玉座の上でパタパタ足を動かして遊んでいる。

「俺の曾爺さんの時代になあ、世界で50の国々が二つに分かれて戦い、お互いの町を燃やし尽して多くの人が死んだ戦争があったんだ。」

「大戦争だにゃ。」

「結局、230万の兵士と50万の市民が死んで負けてしまったんだよ。まあ、敵側は2000万を越える死者が出たんだがな。」

「数がおかしいにゃ。」

エルムの顔色が青い。

「まあ、なんだかんだ言って15年間ぐらい戦争してたからな、次々に、同盟国が陥落して、最後の一国なった日本の軍部が”一億総員火の玉だ”と叫んだが、時の皇帝陛下が”恥を忍んで降伏しよう”と声を上げ。戦争が終わったんだ。」

「アタマがオカシイにゃ。」

「それ以来、日本国は武器と兵員の制限を受け、他国の介入を受け続けている。だが、しかし。心と肉体を鍛えた若者たちが居る限り日本はどんな困難も乗り越えることができるであろう。」

最後にモスト・マスキュラーのポージングをする。

「あの、今どれぐらいの軍隊が居るんですか?」

ジズがおずおずと手を上げ発言する。

「うん。少ないぞ常時20万人ぐらいだ。」

何故か皆ドン引きしている。

20万…。ジズはブツブツ言っている。

「ジズ頼んだぞ、君の能力に我が国の未来が掛っている。」

親指を立てて白い歯を見せ笑顔でキメる。

「え、はい、」

ジズは戸惑って答えるが、城の皆は青い顔をしている。

やはり凄惨な戦争の話は女、子供には、きついか…。











そのあと、魔王城の廊下にて…。


「ジズ!!絶対つなげちゃいけにゃいにゃ!!そんな国とつなげたら世界が滅んでしまうにゃ!!城のみんなにも口裏合わせるようにするにゃ!!」

「ニンゲン族め!勇者などでは飽き足らず、あんな危険なバケモノを…。」

「魔王様!エガシラ様はドラゴンの心臓をパクパク食べてたにゃ、普通なら全身から血を吹き出して死ぬにゃ!!」

「くっ!!それでは、伝説の終末者ターミネーターの一族ではないか!!」

「え?そんなの御伽噺でしょ?」

「ジズ、いるんだにゃ、目の前に…。」

「悪魔族の高貴なる娘たちよ…。あ奴には、呪いは効かぬ、魔法障壁も貫く。魔力の発動も感じぬ。」

「「「「…。」」」」

「え?どうしよう?異世界の扉は強い繋がりのある者が、意志と大きな魔力を持って使えば比較的簡単に開くんです。」

「「「なんだってー!!」」」

「記録では、ニンゲン族は勇者の子孫が居るから、勇者を一方的に召喚できるとありました。」

「「「マジデスカー」」にゃ。」

「えっ、逆にエガシラ様が帰りたくないと思えば異世界とは繋がらないはずです。」

「その手だにゃ!!エガシラ様を接待するにゃ、色ボケ骨ヌキにすれば帰りたくないと考えるにゃ。あの、ドスケベ、ドヘンタイなら魔王様の身体でメロメロにゃ。」

「すまない!!この身はもうすでに…。」

「え?」「あ~!」「おめでたにゃ!!」

「めでたくない!!この身を蹂躙されムリヤリ授けられた命だ。くっ、今ほどこの身が女で在る事を怨んだことはない。」

「大丈夫ですにゃ、魔王様、女が母親になるだけですにゃ。」

「え?あの、終末者ターミネーターの子孫ですよね?」

「ダメだ!!この子は、全て奪われた我の最後の希望だ。」

「しかたにゃいにゃ、みんな覚悟を決めるにゃ、異世界日本との扉が開いたらエガシラが雪崩れ込んでくるにゃ。」

「20万人もこーてーへいかがきたら世界が無くなっちゃう。」


皆、大地を埋め尽くすエガシラの大群がデッドボールの魔法で全てを焼き尽くす姿を想像して恐怖した。

そう、帝国領民はこの世の終末の扉の前に居ることを知ったのだ。


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