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野球狂の詩(ピッチャーノーコン)

(´・ω・`)これは、ファンタジーの分類で良かったのでろうか?

「ふう、」


魔王との戦いは凄惨を極め。

力尽きた魔王は固い石畳の床に力なく倒れている。

かすかに胸が上下しているので、死んではいないのだろう。

腕で目を隠しているので、表情はわからないがひょっとしたら泣いているのかもしれない。

「あ~魔王様、終わりましたかにゃ?」

ネコミミ女中が声を掛けたが。魔王に反応は無い。

女中のスカートから尻尾がふらふら揺れている。

あれ、根元どうなっているのだろう?

賢者モードの俺に下らない疑問が頭をよぎる。


「旧魔王は倒されたので、貴方様が魔王ですにゃ。」

「なに!そんなバカな!魔王は未だ健在だろ。」


ネコミミ女中がエプロンドレスの胸元から一冊のノート(箋付き)を取り出して読み上げた。


「えーっと28ページ目だにゃ…。

『アア、ヤメテクダサイ。ユルシテクダサイ』

『ダメダ、ホレ、マダマダイケルダロ』

『アアダメ、シンジャウ、シンジャウ』

『ホレホレ、コンナニヨロコンデルデハナイカ』

『ナンデモシマス、モウヤメテクダサイ』

『ヨシ、デハ、コレヲヤルンダ』

『アアッー』

この時点で旧魔王のマケが決定したにゃ。」


棒読みで読み上げるネコミミ給仕に(旧)魔王がナニかを思い出したのかビクビクと身体を縮ませる。


「俺が魔王だと…。」

「そうですにゃ、5日間もパコパコしてたにゃ。」

「魔王と言うのは外聞が悪い、江頭と呼んでくれ。」

イキナリ魔王は生意気だろう。

「エガシラさまの5日間の死闘はこのエルムがシッカリ記録してをりますにゃ、2日目で魔王を屈服させたのにさらに、パコパコするなんて鬼畜の外道ですにゃ。」

「いや、それも外聞が悪い、黙っていてくれ。」

「もう遅いですにゃ、3日目の時点でもう国中に御触れが出てますにゃ。」

「何と言うことだ…。」

絶望に肩を落とし膝を突く。皆に俺の性癖が暴かれるではないか。

それを聞いたのか(旧)魔王がシクシクと泣き始めた。


「国中のウワサですにゃ、

『魔王を全裸でケダモノのように襲い、素手で組み伏せ、そのまま蹂躙(性的な意味で)したらしい。女なら何でもイイのか?』

とか、

『新魔王は女なら種族を問わず種付けする性獣だ』

とか

『アニキ!ヤラナイカ!』

ですにゃ。」


最後はなんか違うが、俺の評価は地下に埋もれる勢いで下落したのは解かった。


「どうやって…名誉を回復すれば良いのか…。」

目頭を押さえ力なく首を振り肩を落とす。


「そんなことより重大なコトが在りますにゃ。隣りの国の魔王イ・ベリコ・ブッチが我が国に宣戦布告してきたにゃ。」

隣りの魔王だと!!

「なにっ!!他にも魔王が居るのか!?」

「そうですにゃ~大体一種族に1人は魔王がいますにゃ~。少数民族はその地の魔王に従っているにゃ。」

「なんと、言うことだ~!」

魔王と聞いて思わずムラムラしてやってしまったが、この国がサムソン王国に戦争しかけたかどうか確認せずにヤッてしまった!!

「エルムよ、この国はニンゲンの国、サムスン王国との関係はどうなっているんだ?」

「ニンゲンの連中は最近、河を越えて散発的な浸透攻撃をしかけて国中を荒らし回っていたにゃ、魔王軍が撃退したにゃ、その時の捕虜に河を越えたら殲滅すると言って開放したにゃ。」

「そ、そうか…。」

王女から聞いた話とはちょっと違うが、交戦中なのは間違いない様子だ。国境線が確定していないのだろう。

良かった、友好国の魔王を襲ったワケではないのが幸いだ。犯罪だが外交問題にはならないだろう。

うむ!問題ない!!


「お城の外に新魔王の御言葉を頂くため、魔王軍の面々が集まってますにゃ、ベランダから声を掛けてほしいにゃ。」

「そうか…。いや待て!服が無い!!」

「誰も気にしないにゃ?」

「気にするだろ!元々ココには服を買うために来たのだ。」

「ココは魔王城で服屋じゃないにゃ?」

「ソレは俺も入ってびっくりだった。」

「そういえばそんなコト言っていたにゃ。」

「何か着る物は無いか?」

「うーん、旧魔王の御召物しかないにゃ。ドレスとかしかにゃい。」


いや、筋肉マッチョに胸元の開いた赤いドレス(スリット入り)なんて、ヘンタイを超越した何かでしかないだろう。

このままマッパで群集の前に出るのはイヤだ。最低限隠していなければ、ヒトの尊厳にかかわる。

マッパとビキニパンツの間では、おまわりさんが飛んでくるほど深くて広い溝がある。


赤いドレスを着るなど…。マッチョな男が赤いドレスで外を歩いたらおまわりさんも放って置かないだろう。


力なくうな垂れた魔王を見て思い出した!

うん!こうしよう!!


魔王の腕を掴む、”イヤッ”と力なく呟くが魔王の腕を首に廻して腹同士を合わせて足を胴に絡ませる。


「ま、まさか、そのまま出るのかにゃ?」

「うむ、このスタイルは我が国の伝統的なスタイルで”つながったまま外にでるなんてあたまがフットーしそうだよ”と言われるスタイルだ。」

「あたまが沸いているとしかおもえにゃいにゃ。」

相撲のまわしの要領で魔王のしりをペシペシ叩く、魔王が力なく鳴くが大丈夫だ、ガッチリはまってる。

ネコミミ女中がドン引きしているが、モロ出しで大衆の前に出るよりはマシである、魔王を装備した状態で、ベランダに立つ。


「「おお!新魔王が来たぞ!!」」

「あれは前の魔王様が…。」

「なんと言うことだ、俺たちが不甲斐無いばかりに、あんな酷い目に…。」


見下ろす群集、牛人間が多い、包帯をしている者も居る。ネコミミ女中に聞く。


「何かケガ人が多いな。」

「エガシラさまが魔王城に来た日に、前線で所属不明の強力な魔法弾が撃ち込まれたにゃ。ブッチ魔王方向からの攻撃にゃ。」

「そ、そうか、だから、宣戦布告を受けたのか。」

「ふざけてるにゃ。向うから攻撃してきたのに、ブッチ軍に被害が出たから損害賠償と慰謝料を請求するなんて頭がオカシイにゃ。こちらは百人単位で死人がでたにゃ。」

「お。おう…。」


憤慨して、毛を逆立たせるネコミミ女中。

そういえば(魔王城に)入店する前に豚人間と牛人間を飛び越したな…。いや、今は考えないで置こう。


「ささ、エガシラさま。一発、適当に演説をぶち上げて。兵士たちの士気を上げてくださいにゃ。」

ネコミミ女中がエプロンドレスの胸元から、でかいスプーンの様な物を取り出した。

受け取って眺めるが、なにか視力検査の遮眼子しゃがんしに似ている。

『これ、な…。』

声が大きくなった、拡声器の一種らしい。

『アー、テス、テス』

ネコミミ女中と目が合う、よし、適当にぶち上げよう。



『俺は、エガシラである!!

 魔王を下し魔王を支配するの者である!!

 ソレは君たちの敗北を意味するのか。

 否!魔王軍は健在である!!

 卑劣にも魔王を称するイ・ベリコ・ブッチは我が魔王領の政変の混乱を利用せんと。我が国に戦争をしかけた。

 諸君!ソレは魔王軍の敗北を意味するのか?

 否!魔王軍は健在である!!

 先の奇襲攻撃では多くの戦友、兄弟を失った。

 諸君!!魔王軍は戦友や兄弟の死に泣き、動けなくなるほど軟弱者なのか?

 否!魔王軍は健在である!!

 先の攻撃において多くの兵が傷つき、痛みを受けた。

 諸君!!魔王軍は一度殴られたからと言って立ち上がれなくなるほど泣き虫なのか? 

 否!魔王軍は健在である!!

 

 あえて問おう、健在な魔王軍は、ブッチなどと言う者の名に、恐れ足を竦むようなコシヌケなのか?』


一泊置いて群衆を見渡す、静まり返る。群集。

次第に、ザワザワと音が大きくなるが、誰かが叫ぶ。

「ブタをコロセー」


『何も聞こえない、ブッチに守るべき里や町、女、子供を蹂躙されて、目を閉じて耳を塞ぐ様なコシヌケは魔王軍には必要ない。』


「「「ブタをコロセー」」」


『おおう、ちょっと聞こえたぞ。』


「「「エガシラ!エガシラ!!」」」


『イ・ベリコ・ブッチに魔王軍の力を見せてやれ!!殺すか?殺されるか?どちらだ?』


「「「「コロセ!コロセ!コロセ!コロセ!コロセ!コロセ!コロセ!」」」」


手を振りベランダから下がる。

「こんなかんじだが?」

ネコミミ女中に遮眼子しゃがんしを返す。

「なんかすごいにゃ、洗脳みたいにゃ。」

「あ?あ~。ま、まあ、なあ」

すっごい沢山、人を殺した人のマネなんて言えんなあ。



魔王軍と共に荒野を進む。

流石に、装備は魔王では公序良俗こうじょりょうぞく違反おびただしい、魔王のストールが有ったので、ソレでフンドシにしている。

後で、魔王が怒りそうだ。洗って返そう。


草原に出ると、ブッチ軍は配備を終えているようだが。何故か陣地化していなかった。

機動戦が主なのか?

お互いが見える丘の上でにらみ合いになった。


『随分待たおったな、新参者!!臆して逃げたかと思ったぞ!』

二足歩行の紫色のでかいブタが叫んだ、コイツも遮眼子しゃがんし持ってる。

ネコミミ女中が遮眼子しゃがんし持って走ってきた。

『ふん、お前がイベリ子豚か?思っていたほど美味くなさそうだな。』

大地を埋めるブタ人間に向かって叫ぶ、ブッチの軍団だ。

焼き豚生姜丼が食いたくなった。いや、脂より赤身だろ…。

『牛娘をコマしたダケの色男でコシヌケかと思ったが。随分と口が動くではないか。』

『牛肉は喰い飽きたから、豚肉を喰いにきたのだ、期待したほどの肉共では無いな。』

ブッチ軍に動揺が走る。「この魔王、俺たち喰らうのか…。(性的に)」

『ふん!!ヒト族に下る獣人など、家畜に過ぎず!!魔王の端くれならば、堂々と勝負しろ!!』


ブッチが巨大な斧を持ち上げる。

む!いかん!!俺は何も武器を持っていない!!

仕方が無いので地面に落ちていた拳大の石を投げる。

どうだ!ストレートだ!!


ピッチャー振りかぶって、手が離れた瞬間に円錐形の雲が出来て衝撃波が頬をなでる。

球はそのまま真直ぐ、ブタ兵を吹き飛ばしながら、ブッチとは関係ない方向へと飛んでゆく。


『なんだそのへっぴり腰は、カスリもせんぞ!』

ニタニタ笑うブッチ。

『見ていないで打ち返したらどうだ…。』

『面白い、遊んでやろうではないか!!』

オモチャでも見つけたように面白がるブッチ、斧をバッターよろしく構える。一本足打法だと…。

『フン!フン!』

スイング練習するブッチに声をかける。

『いくぞ!!』

『おう!こい!!』

低めのボール、外郭高めのボール。球を投げる度に、衝撃波と風圧でブタが飛ぶ。

ブッチ軍は隊列を維持するため、隊長クラスが奔走しているようだ。


よし!肩が温まった、マウンドを固めてモーションに入る、次は直球ストレートど真ん中だ!!

ボールが手から離れる瞬間、指先に違和感を感じる。

しまった!!

スローモーションで飛んでゆく球に、ブッチの両目が光る。

『もらった!!』

タイミングを合わせたブッチの斧が球の軌道にあわせて振りかぶると。


球は一直線にブッチの肩の下に当たり。

ブッチの上半身が木端微塵に吹き飛んだ。


デットボール。


静寂が戦場を包み、皆が呆然とする。


『エガシラさま凄いですにゃ、魔王イ・ベリコ・ブッチを倒したにゃ。』

ネコミミ女中が遮眼子しゃがんし持って走り寄って来た。まるでヒーローインタビューのアナウンサーよろしく、こちらに遮眼子を向ける。

『いや、アレはデットボールと言ってだな。』

死球デットボールですかにゃ、スゴイ魔法ですにゃ~。』

「いや、まほうじゃ『『『『エガシラ皇帝ばんざ~い!!』』』』ない…。」


見るとブタ兵が皆大地にひれ伏しウシ兵が狂喜乱舞している。

「いや、あのな…。」

「すごいですにゃ~先代の旧魔王のでも何度戦っても決着が付かなかったのに一撃ですにゃ。」

「あ?ああ。そうか。皇帝?」

「先々代の時代から勝ったほうが皇帝を名乗ると決めていたにゃ。」

「あ、そう、決めてたの?」


武装解除されてゆくブタ兵とケガ人の手当てをするウシ兵を眺め。

日が沈むまでに戦場の始末が付くのか思いをはせる。

笑顔で、エルムの言った言葉、「この見渡す大地、全てがエガシラ皇帝陛下の物ですにゃ。」が酷く心に重く押しかかる。

夕日に遠くの空に飛ぶトカゲの影を見て心に決める。


「よし!!明日、服を買いに行こう。」


(´・ω・`)さあ、エガシラ投手見事な投球を見せてくれました、球速は。手元の装置で1726m/s、かなりの肩の強さを見せました。解説の大山さん、エガシラ投手は見事、バッターを討取りましたね。

彡(-)(-)ええ、なんとか勝利を掴みましたが、コントロールの面での不安はあります。球速を落とさずにコントロールの面を強化できれば、世界の戦車と渡り合えると思います。

(´・ω・`)それでは、時間になりました。また明日もよろしくおねがいします。

彡(゜)(゜)よろしくお願いします。


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