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突入せよ!(鳥取)

(´・ω・`)作者は鳥取に2回しか行った事がありません。

別に何も思うところはありませんので、現地の方は気を悪くしないでください。

魚が美味しくて良い所だと思います。

だが、梨キャラメルお前だけは、ダメだ…。

どうせ、進攻するならばと、戦闘団を再集結させた。名目は長老たちの護衛だ。

海が在ると言うので、皆で海でバカンスに出ようと言った。

魔王は”城を留守にするのは問題だ、”と言ったが。”城は取り返せばよい。””お城が無くなるのはこまりますにゃ。(物理)”の押し問答が在ったが。

一人も欠員の無く移動することが決まった。


なお、ダークエルフの娘が着ていたのは”あぶない水着”らしい、伝説の遺物だ。

ダークエルフ領で生産されている情報を得た。最早、全員分が必要だ。(使用、保管、布教用)


ホルス将軍に、工兵連隊コーヘー二倍リャンに注文しのだが。

予算の都合で、増強工兵連隊コーヘーダイになった。


「むむむ、以外に良くできている。」


移動するついでに、図面どうり工事が行われているか視察しながらの旅だ。

図面を引いた時点で、ローマ帝国や、平安時代程度の技術力で作れるようにしたが、なかなか、良いものが出来ている。


資材、人員、物資がナロウボートへと積まれていく。

ウシ人、ブタ人の手で。


「しまった。クレーンが無いのか。」

皇帝視察でビクビクしている。ホルス将軍以下将兵。質問するとすぐに担当技官が飛んでくる。

「皇帝陛下、クレーンとは何ですか?」

大まかな話をすると工兵中隊のウシ人将校が来たので、詳しく説明した。

滑車を使った重量物の引き上げの知識が在る者が来たので理解が早かった。

「在れば、大変便利だと思います!それほど難しくないので、すぐに作成できると思います。」

ガッチガチだ、

「うむ、しかし、力学を理解していない者が操作すると、事故が起きる。実際、俺の祖国ではそうだった。」

「事故ですか?」

「大きな物を作れば作るほど大きな事故になる。死亡事故は帝国の損失だ。」

「はっ!心します。」

「力学と理論は俺にも解かるが、ロープや柱の強度は工学の分野で、手探りになる。コレを俺の祖国では経験工学と言った。」

「は?何でしょうか?」

「経験工学だ、やってみてダメだった事例を積み重ねて、完成へと近づくのだ。破壊強度、安全率、材料の見極め。全ては経験だ。後進の教育に勤め、経験を絶やさぬようにせよ。」

「はっ!経験工学、理解しました!経験を高め後進の教育に尽力します!!」

「まあ、試作からだな。模型を作って試験すると、良いのだが時間が掛る。無理をしないコトが肝心だ。」


二隻ほどナロウボートに組み立て式ガイデリック付いた。

おおむね良好だったらしい。

その後、小さな改良を行い、軍船には殆ど標準装備された。

橋を潜るとき高さ制限に引っかからないのが良い。との評価だ、軍船はドコでも降ろせる方が使い勝手が良いのだろう。


延々と続くボートと牽引路の列。

効率が良いのか悪いのか解からない。

それでも将軍の話では、以前より劇的に良くなった。との話だ。

運河を南下して国境に一番近い町に着いた、運河の終点で、ココからは陸路だ。


「ここから、海岸近くまで運河を伸ばしたい。測量を精査せよ!!」

帝国軍出発式で、訓示を述べると。ダークエルフの一団は何か不安げにボソボソ会話している。

リリンになんと言っているのか聞いてみたら。”我々は正しかったのでしょうか?”だそうだ。

よろしい、諸君、正しかったと証明して見せよう。


ついに国境を越えた。

迎撃は無かった。

元々、ダークエルフ達は国境という物を理解していなかった。

帝国が勝手に国境を作ったので不思議がっていた。


地質を調べ、測量を行い、地図を作成していった。


ついにダークエルフの町に着いた。海も見える。砂丘が印象的だ。


「なんと!!ダークエルフは鳥取に住んでいるのか!!」

「こーてーいへいかとっとりとはなんですか?」

貴重な通訳であるリリンがたずねる。

なんと説明しよう、ヨシダ君、座布団もってきてくれ…。

「俺の祖国の一地域で、海風が強くて砂地が多く、農作に適さない土地が多かったらしい、海は豊かだったが、荒れた日が続くと皆、困窮したそうだ、湿地が多く鳥が多かったので取り鳥と言う名が付いた。」

「かぜ、つお~い。」

風に靡く金髪幼女の髪、大変絵になる。

だが、ロリ婆(合法)だ。くっ最近、理性のタガが外れやすい。


町の外に、いきなり帝国軍で、大騒ぎになっているらしい。


長老団が説得のため、先行して町に入った。ダークエルフの娘は人質に残った、人質になるのか?


「シハル、皆、飲用水はどうしている?」

「井戸水がしょっぺーで、雨水ためて、わかしとるなも。」

シハル(ダークエルフ娘)の標準語が何故か名古屋弁だった。なお、指摘すると「わたし、標準語はなしとるよ?なまっとらんで~。」

ここは、鳥取なのか?名古屋なのか?どっちなんだ!!


帝国軍が町を半包囲する形で駐屯地や防衛設備を構築し始めるが、軍に飲用水の問題が大きくのしかかる。

急遽、馬車による、水輸送が始まる。

くっ!!予算が!!


程なく、町の門が開き帝国軍が進駐して。町の広場に帝国軍旗が翩翻とひろがえる。風が強いので絵になる。まあ、この風が敵なのだが。


ダークエルフ達は戸惑っている様子だ。

工兵たちは順調に測量を行って地図が出来てくる。

参った、水道と運河を作らなければならない。

運河予定地は高低差が有るので、閘門も作らなければ成らない。迂回案を採用すると運河が長距離になり経済性がわるい。

コレは工作技術的な問題が大きい。閘門技術、閘門開発と話していたら、魔王が、”ヤメテクダサイ”とガクブルし始めた。そっちはすでに開発済みである。


結局は引き上げ台船でお茶を濁して。

長期計画で迂回運河を作ることになった。


運河の開通が先決だが問題が起こった、湧き水だ。

試験で穴を掘ったら。海水がでた、何を言っているのか解からないと思うが、意外と土木ではある話だ。

水中ポンプの出動だが、ココは異世界、レンタル会社で”2吋水中ポンプを貸してくれ強いヤツな?”と言う訳にも行かない。

竜骨車のスケッチを描いたら工兵が、何とか形にした、動力は風車と手動で力技になった。

昔は人間が回していた物だが今はブタ兵が回転バーを数人で押している。

世紀末覇者にこんなのあったような。


一部の工兵士官らにいろいろ知っている装置ギミックを話すと、目をキラキラさせて、”エガシラコーテルイーガーカイカイ”とか、”マジスゴイコウテイヘイカマンセー!!”等と言い出してチョット引いた。

大学教授でもこういう人種はいたからな。


鳥取たる、ダークエルフ領は遠浅の砂浜で、大きなフネが作れない、喫水線が低いフネでビーチングするしかないのだ。

これでは外洋であぶない。

突堤や、桟橋を作ろうと言う話をしたら。

浚渫する方法が無いと言われた。

クラムシェルの話をしたら。良く解かっている工兵が”耐えられるロ-プがありません。”と言った。正にそうだ。


結局、既存のボートを二台つなげて板を張り双胴船(縦帆)を作って、地引網で魚を取った。

どうやら、ダークエルフは素もぐりでヤスで突く漁がメインで、その為のあぶない水着らしい。無論、全員分、発注した、だが夏までまだ遠い。


皆で、浜辺で引き上げた網は大漁過ぎて、皆テンションがおかしかった。

大漁の時はどうするのか聞いたら。

犬に食わせると言った。

日干しや、塩漬けの話をしたら。

塩の製作は薪の消費が多いので労力に見合わないと言っている。

内陸では高く売れるが、ここらでは井戸水がしょっぱいので作る必要が無い。

将軍に風車ポンプを利用した流化式塩田の話をしたら飛びついた。塩も戦略物資だ。


帝国製塩製造所の元になった。流石、鳥取、風と日光は無尽蔵だ。


外洋に出ると海竜が出るとの話でシーサーペントでも出るのかと思ったら。

ただのシャチだった、いや、シャチでは無いのかもしれない。全長12mぐらいあった。

銛で突くと即死したので、”竜田揚げキター!!”と叫んで浜辺に上げた。

皆ドン引きしていたが早速ステーキにして食べた、少々固いが、鯨ステーキだ。悪くないが、やはりイルカは生姜と味噌で煮るのが一番だ。日本がなつかしい。味噌が欲しい。涙を流して食べいると。

”どうしたんですにゃ?おなかがいたいんですにゃ?”とネコミミ女中が心配してくれた。

ついホロッとして、”祖国で食べた味を思い出したんだ、数が少なくなって食べられなくなったのでもう随分食べていない。”と言ったら。

”海竜すら食べつくすなんてアタマがオカシイですにゃ…。”と言ってしばらく近付かなくなった。


この時作った双胴船は第一帝国丸との名前をつけた。後年、教科書に載った。帝国海軍、初の外洋戦艦らしい。(地引き網漁船、主砲はエガシラ)


なお、現地勢力との衝突が無かったので一部の戦闘部隊が、工兵大隊と魔法中隊に交代した。

工兵大隊二倍コーヘー・リャンにしとけばこんな無駄は無かったと思うが、現地に行って見なければ解からないことはあるので、仕方のない無駄であったのであろう。


魔法中隊が来たので、防風突堤と防風林の建造にかかろうとした。

測量から細かい図面を作ったら、”こんなのできません”との返答だった。

将軍の話だが”土魔法属性は優先的に工兵へ送られたので、普通科魔法小隊に土魔法が使える者は少ない。そして工兵は帝国内の開発で手一杯でこれ以上抽出できる部隊はない”との説明。


何ができるのか聞いたら、”精々、成長の魔法で木を育てることしかできません。”

”よし解かった。塩水に強い喰える植物を探せ!!”と命令したら、いろいろ植えて実験しはじめた。

中隊の魔法使いがムー的な力で植えた種から芽が出て早回しで伸びて枯れた。塩に強い植物は少ないらしい。マングローブでもあれば最高なんだが。


町の外に巨大な穴が広がっていたフネの係留のためにある程度の広さが必要で水位調整池の機能もある。

填圧された地面や側壁はムー的な力で固めているらしい。試しに試験ピースを作ってもらったが。砂岩の様で透水性はかなり悪いようだった。

良かった、運河を作っても。朝になったら水が無くなっていた等と言うコトはおきそうにない。

湧き水により少しは塩水が混じったりしそうだが、淡水地下水位が上がればソレも少なくなるであろう。農業用には使えそうだ。

オーバーフローした水は海に流す計画なので。風車ポンプを使った灌漑用水路が作れる。


しかし、皆、仕事が速いな、大量の人足を使っては居るが重機並みの仕事の速さだ。


浄水水路が問題になった。飲用できる泉までの距離が遠すぎるのだ。

水量も高低差も問題ない一部陸橋を作る場所が在る。水路の幅が問題になった。

幅が広いと工期が掛りすぎる。しかし将来的な需要予測を考えると余裕のある設計にしたい。

結局、陸橋を過ぎたあと調整池を作って、ソコまでは広い水路を引いた。

後は、現在の需要に対応できる幅にした。

将来、不足したら隣に広い水路を敷設すればよい。陸橋作り直すのは大変だからな。


そして運河が完成した、だが未だ空堀だ。

注水式をやることになり。皆が集まり。盛大に祝った。”注水開始!!”命令を出すと

信号弾が上がり、遥か遠くで信号弾が上がった。信号弾リレーで運河の始点の水門まで信号を送る。

そして、信号弾が帰って来た。将軍から報告を受ける。

「水門注水開始。現在正常。」

『よし!この、運河は帝国臣民の英知と努力により完成した、皇帝エガシラは帝国軍将兵の献身に感謝する。』

「「「エガシラ、コーティールイーガー!!」」」の将兵の声の中、ネコミミ女中

「え?未だ水が来てにゃいにゃ?」

「うん?満水になるまで7日以上掛るぞ?」

フネが着いたのは10日後だった。


こうなると早い、どんどん物資がフネで運ばれてくる。

初荷はガントリークレーンの材料だった。

木製だが、設計図どうりに作ってくれたらしい。

台座は完成している。後は倉庫や船の修理ドックだ用地は確保している。コレも、土台は出来ているが、資材が無いので後回しにした。

現在は帝国全土での開発のため、資材の入手が難しい。出来るだけ現地で取れる材料を使わなければならない。外から運んでくる物は必要な物から作るコトになる。

以前RORO船の話をしたら、誰かが、覚えていたらしく、ナロウボート版RORO船が到着した。

フネのスロープから馬車が下りてくる。一人親方の行商人に人気らしい。

しかし、搭載台数が問題だ。ナロウボートに貨客船+フェリーは大きさ的に無理がある。

港で貸し馬業したら儲かるかもしれない。



解散するはずの水路工兵を、そのまま防風堤防に動員した。


全長8.2Km高さ8m幅20m片側中段付きの防風堤、上段には浄水水路、中段には灌漑水路を設置する予定だ。

現地で型枠を組み立て、ムー的結合力によって、できたL型擁壁に盛土ではなく盛り砂を転圧してゆく。

地盤転圧部隊(タコぺったん+ムー的力)、型枠組み立て部隊、ムー的魔法工兵小隊、型枠分解輸送小隊、砂運び輸送馬車部隊、転圧部隊(重いコンダラ)

工程を分けて専門部隊化し、二手に分けたら、日に日に堤防が延びていき。砂丘がどんどん無くなっていった。堤防が繋がれば完成だ。


最後の仕上げに表面10cmにムー的強化魔法をかけて完成だ、これは現地採用のダークエルフにやってもらった。

土魔法の使えるダークエルフを自警団に集めてもらったのだ。

ムー的力で、U字側溝とフタを作ってもらうコトにした。

伏せたU字型枠に水で練った砂を入れて、型枠を叩いて空気を出す。2~3日放置して乾燥させる。水が抜けたら底面を整え、ムー的結合を行い型枠を外し、木槌で打音検査してOKなら完成だ。

ダークエルフはウシ人ブタ人程腕力は無い。工兵に組み立て式門型クレーンを作って貰った。

コレで馬車に乗せ、現場に運ぶ。工場生産、現場据付の要領だ。据付けたらムー的結合で接着する。フタを乗せて、完了。


調整池までつながれば、浄水水路は完成だが。灌漑水路にまで手が回らない。工兵でやっても良いが手が足りない。


灌漑水路計画書は作ったので、技術を教えた形になった。メンテナンスは彼等にやってもらわなければならないので一石二鳥だ。

彼等、ダークエルフの手でこの砂地が農地に変っていくであろう。


防風林は魔法使いのムー的な努力により、這い寄るマツ材の様な植物が塩分につおいコトが解かった。

この植物は油脂分が多く乾燥すると良く燃えるが。成長が遅い。だが低木だ。

実は食べられるが苦いらしい。

シハル嬢の話では。

「うっわー懐↑かし↓いわ↑ー、子供の頃、よく拾って食ったわ↑~。」

平坦になった場所は防風堤防を挟んで、海側に這い寄るマツ材、陸側に高木こうぼくを植えて残りは農地になる予定だ、灌漑水路が完成すればの話だが。


何を植えよう。現在ダークエルフ領は水不足解消と食料増産を目的にスイカとカボチャの様な物を植えているが。

運河がつながって魔王領からどんどん物資が入ってきて豊かになった。

しかし、このままでは産業が無い、製塩は金ずるだが帝国軍もこの利益を当てにしての開発だ手放すことは無い。

現に一部の資金は”六ヵ月後、塩の引換券”として販売したのが元手だ。

他に金になる産業を作らなければ成らない。

「海の魚を獲ってうりゃーええでないの?今は沢山とれとるで。」

シハル嬢は随分と楽観的だ、ダークエルフ全体に言えるのかもしれない。

「あの漁法(地引き網)は魚を根こそぎ獲るので多用すると魚が居なくなる。回数を制限している。」

「あ~だから、みんな、帝国がシブイ(ケチ)で網貸してくれーへんとぼやいとったんやで。」

「説明したはずなんだが、誤解されているようだ、一度魚が取れなくなると禁漁しても魚の数が回復するのに最低5年はかかる。」

網目の広い魚網は開発中だ、単純に細くて強い糸が無いのだ。

「え?マジで…。」

いまさら驚くシハル嬢、

輸送が楽で金になる食い物か、帝国と同じ物を生産してはだめだ、水捌けの良い温暖な土地で育つ物か…。

くっ、農学部の連中でも召喚されないか…。

「仲間が居れば…。日本から呼べれば…。」

「大丈夫ですにゃ!!みんな頑張っているから必ずできますにゃ!!皆でよいアイデアをだすんだにゃ!」

ネコミミ女中の力強い応援に皆が頷く。

そうだな、農学の連中が来たらネコミミも、うし人もブタ人も解剖するだろう。

あいつ等は確実にやる。やらない理由は無い。

異世界だからな。







ぼくたちは魔王領を彷徨っていた、もうこの世界に来て一年が経とうとしている。

長かった、もうたえられない。

カレーがたべたい。チャーハンが食べたい。みそらーめんがたべたい。とんこつラーメンがたべたい。もう、インスタントでもいい。

カレーが食べたいとこぼしたら。

みゆきちゃんが、がんばってカレーのようなものを作ってくれた。

スゴイ香りだった。せっかく作ってくれたので、頑張って食べた。

上位の解毒魔法三回でも異常状態から回復しなかった。

次の日、お姫様がさらにスゴイ香りの名状しがたいシチュー的な何かを作ってくれた。

騎士さんと魔法使いちゃんが心配する、一口食べた。小学校の時、死んだおじいちゃんを草原で見た。

魔法使いちゃんがハイヒールを掛けてくれたので。おじいちゃんとは手を振って別れた。

気が付いたら、皿にみゆきちゃんのウォーターボールが命中してシチュー的な何かがダメになってしまった。


昨日、ついに、遠くに魔王城が見える丘に付いた。

もう限界だ。

ぼくは魔王と決戦する。と言った。

「勇者さま、反対です。未だ戦う時ではありません、せめて私と…。」

「ああ、もう面倒だし、サクッと魔王たおして帰りたいわね。」

「勇者殿、未だ、早いと思います。」

「勇者さま、魔王と決戦する前に、その、ひめと…、きずなを…。」

「ぼくは魔王に挑む。いいね?」

ぼくはお姫様の目を見た。いや、お姫様の瞳の中のぼくを見たのだ。

「はい、勇者さまのお心のままに…。」

お姫様が了承したので皆も了承してくれた。



そして今、魔王城の門の前に居る。

「さあ、みんな行くぞ!!」

皆を見るが真剣な顔で頷いた。

ぼくが門を叩く。


反応は無い。

「おかしいですね?勇者が来たら迎撃の兵が門から出てくると言う伝説なのに?」

「もう、魔法弾で門を壊しちゃおうか?」

「みゆき殿それは危険です。」

「魔法防御がある様なので破壊は難しいと思います。」


困っていると

「もお~、おまえさんらこんなところでなにしてっべ?」

剣を抜いて構えると。麦藁帽子に、オーバーオール、無精ひげのウシの魔物が一人立っていた。

鑑定すると。


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名前:スイ

年齢:38

種族:ミノタウロス(Lv23)

職業:農業

装備:鍬、水筒、てぬぐい


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「もう、まおうさまになんか、よ~じでもあるんけ~?」

「あ、あの、ぼくたち勇者なんです。」

「もあ~、挑戦者け~。ひさしぶりだわな~。」

「あの?門が開かないのですが…。伝説では激しい戦闘が…。」

「ああ、魔王様がな~。南西の海にバカンスだってよ~。もう、おしろの皆、引き連れて、もう、エライヒトらは優雅なもんだべ~。」

「南西の海??ばかんす??」

何を言ってるんだこの魔物は?魔物が喋ってる??

「そんで、もう、夏が終わるまで帰ってこないって、もう、何考えてるんだか?未~だ、春になったかどうかもわかんねえのに。」

「え?魔王はいないの?」

おどろく、みゆきちゃん。目が点になっている。ぼくもたぶんおどろいているはずだ。

「おまえさんらどうすっぺ?魔王様が帰ってくるまで、もう、野宿すんのか?何時帰って来るかわかんね~で、もう、いっぺん出直したほうがイイで~?」

「え?あの?」

何を言っているのか解らない。

ココまで苦労して来たのに未だフラグが立っていないんだ。

何を忘れたんだ!!

何かやっていない事が在るんだ!!

力が抜け両膝をついてしまった。地面に両腕をつけた、そのまま大地の砂を握る。

「ここまで!来たのに!!こんな思いをして!!ココまで!!。」

ギョーザ食べたい。家に帰って布団で寝たい。カリカリ君ぺペロンチーノ味アイスが食べたい。

「勇者さまチャンスです、魔王の玉座は強力な魔法障壁に守られていますが、今なら魔王は障壁の外です。」

声を掛ける魔法使いちゃんの声で我に返った。

そうか、チャンスなのか?魔王を追って戦えば良いのか?

NPCもヒントを出しているじゃないか。

「あの、おじさん、魔王は南西の海へ行ったんですね?」

「もう、お城の兵隊さんがダークエルフの里に行くって言ってたよ~。もう、これから暑くなるんだから涼しい所行けばいいのにね~。」

「ありがとうございます、これから魔王を追って海のへ向かいます。」

「もお~、そうかね、もう、道中き~つけてな~。」

皆の顔を見ると、魔王を追うことに異論は無いようだ。

NPCの魔物と手を振って判れる。

待ってろ魔王!フラグを回収して、家に帰るんだ!!




勇者一行が丘を越えて姿が見えなくなっても静止したままだ。

『目標、捜索圏を出ました。追跡班、行動開始、毒術処理班待機完了。』

「ふう。」

安全を確認して偽装装備を外す。勇者相手の腹芸は疲れる。

「お疲れ様でした、中佐なかなかの演技でした。」

特殊警備部付きの軍曹がお世辞を言う。

「イヤミを言うな、ヒヤヒヤ物だった。」

「これで、領内の被害が減ります。」

我々、帝国憲兵本部特殊警備部追跡シンメンタール中隊は数ある、ヒト族浸透攻撃部隊の中から勇者を割り出し。

捕捉に成功した。

その過程で、不幸な遭遇戦により失った工兵軍曹の戦死。それを追跡する、地方の憲兵分隊の能力に感謝するしかない。

彼らの努力データと我々(中隊)の努力(経験)で、この作戦は全てうまく行っている。

実にうまく、状況をコントロール出来ている。

彼らの予想進路を無人化して、装備をつけた動物を嗾け、物資によるコントロールを行っている。(物資がなくなるとその場に留まり殺戮を始める。)

夜の野営ポイントを割り出すのも重要だ、彼らの警戒線に引っかからぬ様に半包囲している。

移動後に何故か毒物散布が行われており。コレの処理に頭を痛めている。段々強力な毒物が使われるようになったのだ。

我々、中隊の任務は敵と戦わず。帝国の、帝国領民の安全を一番にありとあらゆる手段を講じるのだ。

工兵軍曹の死を無駄にしてはいけない。

これ以上の犠牲者は出さない。

彼は剣を抜いて戦って死んだ。

我々は、剣も抜けず、戦わず、この戦いを勝ち抜くのだ。

誰にも、感謝されずに。


(´・ω・`)次回、水着回。

タコぺったん…。タコと言う江戸時代の転圧(土堅め)道具、太くて短い丸太の幹の四隅に細い持ち手棒を付け四人で持ち上げて地面に叩きつける(ぺったん)。四人でできるので8本足=タコ。

今でも偶に造園屋が使っているのを見る。


(´;ω;`)業務連絡。追いつきました。土日の更新はありません。

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― 新着の感想 ―
[一言] くっ最近、理性のタガが外れやすい。 4~5話で魔王をレイプ(5日間)した奴が何言ってるんだ?
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