こわいもの
夜中に泣きながら遺書を書き、ようやっとこれで死ねるという解放感に包まれた刹那、自決できなかった己の惨めさと情けなさ。
これより最低で最悪なものがあるだろうか。これより酷く、酷い環境と変化があるだろうか。
自決できないと分かった時こそ、恐ろしいことを知ってしまった、私は知らずともいい扉を開けてしまった愚か者だと突きつけられた時こそ、それが最も劣悪な真実であることを、世界で何人が知っているだろうか。
私は、自決することが怖い。自分の手で幕を下ろすことが、この上なく恐ろしい。
だから私には、怖いものなどない。
何故なら自決しない日常こそが、今の私を囲む環境だからだ。
End.