殺し奪う死神は人に紛れる
「あははははははははははっ‼︎」
切って沈んで切って沈んで。俺はスキルの影渡りをフルに使って城の中の人間を殺して回っていた。神を殺したことにより手に入れた大量の経験値は俺を最強レベルにまで押し上げた。敵なしだ。
前から迫ってくる兵士の槍を、剣を避けてその鎧の関節の隙間からナイフを入れて殺す。自前のナイフと毒薬があって良かったと思う今日この頃である。
横から飛んできた魔法らしきものを影渡りで避けて後ろに出る。そのまま首をとばす。今や城はあらゆるところが血で染められていた。
誰も俺を止められない。奪った槍を投げれば大勢を貫いて殺し、剣で斬れば相手は真っ二つになる。俺は今までの経験を思う存分に活かしてありとあらゆる人間を殺して回る。
兵士に騎士は当然のこと、メイドや執事、文官や庭師など多くの人間を殺した。城を回りきって残すは最上階にあるデカイ大扉の中だけだ。
扉を蹴り開けると中には王冠をかぶった王らしき人物と王妃と思われる女性。そしてその息子や娘に王達を守る形でこちらに対峙している兵士たちがいた。
「きっ、貴様は何者だ!このようなことをしてどうなるのかわかっているのか!」
王様が引きつった声で俺に怒鳴る。見ていてとても滑稽で笑いがとまらない。機嫌は良いので自己紹介してやる。
「どうも初めまして、お前らに召喚された勇者(笑)にして異世界の殺人鬼、《道化》と申します。死後、お見知り置きを」
俺はニッコリと笑ってお辞儀をした。王達に動揺が走るが知らんぷりしてやる。兵士も動揺してるみたいだな。
「何故、勇者なら我らを殺す⁉︎何故、何の罪も犯していない者を殺すのだ⁉︎それに他にも勇者はいたはずだ!」
「え?なんで殺したかって?そんなの楽しいからだよ?殺しは趣味。日本だと満足に殺せなかったけど異世界だと好きに殺せるから楽しいよ。召喚してくれてありがとね!それと他の勇者は全員、殺したよ?邪魔だしね」
王や兵士は愕然としている。現実を受け止められずにいるようで目は虚ろになってきていた。
「う、嘘だ。そんなはずは……」
「楽しかったよ。さよなら」
俺は王の首をはねる。悲鳴をあげる王妃とその子供たち。俺はニッコリと嗤って悲鳴をBGMに再び虐殺を始めた。
☆☆☆
「あー、楽しかった。こんなに満足いくまで殺せたのは初めてだよ」
俺は座って額に浮かんだ汗を拭きながら言った。俺の隣にはついさっきまで生きていた第ニ王女様が転がっている。その周りには俺が殺した人間の一部がゴロゴロと転がっていた。
「それにしても拷問も面白いな。日本じゃ殺すだけで拷問は出来なかったからなー」
俺の隣に転がっている第ニ王女様は両手両足がなく、目は抉り出され、口には切り取った王女自身の指が詰められていた。服も全て破かれており、その綺麗だったであろう体にはたくさんのガラス片が刺さっていて更に股の間からは液体が垂れていた。
「これからどうすっかねえー」
拷問の途中で金庫の場所やこの世界の常識などは聞き出した。通貨もわかったし文字は日本語の約が見えるので問題はない。俺は取り敢えず金庫へ向かうことにした。
金庫に着くとそこには鉄の扉があって鍵がかかっていた。鍵なんて持ってるわけもないので蹴り開ける。中には金貨や銀貨、宝石に様々な道具や本があったがどれに価値があるのかはよくわからなかった。何か使えるもんはなかったかなあとスクールバックを漁ると、神を殺した時にその場に落ちた金色の珠があった。
その珠をなんとなくジッと見つめていると頭の中にスキルの一覧が表示された。どうやらこの珠でスキルを取得できるらしい。適当に役立ちそうなスキルを取得して、金貨の中に再度目を向ける。すると《鑑定》を取得したことにより説明文が表示された。
名称 閃貨
分類 通貨
説明 大陸全土で使える閃貨。単位はない。閃貨=1億円ほどの価値。
名称 魔銀貨
分類 通貨
説明 大陸全土で使える魔銀貨。単位はない。魔銀貨=1000万円ほどの価値。
名称 白金貨
分類 通貨
説明 大陸全土で使える白金貨。単位はない。白金貨=100万円ほどの価値。
名称 金貨
分類 通貨
説明 大陸全土で使える金貨。単位はない。金貨=10万円ほどの価値。
名称 銀貨
分類 通貨
説明 大陸全土で使える銀貨。単位はない。銀貨=1万円ほどの価値。
名称 レッドパール
分類 宝石
説明 赤いパール。とても珍しく、献上品にされることが多い。
名称 エメラルドクロウ
分類 魔石
説明 とある大型の災害級魔物から取れた魔石。風属性で、爪の形をしている。国宝。
名称 聖剣カリバーン
分類 聖剣
説明 昔、異世界からきた勇者が使ったとされる剣。光属性をまとい、闇属性に高い耐性を持つ。
名称 悪魔の魔導書
分類 魔導書
説明 魔界から召喚された上級悪魔が
残した魔導書。使用者を選び、選ばれなければ死に至る。
他にも様々なものがあったが割愛する。というか、あまりにも多すぎて細かく見てられない。俺は金庫にあるすべての物を新しく取得したアイテムボックスに仕舞うと、城を後にした。
☆☆☆
城を出て城下町に行くと、そこはかなり賑わっていた。俺は拷問して聞き出した職の中に《冒険者》というものがあったので、それになるために冒険者ギルドに向かっている。道行く人に場所を尋ねながら財布を幾つかスる。
冒険者ギルドに着くと中からは下品な笑い声と酒の匂いがした。まったく、鼻が良すぎるのも悪いと思うくらいには臭い。そんなことを今更気にしても仕方がないので中に入った。
冒険者ギルドの中はよくある小説にあるような内装をしていた。ギルド内すべてのカウンターには受付嬢が座っている。なかなか美人ぞろいで、俺の好みの子がいたのでそこに並んだ。5分ほどで俺の番になる。
「ようこそ冒険者ギルドへ。本日のご用は何でしょうか?」
「冒険者の登録をお願いします」
俺はよそ行きの笑顔で対応する。これこそ処世術だ。俺はニコニコしながら前の女性を観察する。
長くまっすぐに伸びた青い髪、少し吊り上がった目、胸は大きくも小さくもない。強気でクールそうな女性だ。歳は20代前半くらいだろう。俺がその女性を観察しているうちに女性は準備を終えたのか返事を返してくれた。
「こちらに記入をお願いします。この内容がギルドカードに表示されますので出来うる限り真実のみを書いてください」
「わかりました」
俺はニコニコと顔を崩さないままに渡された紙に記入をする。氏名……シュンヤでいいか。得意武器は短剣っと、スキルは…基本スキルだけにしとこう。えーと他には…………
俺はすべての事項を書き終わると受付をしてくれている女性に渡した。女性はざっと一通り読むと縦5横8ほどのサイズの金属プレートを取り出して紙の下にあった四角の中に押す。するとプレートには文字が書かれていた。
「では最後に指を切って血を一滴流してください」
俺は言われた通りに血を一滴プレートに流す。するとプレートは淡く輝いてから元に戻った。女性が俺にそのプレートを手渡す。
「これで基本登録は終わりました。今からランクを決めるので訓練場に行ってください。それで登録事項は最後です」
「わかりました。行ってきます」
俺は言われた通りに訓練場に行くと、既にそこには試験管らしい男性職員がいた。腰には剣を差している。
「よろしくお願いします」
「おう、実力を見るためにお前と戦うギルド職員のラッツだ。よろしくな。これでも元Bランクの冒険者だから遠慮はいらんぞ」
「わかりました」
ラッツという職員は短めに刈った金髪と頰にある傷が特徴的だ。身体は鍛えられていて筋肉が締まっている。俺は一通り観察してから自分の持っていたスクールバックからナイフを取り出した。正確にはバックから出したように見せてアイテムボックスから出しているのだが。
「では、行きます」
「おう、いつでも来い」
俺がナイフを構えるとラッツも剣を抜く。サイズ的には長剣だ、両刃で恐らく鍛造式で作られた質の良い剣だろう。俺のナイフはダマスカス鉱のコンバットナイフで基本は片刃だが、逆側にはノコギリの様な刃が一部付いている。
ジリジリと間合いを計りながらタイミングをはかる。ラッツは隙を見せないので俺は作戦を立ててからラッツに向けて跳び出した。
殺気を全開にして突っ込む、そこをラッツの長剣が上段から迫るがそれを一歩下がって避けて再度ナイフを振る。今度はラッツは長剣を薙ぎ払うように構えて振るが、俺はナイフを振る途中で殺気を全て消して隠密を発動する。するとラッツは目の前にいる俺の気配が一瞬で消えたので俺を一瞬、見失う。
俺はその隙をついてラッツの長剣を弾き飛ばしてナイフを首元に突き付ける。俺の、勝ちだ。
「俺の、勝ちですね?」
「あ、ああ。お前の勝ちだ。これならいきなりBランクからでもいいだろう」
俺の問いかけにラッツは頷くと俺をBランクにすると言った。するとまたしてもギルドカードが淡く輝いてそこにはBランクの文字が書かれていた。
ギルドカードの内容
Name シュンヤ
skill 短剣術、体術、隠密、索敵
rank B
party 無し




