君の元へ…
俺の中から、凄まじいほどの想いが、意志が溢れ出す。
「絶対に君を死なせないッ!!
蒼華ッ!!」
俺は蒼華を呼ぶ。
「俺に力を貸してくれ!!」
うん、今の優斗ならできるよ…
必ずできる…
蒼華は先程とは別の花弁を、俺の所に動かす。
俺はその花弁にかつてないほどの光を流し込む。
す、凄い…
蒼華の呟きが聞こえないほどに俺は集中していた。
絶対にこの子を救う…
俺を、俺なんかをヒーローって言ってくれたこの子を…
俺を救ってくれたこの子を…
「俺は…、君を救いたいんだッ!奏ッ!!」
蒼い光が花弁に集まった瞬間、それは形を変えた!
「俺に、奏を救う力をッ!!」
花弁は杖へと変化した。
それは、神話に出てくる“アクレピオスの杖”のように、一匹の蛇が巻き付いていた。
その蛇が、奏の首筋に噛みつく。
「んっ」
奏がうめき声をあげる。
それを聞き、今まで茫然としていた人々が、再び罵声をあげる。
「お前を助けた子になんてことしてやがんだッ!!」
だが、そんな罵声すらも、今の俺には意味がない。
罵声だけでなく、泥も俺の集中を乱すように嘲笑ってくる。
[ふふふ、君にはそんな力はないよ。
壊すしか脳のない君にはね]
俺はあえて、泥に言葉を返す。
「そうだ。俺にはなんの力もない。
ただのクソガキだ。
だけど、俺を信じてくれたこの子の前にいる時だけは…」
俺は身の内にある光を高め、言葉を発す!!
「救世主になってやるッ!!」
その言葉をきっかけに俺の中の大量の光が、奏へと流し込まれる。
「うおぉぉぉぉああああーーー!!!」
俺の叫び声に連動するように、光が流れる量が増す!
奏に変化が生じた。
呼吸は落ち着き、口や傷口から流れ出ていた血も止まり、傷口もみるみるうちに塞がっていく。
幾ばくかの時間が流れた…。
傷口は完全にふさがり、奏は穏やかに眠っている。
蛇が杖に戻り、再び巻き付いていく。
できた…
俺は…
俺は、奏を救う事ができた…
俺は奏を抱えて小林さんの方へ歩み出す。
「頼む」
そう一言だけ言い、小林さんの前に、ゆっくりと彼女をおろす。
「う、うん」
小林さんは慌てて屈み、返事を返してくれた。
「行ってくる」
俺は笑顔でそう言って、泥の方へ向き直る。
残っているのは、紅いやつを含め残り5体だ。
「今度は逃がしたりはさせない!」
うん、やれるよ、優斗…!
俺は杖を前に出す。
今度は俺の手に蛇が噛みついた。
「お前らにプレゼントだ。
ありがたく受けとれ!!」
俺の血を吸った蛇は、1体の泥へと向かう。
蛇が泥に巻き付き、噛みついた!
蛇はすぐに戻ってくるが、泥に異変はない。
不意に、その泥が泥の塊を飛ばした。
それは、他の泥に当たった。
飛ばされた泥は蒼い光を帯びていた。
それが当たった瞬間、泥は塵へと帰る。
「…!これは…、厄介ですね」
そう口にした紅い泥は、蛇に、いや、俺の血に汚染された泥を細切れに切り刻んだ。
「仲間同士で勝手にやってて貰いたかったんだけどな」
俺は紅いのに向かって、文句を言う。
実のところ、それは半分本音だった。
奏を治すためにかなりの集中力を必要としたため、精神的に大分消耗していた。
だが、もう半分は違う!!
俺は、もう一度蛇に自分を噛ませる。
今度は、俺自身を汚染する。
杖を手放し、剣を手にすると、瞬時に駆け出す!!
[………ッ!!]
紅いやつが驚愕するほどの速さで、二体の泥を細切れにする。
「楽はしたいけど、どうしてもお前だけは俺自身の手でぶったぎってやるよ」
俺が言うや否や、紅いやつが紅い光を帯びた泥の塊を飛ばしてくる。
俺は、残った花弁で受け止める。
紅い泥は焦ったように次々と飛ばしてくるが、全て花弁で撃ち落とす!!
[本当に小賢しいですね、貴方は!!]
紅い泥は苛立たしげにそう言うと、俺の方へ突っ込んでくる。
俺は口元を歪ませ、一言だけ呟く。
「滑稽だね」
それは、最初にこいつが発した言葉だ。
「うおぉぉぉォォォォォッッッツツツ!!!」
行けるよ、叫んで…!!
「蒼閃・電光石火ッ!!」
瞬間、俺は全身を蒼の光で覆う!
誰の目にも映らぬほどの速さで、
紅い泥を微塵に斬り刻む!!
「これで…、奏の分は…返したぞ」
ぎぃヤぁぁァァァあ゛あ゛あ゛………
俺がそう口にした瞬間、紅い泥は断末魔あげ消え失せた。
俺は、奏のところへゆっくりと歩み寄り…
「ただいま」
と、笑顔で言い、奏の頭を優しく撫でた…。
すっごい勢いだけで書いてしまいました。
まぁ、読んで見てくださいw




