眠り…
目を開けると、そこは病院の天井が見えた。
体を起こそうとすると、体の至るところが悲鳴あげる。
「……ッ!」
その痛みに、起きるのは無理だなと諦める。
仕方なく頭だけを動かすと、自分のいるベッドに突っ伏して眠っている、同い年の女の子がいた。
「……向井……さん」
その子はとても可愛いらしい寝息をたてて、無邪気な寝顔を見せている。
俺はその寝顔を見て、自分が涙をこぼしていることに気づく。
生きていたんだ…
あまりの感激に、込み上げる衝動を抑えきれず、腕の痛みに我慢しながら、彼女の頭をそっと撫でる。
彼女は一瞬だけくすぐったそうに顔をしかめたが、すぐに気持ち良さそうな顔になる。
本当に生きてる…
彼女が生きていたなら、一弥もきっと…
俺は彼女を撫でることに夢中で、自分の行動をじっと見ている人影に気がつかなかった。
(起きたんだね)
その人影は眠っている女の子を起こさないように、小声で話しかけてきた。
その不意討ちに、びくっと体が震えた。
恐る恐る今まで撫でていた子の方へ目を向けると…
ばっちり、目があってしまった。
最初はぼんやりとこちらを見ていたが、現状を理解した途端、彼女の顔はみるみる赤く染まっていく。
俺は慌てて両腕を上にあげ、激痛に襲われる。
「………つッ!」
漏れる呻きに、向井さんが心配そうに見てくる。
「私は看護婦さん呼んで来るから、奏は坂倉君といて」
「……っ!え、茜ちゃん、まっ…」
向井さんの呼びかけを最後まで聞かぬまま、小林さんは病室を後にした。
そう言えば、ここ個室だな…
どうでもいいことを考えることで、今の状況から目を反らそうとして、余計どつぼに嵌まる。
個室で、二人っきり…
自分でも何考えてんだと思いつつも、膨らむ妄想は止まることを知らない。
そんな葛藤に陥っている中、向井さんが声をかけてきた。
「あの…坂倉君…」
「……っ!はいっ!」
突然話しかけられたことで、声が上ずってしまう。
「……ふっ、ふふふふふ」
「……へっ?」
突然笑われて、思わず間抜けな声が出た。
「ごめんなさい、坂倉君、面白くて」
そう言って、向井さんは笑い続けていた。
色々聞きたいこともあったが、そんなことは忘れて、二人で思いっきり笑っていた。
病室に俺達二人の笑い声が木霊する。
俺は笑い過ぎて、身体中に激痛が走った。
「……ッ!アタタッ」
そんな俺を見て、向井さんが大丈夫と、心配そうに声をかけてくれた。
俺は無理矢理笑顔を作って、大丈夫と返すと、病室のドアが開いた。
「は~い、お二人さ~ん。
雰囲気作ってるところ申し訳ありませんが、診察しますね~」
入ってきた看護婦さんの言葉に、二人同時に反応する。
俺達は慌てて顔を離し、何でもないように装う。
弱冠向井さんの顔が赤くなっていたのは、気づかなかった事にする。
そんな俺達を見て、小林さんが顔をしかめていたことに、俺は本当に気がつかなかった。
そんな俺達を横目に、看護婦さんは向井さんと位置を入れ替える。
(あらあら、坂倉さんはモテモテですね)
(……ッ!)
看護婦さんが俺にだけ聞こえるように言う。
俺は驚き過ぎて、またもやびくっと体を震わせたため、激痛が走り、学習しろ、俺と凄まじい後悔をする。
「あらあら、意地悪しすぎちゃったわね」
舌を出して、おどける看護婦さんはとてもずるかった。
そんな俺達を見て、女子二人が白けた目を向けていることに、俺は全力で気づかないふりを徹底した。
そんな寸劇の後、看護婦さんが湿布やガーゼの張り替えをしてくれた。
特に重い怪我はなく、擦り傷と極度の筋肉痛、後は過労が診られると、看護婦さんが説明してくれた。
その後、看護婦さんから坂倉君と、笑顔を向けられて、はい?と返すと…
ばちんッ!
頬に平手打ちを一発もらい、
「あなたは自分の命をなんだと思ってるの!!」
と、小一時間ほど盛大にお叱りを受けた。
最後の方、俺は泣きそうになっていたが、
「本当にあなたが無事でよかったわ」
という一言と看護婦さんに抱きしめられた温もりで、今度は別の方向の涙を我慢しなければならなかった。
気がつくと、女子二人の姿は、いつの間にか見えなくなっていた。
俺が治療を受けている間に、彼女達は他の看護婦さんに連れられ、別の病室で睡眠をとるように言いつけられていると、看護婦さんが教えてくれた。
これ以上無茶をして倒れる人が増えられると困るからと、笑顔で言われた。
いやはや、ホントすみません。
聞きたいこと一杯あったんだけどな…
看護婦さんが病室を出た後、俺は一人暗い病室で物思いに耽っていた。
無事だった女子二人。
彼女達が無事だったのは、本当によかったが、何故一弥と先生が一緒じゃないのかという疑問が残る。
まぁ、明日聞けばいいか…
俺達はまだ、生きているんだから…
俺は久しぶりに、穏やかな気分で眠りにつくことができた。
ふー、休日は筆が進みます♪
(別に筆持ってないけどw)
とりあえず、切りのいいとこで一話あげときます。
誤字・脱字ありましたら、ご報告下さい。
では(・ω・)ノシ




