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婚約破棄されたので推し作家になったら、取引先の御曹司が熱狂的ファンでした

作者: アウラ
掲載日:2026/01/19

「君は仕事はできるけど、女としての魅力がないんだよね」


金曜日の午後六時。残業確定の企画書を抱えた私の前で、婚約者――もとい元婚約者の白石誠也は、爽やかな笑顔でそう言い放った。


隣には、ゆるふわ巻き髪をなびかせた後輩の園田美月が「私、そんなつもりじゃなかったのに……」と涙ぐんでいる。


(いや待って。その企画書、私が徹夜で作ったやつだよね?)


(あと美月ちゃん、先週『誠也さんって素敵ですよね、凛花先輩みたいになりたいです』って言ってたよね?)


(なりたかったのは私の立場であって、私自身じゃなかったってこと?)


五年。

五年間、この男のためにどれだけの休日を犠牲にしてきたか。


「凛花、怒るのはわかるけど、美月を責めないでくれ。俺たちは本気なんだ」


誠也が美月の肩を抱く。


私は怒っていない。

むしろ、驚くほど冷静だった。


「……そう」


「え?」


「わかった。じゃあ婚約指輪、返すね」


左手の薬指から、三年前にもらった指輪を外す。

正直、デザインも好みじゃなかった。


「ちょ、凛花? もっとこう、話し合いとか……」


「必要?」


誠也が言葉に詰まる。


(五年返して、とは言わない。言ったところで返ってこないし)


(というか、この状況で何を話し合うの?)


(『やっぱり君がいい』とでも言われたら復縁すると思った?)


(残念。私、そこまでお人好しじゃない)


「白石部長、これ今日中って言ってた企画書です。机に置いておきますね」


「あ、ああ……」


「園田さん、お幸せに」


美月が引きつった笑顔を浮かべる。


私は二人に背を向けて、自分のデスクへ戻った。



「はあああ? 婚約破棄いいいい!?」


定時後、同期の桐谷楓が叫んだ。


オフィスに残っていた数人が振り返る。


「楓、声」


「声とかどうでもいいわ! あの寄生虫男、マジで言ったの!?」


「マジで言った」


「は? お前の企画で出世しといて? お前がいなきゃプレゼンもまともにできないくせに?」


(知ってる)


「女としての魅力がない? あいつの目は節穴か。いや関係ないわ、仮に関係あったとしても五年尽くした女に言う台詞じゃないでしょ」


(それも知ってる)


楓が私のデスクをバンバン叩く。


「凛花、泣いていいんだよ。怒っていいんだよ」


「……ありがとう。でも、意外と平気」


嘘じゃない。

悲しいとか悔しいとか、そういう感情より先に浮かんだのは。


(あ、これで小説書く時間増えるな)


我ながらどうかしてると思う。


「平気じゃないでしょ、強がんないで」


「本当に平気。むしろ、ちょっとスッキリしてる」


楓が怪訝な顔をする。


「……凛花、あんたまさか」


「うん。多分、とっくに冷めてた」


好きで付き合い始めたはずだった。

でもいつからか、私は『婚約者』という役割を演じていただけだったのかもしれない。


「もう誰かのために頑張るの、やめる」


「お」


「これからは自分のために生きる」


楓がニヤリと笑った。


「いいじゃん。その意気だ」


「というわけで今日は帰って小説の続き書く」


「は? 小説?」


(あ)


「……何でもない」


「待って今小説って言った。凛花あんた小説書いてんの?」


「空耳」


「空耳じゃない。何それ読ませて」


「絶対嫌」


楓の追及を何とかかわして、私は逃げるようにオフィスを後にした。



帰宅後、パソコンを開く。


『りん先生の新作、待ってます!』

『続きが気になりすぎて眠れません』

『推しカプが尊すぎて昇天した』


画面に並ぶコメントの数々。


私――柊凛花には、誰にも言えない秘密がある。


小説投稿サイトで『りん』というペンネームで活動していること。

そしてその小説が、最近じわじわとバズり始めていること。


『本日の閲覧数:89,247』


(……増えてる)


現実世界では「女としての魅力がない」と振られた私だけど。


この世界では、何千人もの人が私の紡ぐ物語を待っていてくれている。


「さて、書くか」


婚約破棄された夜。

私は画面に向かって、新しい物語を紡ぎ始めた。


『第一章 冷徹公爵は婚約破棄された令嬢を溺愛する』


(我ながらタイムリーなタイトル)


キーボードを叩く音だけが、静かな部屋に響く。


これが、私の新しい人生の始まりだった。


――そしてこの時の私は、まだ知らなかった。


この小説が、思いもよらない出会いを運んでくることを。



婚約破棄から一週間。


私は普通に出社し、普通に仕事をしていた。


(周囲がザワザワしてるのは気のせい。気のせい)


「ねえ、柊さん大丈夫かな」

「白石部長ひどくない?」

「でも園田さんも可愛いしなあ」


(聞こえてるんだよなあ……)


「凛花先輩」


噂の渦中の人物が、私のデスクの前に立った。

園田美月。略奪女、もとい誠也の新しい婚約者。


「何?」


「あの……この資料の作り方、教えていただけませんか?」


差し出されたのは、取引先へのプレゼン資料。


(え、これ私が教えること?)

(というか誠也に聞けば?)

(あ、誠也も作れないんだった)


「園田さん、それ白石部長の担当でしょ」


「でも部長、お忙しそうで……」


(忙しいって、何に?)


誠也の視線を感じる。

私が美月に冷たくしたら、『大人げない』と言うつもりだろう。

私が美月に優しくしたら、『やっぱり凛花は良い奴だ』と安心するのだろう。


どちらにしても、私が損をする構図。


「基本的な作り方は研修で習ったよね。それを応用して」


「で、でも……」


「私も自分の仕事があるから」


美月の目に涙が滲む。


(出た。涙)


「そ、そうですよね……すみません……」


周囲の視線が痛い。

『婚約者を奪われた女が後輩に冷たくしている』という構図の完成である。


(はいはい、私が悪者ね)



「柊さん、会議室に来てもらえる?」


午後、誠也に呼び出された。


会議室には誠也だけ。

嫌な予感しかしない。


「何でしょうか、白石部長」


「部長って……凛花、そんな他人行儀にしなくても」


「他人ですから」


誠也の表情が一瞬歪む。


「……美月が泣いてたよ」


「そうですか」


「君のためを思って言うんだけど、もう少し大人の対応ができないかな」


(出た。『君のためを思って』)

(お前のためだろ)


「業務外のことを教える義務はありません」


「義務って……俺たち、五年も一緒にいたじゃないか」


「だから何ですか?」


誠也が言葉に詰まる。


「……凛花、変わったな」


「そうですか」


「前の君は、もっと素直で可愛かったのに」


(は?)

(素直で可愛いって、お前の言いなりになってたってことでしょ?)

(それを『可愛い』とか言うの、最高にキモいんだけど)


「私は変わってません。見る目ができただけです」


「……何だよ、それ」


「失礼します」


会議室を出る。


背後で誠也が何か言っていたが、聞こえないふりをした。



「うわ、最悪」


昼休み、楓に報告すると、彼女は顔をしかめた。


「『君のためを思って』? 笑わせんな」


「ね」


「で、凛花はどうすんの」


「どうって?」


「あの会社、続ける?」


私は少し考える。


正直、居心地は最悪だ。

でも、ここで辞めたら負けた気がする。


「……もう少し様子見る」


「そ。まあ、限界きたら言いなよ」


「うん」


「で、小説は?」


「だから書いてない」


「嘘つけ。昨日更新されてたじゃん」


(え?)


「凛花が『りん』でしょ」


「……は?」


「文体でわかるわ。あと、主人公の口癖が凛花そのまんま」


(嘘でしょ)


「バレてた……?」


「最初から知ってた。感想送ってるし」


「え、あの長文の人!?」


「そう」


楓がスマホを見せる。


『推しカプの関係性が最高すぎて語彙力が死にました。特に公爵が令嬢の才能に気づくシーン、三回読み返しました。次回更新、首を長くしてお待ちしています』


私の熱狂的ファンその一、まさかの同期だった。


「う、嘘」


「嘘じゃない。凛花の小説、マジで面白いから」


「…………」


照れくさくて死にそうになっていると。


「あの、すみません」


背後から声をかけられた。


振り返ると、見たことのない男が立っていた。


銀縁眼鏡。切れ長の青い瞳。モデルのような長身。

明らかにうちの社員じゃない。


「……どちら様ですか」


「神代蒼真です。御社と取引のある神代テクノロジーズの」


(神代テクノロジーズ? あの急成長中のIT企業?)

(確か、社長がめちゃくちゃ若いって話題の)


「社長さん、ですか」


「ええ」


「何か御用でしょうか」


男――神代蒼真は、一瞬だけ目を泳がせた。


そしてなぜか、私の顔をじっと見つめる。


「あなたが……柊凛花さん、ですか」


「そうですが」


「…………」


沈黙。


(何この人)

(怖いんだけど)


「あの、何か」


「い、いえ。失礼しました」


神代蒼真は、早口でそう言って去っていった。


「……何あれ」


楓が呟く。


「さあ……」


(取引先の社長がなぜ私の名前を?)

(というか、なんであんなに動揺してた?)


疑問は残ったが、深く考えないことにした。


まさかあの男が、私の人生を大きく変えることになるなんて。


この時はまだ、知る由もなかった。



神代蒼真は、混乱していた。


(柊凛花。柊、凛花。りん、か……『りん』……)


自室のデスクで、彼は頭を抱えていた。


目の前には、小説投稿サイトのページ。

作者名『りん』。


「まさか、な……」


彼は知らず知らずのうちに、引き出しを開けていた。

中には、アクリルスタンドやキーホルダー、クリアファイル。

全て『りん』先生の小説のグッズである。


神代蒼真。28歳。若手経営者として名を馳せる彼には、誰にも言えない秘密があった。


Web小説の、熱狂的なオタクであること。


そして『りん』先生の作品を、連載初期から追いかけている古参ファンであること。


「落ち着け。偶然の一致かもしれない」


一週間前、取引先の会議でたまたま見かけた女性。


艶やかな黒髪。琥珀色の瞳。地味なグレーのスーツ。

その姿が、なぜか目に焼き付いて離れなかった。


(綺麗だと思った。それは事実だ)


だが問題は、そこではない。


彼女が持っていた企画書の端に、小さく書かれていたメモ。


『冷徹公爵、ここでデレるのは早い?』


(『冷徹公爵は婚約破棄された令嬢を溺愛する』。りん先生の最新作のタイトルだ)


(いや、でも、偶然かもしれない。読者かもしれないし……)


しかし、蒼真の勘は告げていた。


あの女性が『りん』先生本人だと。


「柊凛花……」


名前を調べるのは簡単だった。

取引先の社員名簿を確認しただけ。


(ストーカーじゃない。ファンとして、作者の正体が気になるのは自然なことだ)


自分に言い聞かせる。


「確かめないと」


気づけば、彼は立ち上がっていた。



そして三日連続。


蒼真は取引を名目に、再び彼女の会社を訪れていた。


(何をしてるんだ、俺は)


冷静に考えれば、異常な行動である。

大手企業の社長が、一社員に会うために何度も足を運ぶなど。


しかし、止められなかった。


「兄さん、顔赤いよ」


自社に戻ると、双子の弟・千隼が待ち構えていた。


「……赤くない」


「赤い赤い。めっちゃ赤い。林檎みたい」


「黙れ」


千隼がニヤニヤ笑う。


「何かあったでしょ。言いなよ」


「何もない」


「嘘だあ。兄さんがそんな顔するの、あれでしょ。『りん』先生関連でしょ」


(なぜわかる)


「違う」


「図星じゃん」


千隼は蒼真が小説オタクであることを知っている数少ない人物だ。

というより、唯一の人物だ。


「……見つけた、かもしれない」


「何を?」


「『りん』先生を」


千隼の目が輝いた。


「マジ!? どこ!? 誰!?」


「取引先の社員」


「え、身近! 超身近じゃん!」


「まだ確定じゃない」


「でも可能性あるんでしょ? どうすんの?」


蒼真は考える。


どうする。

確かめたい。でも、どうやって。


『あなた、Web小説書いてますか』などと聞けるはずがない。


「……もう少し、調べる」


「ストーカーじゃん」


「ファン活動だ」


「同じでは?」


蒼真は弟を睨んだ。


しかし千隼は怯むどころか、楽しそうに笑っている。


「いいじゃん。兄さんが人間らしい感情持ってるの、俺嬉しいよ」


「……うるさい」


「で、その人可愛いの?」


「…………」


蒼真は答えなかった。

答えなかったが、その沈黙が全てを物語っていた。


「おー、沈黙。これはガチだ」


「黙れと言っている」


「はいはい。で、次いつ会いに行くの?」


「……明日」


「早っ」


千隼が腹を抱えて笑う。


蒼真は、自分でも自分がわからなくなっていた。



異変に気づいたのは、三日目だった。


「柊さん、お客様です」


受付からの内線。

また、あの銀縁眼鏡の男が来ているという。


「……また?」


神代蒼真。

三日連続で、私に会いに来ている。


一日目は『取引の件で確認が』。

二日目は『資料の補足説明を』。

三日目の今日は『先日の打ち合わせの追加事項が』。


(いや、メールでよくない?)


会議室に向かう。


神代蒼真は、相変わらず完璧な姿勢で座っていた。


ビジネス誌で見た『冷徹な若き天才』そのもの。


……のはずなのに。


「あ」


私が入室した瞬間、彼の目が泳いだ。


(何その反応)


「お待たせしました。本日はどのようなご用件で」


「あ、ああ。えっと」


蒼真がカバンをゴソゴソ漁る。


「こ、この資料の……ここの部分が……」


(普通にわかりやすく書いてあるけど)


「……神代社長」


「は、はい」


「本当のご用件は何ですか」


蒼真の顔が、微かに赤くなった。


「あの……柊さんは」


「はい」


「趣味とか……ありますか」


「……はい?」


何を聞かれているのかわからない。


「いえ、その、プライベートで何か……創作活動とか」


創作活動。


その言葉に、心臓が跳ねた。


(まさか)

(バレてる……?)


「特には。読書が好きなくらいで」


「そ、そうですか……」


蒼真が明らかに落胆した顔をする。


「では、資料の件は問題ないということで」


「あ、はい……」


「お忙しい中ありがとうございました」


「いえ……あの、柊さん」


「はい」


「また、来ても……いいですか」


(何で?)


「お仕事の件でしたら、いつでも」


「……はい。仕事の件で」


蒼真が立ち上がる。


その時、彼のカバンから何かが落ちた。


「あ」


拾おうとした私の目に、それが映る。


(え)


アクリルスタンド。

見覚えのあるキャラクター。


『冷徹公爵は婚約破棄された令嬢を溺愛する』の主人公カップル。


私が描いた(正確にはファンアートを公式化した)グッズ。


「っ」


蒼真が血相を変えて拾い上げる。


「これは、その、部下に頼まれて」


(嘘だ)


明らかに嘘だ。

大事そうに握りしめる手が、全てを物語っている。


「……神代社長」


「は、はい」


「もしかして」


蒼真の顔が強張る。


「Web小説、お好きですか」


「…………」


沈黙。


そして。


「……好きです」


蒼真が、観念したように言った。


「特に、『りん』先生の作品が」


(ああ)


(この人、私の読者だ)



「それで、推しキャラは誰なんですか」


気づけば、私は蒼真と並んで社員食堂にいた。


なぜこうなった。


「推し……ですか」


「はい。『冷徹公爵』のキャラで」


蒼真の目が、急に輝いた。


「公爵です」


「あ、主人公の相手役の」


「はい。彼の不器用な愛情表現が最高で……特に三章の、令嬢の才能に気づいて影から支援するシーン、あれ何度読んでも泣けるんです」


(え、めっちゃ早口)


「あのシーン、伏線の回収が見事で。二章で何気なく描写されていた公爵の行動が、全て令嬢のためだったと判明する瞬間、鳥肌が立ちました」


(熱量すごい)


「それから五章の、令嬢が自立を決意するシーン。『誰かのためじゃなく、自分のために生きる』という台詞、本当に名言だと思います」


(あれ私の実体験なんだけど)


「神代社長」


「……あ」


蒼真がハッとした顔をする。


「すみません、つい」


「いえ」


「普段こんな話をする相手がいなくて……」


確かに。

ビジネス誌で『冷徹な天才経営者』と呼ばれる人物が、小説の話で目を輝かせている。


ギャップがすごい。


「柊さんは、読んだことありますか。『りん』先生の作品」


(そりゃあるよ。私が書いてるんだから)


「……少し」


「どうでしたか」


「面白いと思います」


「でしょう!」


蒼真が身を乗り出す。


「あの心理描写の繊細さ、構成の巧みさ、キャラクターの魅力。プロになってもおかしくないクオリティです」


(褒められてる……?)


「りん先生、絶対に頭の良い方だと思うんです。登場人物の行動に全て理由があって、後から読み返すと『ああ、ここに繋がるのか』と気づく構成。天才としか言いようがない」


(天才って)


面と向かって自分の作品を絶賛されるの、めちゃくちゃ恥ずかしい。


「神代社長」


「はい」


「その『りん』先生が、もし目の前にいたら。何て言いますか」


蒼真が、真剣な顔で考える。


「……『ありがとうございます』、ですかね」


「え?」


「あなたの作品のおかげで、辛い時期を乗り越えられました。だから、感謝を伝えたいです」


(辛い時期……?)


「経営者って、孤独なんです。誰にも弱みを見せられない。でも、りん先生の作品を読んでいる時だけは、ただのファンでいられた」


蒼真の目が、どこか遠くを見ている。


「だから……いつか会えたら。『書いてくれてありがとう』と言いたいんです」


(……何それ)


(そんなこと言われたら、泣くんだけど)


「柊さん?」


「あ、いえ」


目頭が熱い。

これはまずい。


「……いつか、会えるといいですね」


「はい」


蒼真が微笑む。


ビジネス誌の写真とは全く違う、柔らかな笑顔。


(この人、こんな顔もするんだ)


「あの、柊さん」


「はい」


「また……小説の話、してもいいですか」


私は少し考えて、頷いた。


「いいですよ」


蒼真の顔がパッと明るくなる。


(何この人。ギャップえぐい)


こうして私は、自分のファンである取引先の社長と、奇妙な交流を始めることになった。


正体を明かすべきか、否か。


その答えは、まだ見つからないまま。



「白石、お前最近どうなってんだ」


部長会議で、誠也は上司に詰め寄られていた。


「申し訳ありません、今月の数字は必ず」


「数字の話じゃない。企画の質が落ちてるんだよ」


誠也の顔が強張る。


「以前のお前はもっと切れ味のある企画を出してただろう。最近のは何だ、どこかで見たような薄っぺらいものばかり」


(以前の企画は、凛花が考えたものだからな)


会議室の隅で、私は資料を整理しながら聞いていた。


「園田を育てるって張り切ってたが、結果はどうだ」


「それは……今、指導中で」


「三ヶ月経って進歩がないなら、見切りも必要だぞ」


誠也が言葉に詰まる。


会議が終わり、誠也が出てくる。

その顔は蒼白だった。


「柊」


「はい」


「ちょっと、いいか」



会議室。

二人きり。


嫌な予感しかない。


「凛花、頼みがある」


「何でしょうか」


「次の企画、手伝ってくれないか」


(出た)


「私は自分の担当で手一杯ですので」


「そこを何とか。昔みたいに」


昔みたいに。

その言葉に、怒りが込み上げる。


「昔みたいに、とは?」


「いや、その……お前の企画力は認めてるんだ。だから」


「認めてくださっていたんですか」


「ああ」


「では、なぜ私の名前で企画を出さなかったんですか」


誠也の顔が引きつる。


「それは……チームでの成果だから」


「チームの成果を、部長一人の手柄にしていましたよね」


「……凛花、そういう言い方は」


「事実ですから」


沈黙が落ちる。


「……なあ、凛花」


誠也が一歩近づく。


「俺たち、やり直さないか」


「……はい?」


「美月とは……ちょっと考え直そうと思ってて」


(え、何言ってんの、この人)


「園田さんとは、婚約されたんですよね」


「まあ、そうだけど……」


「では、私には関係ありません」


「そう言うなよ。五年も一緒にいたじゃないか」


(それ、さっきも聞いた)


「白石部長」


「誠也でいいよ」


「白石部長」


私は一歩下がった。


「私は、もう誰かのために頑張るのをやめたんです」


「え?」


「五年間、あなたのために尽くしました。でも、それは終わりです」


誠也の顔が歪む。


「……変わったな、お前」


「いいえ。元に戻っただけです」


「元?」


「あなたと付き合う前の、自分のために生きていた私に」


会議室を出ようとした時。


背後から腕を掴まれた。


「待てよ」


「離してください」


「凛花、俺はお前のことを」


「離してください、と言っています」


誠也の手に力が込もる。


その時。


「失礼します」


ドアが開いた。


銀縁眼鏡。切れ長の青い瞳。


「かみ、神代社長……?」


誠也が慌てて手を離す。


「取引先の方を……このような形でお引き止めするとは。驚きました」


蒼真の声は、ゾッとするほど冷たかった。


「い、いえ、これは」


「柊さん、お時間よろしいですか。本日の打ち合わせの件で」


「あ、はい」


蒼真が私を会議室から連れ出す。


誠也が何か言っていたが、聞こえないふりをした。



「大丈夫ですか」


廊下で、蒼真が聞いた。


「はい。ありがとうございます」


「……彼は、何者ですか」


「元婚約者です」


蒼真の目が、一瞬だけ鋭くなった。


「元……」


「一ヶ月前に婚約破棄されました」


「そうですか」


何か言いたそうな顔をしている。

でも、それ以上は聞いてこなかった。


「打ち合わせ、あるんですか」


「いえ。たまたま通りかかっただけです」


(嘘だ)


(この人、また私に会いに来たんでしょ)


「神代社長」


「はい」


「今日、小説の話しますか」


蒼真の顔が、パッと明るくなる。


「いいんですか」


「ええ。聞きたいことがあるので」


「何でも聞いてください」


(この人、チョロすぎない?)


私たちは社員食堂に向かった。



「最新話、読みました?」


蒼真が身を乗り出す。


「あ、はい」


(昨日自分で書いたやつね)


「公爵が、令嬢の元婚約者に『彼女の価値もわからない愚か者に、何も語る資格はない』って言うシーン。最高でしたね」


(あれ、誠也に言いたいこと書いただけなんだけど)


「あのシーン、りん先生も何か嫌なことがあったのかなって」


「え?」


「いえ、文章に感情がこもってたので。もしかして、実体験に基づいてるのかなと」


(鋭い)


「小説って、作者の経験が反映されることありますからね」


「そうですね」


蒼真が少し考える。


「……柊さん」


「はい」


「もしかして、辛いことがあったんですか」


(え)


「最近、何か表情が硬いように見えて」


蒼真の目が、真っ直ぐ私を見ている。


「大丈夫ですか」


(……何この人)


(出会って一ヶ月も経ってないのに)


(なんでそんな、優しいこと聞くの)


「……大丈夫です」


「そうですか。なら、いいんですが」


「でも」


「はい」


「聞いてくれて、ありがとうございます」


蒼真が微笑む。


「どういたしまして」


(この笑顔、ずるい)


ビジネス誌の『冷徹な天才』は、いったいどこへ行ったのか。


私の前にいるのは、ただの小説オタクで、妙に優しい男だった。


(……やばい)


(この人のこと、ちょっと気になってきてる)


自覚した瞬間、顔が熱くなった。


(……やばい、顔熱い。自覚したら急に意識しちゃうやつだ)


「柊さん、顔が赤いですが……体調悪いですか?」


「いえ、ちょっと食堂が暑くて」


(暑いのは私の顔だけだよ)


「そうですか。……あの、良ければ場所を変えませんか。近くに静かなカフェがあるんです」


「え、でもお仕事は」


「今日の予定は終わりました。……小説の話、もっと聞きたいので」


(この人、仕事より小説優先するタイプか……)


(いや、私も人のこと言えないけど)


「迷惑でしたか?」


「……いえ。行きましょうか」


「本当ですか?」


(目がキラキラしてる。大型犬か何か?)


「おーい凛花、帰るなら一緒に……って、あれ」


楓の声。


「あ、楓」


「何その状況。怪しいイケメンとデート?」


「怪しく……ないと思いますが」


「三日連続で押しかけてくる取引先の社長、普通に怪しいでしょ」


「楓、声」


「あんた何目的? 凛花に変なことしたら許さないから」


「変なこと……? いえ、僕はただ純粋に――」


「純粋に?」


「……小説の話がしたいだけです」


「は?」


(言っちゃった)


「……小説? もしかしてあんた、『りん』先生のファン?」


「っ……ご存知なんですか」


「知ってるも何も、私も読んでるし。推しは誰」


「公爵です」


「わかる。あの不器用な溺愛、最高だよね」


「ですよね! 特に五章の、令嬢の手を取るシーン――」


「あー、『君の価値は君自身が決めればいい。ただ、俺にも決めさせてくれ』ってやつ!」


「そうです! あの台詞で三回泣きました」


(何この状況)


(私の目の前で私の小説の感想大会始まったんだけど)


「……なるほどね。あんた、ガチ勢か」


「連載初期から追ってます」


「古参じゃん。よし、認めた」


「え、認めるの?」


「推しが被った以上、敵じゃないでしょ」


(その判断基準どうなの)


「で、カフェ行くんでしょ。私も混ぜて」


「……はい?」


「小説の話するんでしょ? 語りたい」


「いや、その、僕は柊さんと二人で……」


「あ?」


「……三人でも、楽しいですよね」


(折れた。この人、楓に弱いタイプだ)


「決まり。ほら行くよ凛花」


「うん……」


「……柊さん」


「はい?」


「また今度、二人で話しませんか」


「……考えておきます」


「待ってます」


(その笑顔、本当にずるい)


「おーい、置いてくよー」


「今行く」


(……正体、いつ明かそう)


(『実は私がりんです』って言ったら、この人どんな顔するんだろう)


(見てみたいような、怖いような)


(――でも、もう少しだけ)


(このままでいたいと思ってしまった)



カフェでの時間は、予想外に楽しかった。


「それで五章のあのシーン、伏線だったんですね」


「わかる! 読み返して気づいた時の衝撃やばかった」


楓と蒼真が、私の小説について語り合っている。


(作者の目の前で伏線解説されるの、新鮮な体験だな)


「柊さんは、どのシーンが好きですか」


「え、私?」


「はい。作品の感想、聞いてみたくて」


(自分の作品の感想って言われても)


「……令嬢が、一人で歩き出すことを決めるシーンですかね」


「ああ、一章の終わりの」


「はい。『誰かのためじゃなく、自分のために』って決意する場面」


蒼真が目を細めた。


「あのシーン、僕も好きです。令嬢の覚醒が見事に描かれていて」


「……そうですか」


「りん先生は、きっとこういう経験があるんでしょうね。だから、あんなにリアルな感情が書ける」


(……ありますね、経験)


(目の前に座ってる元婚約者に振られたOLが、まさにモデルですけど)


「凛花、顔赤いよ」


「っ、暑いの」


「さっきからそれ言ってるけど、エアコン効いてるよ」


(楓うるさい)


蒼真がじっと私を見ている。


その視線に、心臓が跳ねる。


「柊さん」


「は、はい」


「あなたは、りん先生に似ている気がします」


(……え?)


「文章から感じる雰囲気と、柊さんの雰囲気が」


「そ、そうですか……」


「偶然でしょうけど」


偶然じゃない。

同一人物だから。


「神代社長」


「はい」


「もし……もしですよ」


私は覚悟を決めた。


「もし、私がりん先生だったら、どうしますか」


時が止まったような気がした。


蒼真の目が大きく見開かれる。

楓が息を呑む音が聞こえた。


「……え?」


「仮定の話です」


「仮定……」


「私がりん先生だったら。神代社長は、どう思いますか」


沈黙。


蒼真の表情が、ゆっくりと変わっていく。


驚き。

困惑。


そして――歓喜。


「っ……本当、ですか」


「仮定の話って言ったでしょう」


「柊さん」


蒼真が身を乗り出す。


その目は、今まで見たことがないほど輝いていた。


「あなたが、りん先生なんですか」


「…………」


私は、小さく頷いた。



「うそでしょう」


蒼真の声が震えている。


「本当に、あなたが」


「はい」


「りん先生……」


「ペンネームの『りん』は、凛花の凛です」


「っ……」


蒼真が両手で顔を覆った。


(え、泣いてる?)


「ちょ、神代社長?」


「すみません、ちょっと」


銀縁眼鏡の向こうで、確かに目が潤んでいる。


「ずっと、会いたかったんです」


「え」


「りん先生の作品に、何度救われたかわからない」


蒼真が顔を上げる。


その目は赤く、でも真っ直ぐに私を見ていた。


「辛い時、孤独な時、あなたの作品が支えでした」


「…………」


「だから、会えて……本当に嬉しい」


(……なに、それ)


(そんな顔で、そんなこと言われたら)


目頭が熱くなる。


「柊さん、泣いてます?」


「泣いてない」


「泣いてるじゃん」


楓が呆れた声を出す。


「あんたら、お似合いだわ」


「え?」


「だって二人とも泣いてるし」


確かに。

私も蒼真も、目を赤くしている。


(何これ、恥ずかしい)


「柊さん」


「はい」


「これからも、書き続けてくれますか」


蒼真の声は、真剣だった。


「あなたの物語を、読み続けたいんです」


(……ずるい)


(そんなこと言われたら、書くしかないじゃん)


「……書きます」


「本当ですか」


「はい。神代社長が読んでくれるなら」


蒼真の顔が、パッと明るくなる。


その笑顔を見て、私は確信した。


(ああ、私)


(この人のこと、好きになってる)



それから一ヶ月。


私と蒼真の関係は、少しずつ変わっていった。


「柊さん、今日の更新読みました」


「感想は?」


「最高です。公爵の『君がいない世界に意味はない』って台詞、刺さりました」


「……そこ、結構悩んで書いたので」


「わかります。行間から伝わりました」


蒼真は相変わらず、私の作品の熱狂的ファンだった。


でも、それだけじゃない。


「柊さん、今日は残業ですか」


「いえ、定時で」


「なら、一緒に夕食どうですか。小説の話、したくて」


(小説の話って言うけど、最近それ以外の話も増えてきたよね)


「……いいですよ」


「本当ですか」


(目がキラキラしてる。本当に大型犬みたい)


一方、誠也はというと。


「白石部長、今月の成績が……」


「わかってる!」


彼の成績は落ち続けていた。


私がいなくなったことで、企画の質が明らかに下がっている。

美月も戦力にはならず、むしろ足を引っ張る存在になっていた。


「凛花先輩、助けてください」


美月が泣きついてきたこともある。


「私、何もできなくて……」


「研修で習ったことを応用してください」


「でも……」


「私も自分の仕事があるので」


以前の私なら、手を差し伸べていたかもしれない。


でも、もう違う。


「もう誰かのために頑張るのはやめた」


そう決めた日から、私は変わったのだ。



そして、ある日。


「柊さん」


「はい」


「お話があります」


蒼真の表情が、いつもと違った。


緊張している。


(……まさか)


「僕は、あなたのファンとして近づきました」


「はい」


「でも、今は違います」


蒼真が、真っ直ぐに私を見た。


「あなた自身を、好きになりました」


心臓が跳ねる。


「りん先生としてではなく、柊凛花という人間として」


「…………」


「冷静で、芯が強くて、でもどこか抜けていて。そんなあなたに、惹かれました」


(抜けてるって何)


(いや、今そこじゃない)


「付き合って、ください」


蒼真が頭を下げる。


銀縁眼鏡がずれそうになっている。


(……この人、本当に不器用だな)


「神代社長」


「はい」


「顔上げてください」


蒼真が顔を上げる。


その目には、不安と期待が入り混じっていた。


「一つ、条件があります」


「何でも言ってください」


「これからも、私の小説を読んでくれますか」


蒼真が目を瞬かせる。


そして。


「当たり前です」


力強く、そう言った。


「あなたの小説は、僕の生きがいですから。恋人になっても、それは変わりません」


(……やっぱり、ずるい)


「じゃあ、よろしくお願いします」


「え」


「付き合います」


蒼真の顔が、見る見る赤くなる。


「本当に、いいんですか」


「はい」


「僕でいいんですか」


「神代社長以外に誰がいるんですか」


「っ……」


蒼真が私の手を取る。


その手は、少し震えていた。


「ありがとうございます」


「……こちらこそ」


(ああ、幸せだ)


婚約破棄されたあの日から、まさかこんな未来が待っているとは。


人生って、わからないものだ。



「兄さん、彼女できたってマジ?」


翌日、千隼が目を丸くした。


「ああ」


「しかもりん先生!? 推しが恋人に!?」


「……そうだ」


「すご……兄さん、人生イージーモードすぎない?」


「うるさい」


「いや褒めてるって。で、どんな人?」


蒼真は少し考える。


「……強い人だ」


「強い?」


「婚約破棄されても、折れずに立ち上がって。自分の力で人生を切り開いていった」


「おお」


「そんな彼女を、尊敬している」


千隼がニヤニヤ笑う。


「兄さん、めっちゃ惚れてんじゃん」


「……否定はしない」


「やば。兄さんがデレてる」


「うるさいと言っている」


千隼は笑いながら去っていった。


蒼真は、スマホを開く。


小説投稿サイト。

『りん』のページ。


最新話のタイトルが表示されていた。


『最終章 令嬢は愛されることを知る』


(……タイトル、変わった)


以前は『冷徹公爵は婚約破棄された令嬢を溺愛する』だった。


でも今は。


『婚約破棄された令嬢は、自分を愛してくれる人に出会う』


蒼真は、静かに微笑んだ。



「白石誠也、懲戒解雇だって」


数ヶ月後、楓が興奮気味に言った。


「横領が発覚したらしいよ」


「そう」


「そうって……もっとリアクションないの?」


「ない」


元婚約者の末路。


正直、驚きはなかった。


あの人は、他人の成果を奪うことでしか生きられない人だったから。


「園田さんもどうなったか知ってる?」


「知らない」


「誠也と別れて、転職したらしいよ。でもまあ、どこ行っても通用しないでしょ」


因果応報。


私を踏み台にした人たちは、それなりの結末を迎えた。


「で、凛花」


「何」


「神代社長とはどうなってんの」


「……普通に付き合ってるけど」


「普通って何。デートは? キスは?」


「楓うるさい」


「だって気になるじゃん! 推し作家と熱狂的ファンのカップルとか、小説みたいでしょ」


(小説みたい、ね)


確かに。


私の人生は、まるでWeb小説のようだった。


婚約破棄から始まって。

自分の価値を見出してくれる人に出会って。

新しい幸せを手に入れる。


(ベタな展開だな)


でも、悪くない。



「凛花さん」


蒼真の声。


(あ、呼び方変わった)


「何ですか、蒼真さん」


「新作、読みました」


「感想は」


「最高でした。特に、最後の台詞」


蒼真が、私の目を見た。


「『誰かのためじゃなく、自分のために生きることを選んだ私は、結果として誰かに愛されることを知った』」


「…………」


「あれ、僕たちのことですか」


(バレてる)


「……小説ですから」


「フィクションですか」


「フィクションです」


「でも、実体験に基づいている」


「…………」


蒼真が微笑む。


「僕も、凛花さんに出会えてよかった」


「…………」


「あなたが『りん』先生だと知った時、運命だと思いました」


「大げさな」


「本心です」


蒼真が私の手を取る。


「これからも、一緒にいてくれますか」


「……いますよ」


「本当に?」


「蒼真さんが私の小説を読んでくれる限り」


蒼真が笑う。


「一生読みます」


「大げさな」


「本心です」


私も、笑った。



『りん先生の新作、完結しましたね!』

『最高のハッピーエンドでした!』

『公爵と令嬢、お幸せに!』


コメント欄が賑わっている。


私は画面を見ながら、思った。


(ハッピーエンド、か)


小説の中の令嬢は、幸せを手に入れた。


現実の私も。


「凛花さん、次は何を書くんですか」


隣で蒼真が聞く。


「まだ決めてない」


「楽しみにしてます」


「……ありがとう」


婚約破棄されたあの日、私は全てを失ったと思った。


でも違った。


失ったのは、私を縛っていた鎖だけ。


代わりに手に入れたのは、自由と、新しい出会いと、本当の幸せ。


「蒼真さん」


「はい」


「次の小説、主人公のモデルはあなたにします」


「え?」


「冷徹なビジネスマンに見えて、実は熱狂的な小説オタクの御曹司」


「…………」


蒼真の顔が真っ赤になる。


「それ、僕のことですよね」


「フィクションです」


「嘘でしょう」


「フィクションです」


私はパソコンを開いた。


新しいページ。

新しい物語の始まり。


『婚約破棄されたので推し作家になったら、取引先の御曹司が熱狂的ファンでした』


(タイトル、そのまんまだな)


でも、いい。


私の物語は、まだ続くのだから。


――完――

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