「聖水(井戸水)が売れ始めた件について」
呼ばれてない。説明もない。
でも今日は……井戸水が“聖水”として売れ始めました。
俺、ただ座ってただけなんだけど?
いやほんと、誰か止めて……。
スライムが俺の足元にくっついただけで「神獣」になった前回。
信仰はもはや制御不能なレベルで加速していた。
でも俺は、今日も神の座(物置)に座っていただけである。
むしろ昨日から一歩も動いていない。なぜなら――
怖いから。
村人の信仰は、どこかで限界に達すると思っていた。
……甘かった。
「テンペイ様の座した地に滴る“雫”が、聖なる水に……!」
「これは……聖水! ご利益のある、聖水ですぞ!!」
誰だ、そんなこと言い出したのは。
っていうか、それ普通に井戸水だから! 湧いてただけだから!
翌日には、村の広場に**“聖水”の屋台**が立ち上がっていた。
「こちら、テンペイ様が鎮座された神殿下の井戸より汲み上げた“ご神水”ですぞー!」
ひと瓶たったの金貨一枚(高い)
謎の金ぴかラベル付き(手作り)
でも村人たちは、列を作って買っていた。
「テンペイ様のお力を、一滴でも……!」
「我が子の夜泣きに効きました!」
「髪にツヤが出ました!」
「目覚めが良くなった気がします!」
効果はすべて主観だし、気のせいにも程がある。
なのに、いつの間にかテンペイ様ステッカー付きご神水が、
近隣の村にも流通し始めたというウワサが……。
「……誰か止めて……」
俺の願いは虚しく、テンペイ教の“経済力”まで爆上がりしていく。
※バグってるのは俺じゃない、マーケティングだ。
次回 → 「ご利益待ちの長蛇の列ができてた件」
第5話をお読みいただき、ありがとうございました!
今回のテーマは、まさかの“ご神水商売化”です。
ただ湧いていただけの井戸水が、テンペイ様の座の下にあるという理由だけで、
金ぴかラベル付きの聖水として販売されていく始末。
夜泣きに効くとか、髪にツヤが出るとか、口コミまで勝手に発生。
信仰が経済を動かすって、怖すぎるんですが……。
次回:「ご利益待ちの長蛇の列ができてた件」
お楽しみに!
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