表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/5

「スライムがひれ伏した日」

呼ばれてない。説明もない。

でも今日は……スライムが、俺にひれ伏しました。


え、マジでなんで?

俺、ただ座ってただけなんだけど……?


それは、俺が神の座(=物置の床)で、ただ座っていた日のことだった。


 外では今日も信仰儀式が行われ、太鼓は鳴り、鐘も鳴り、

 村人たちは順番にお祈りを捧げ、なかには“ありがたい石”を捧げて帰る者まで現れ始めた。


 俺が何もしていない間に、テンペイ教は加速していた。


 そんな中。

 ギィ……と扉が勝手に開いた。

 いや、今誰か入ってきたのか? と思った瞬間――


 ぷるんっ。


 「……は?」


 目の前にいたのは、青くて半透明で、ぷるぷるした……

 そう、スライムだった。


 「いやいやいやいや、なんでお前が……!?」


 スライムはのたのたと這ってきて、俺の“神の座”の前でぴたりと止まる。


 そして――

 ぺたん。


 地面に潰れるように伏せた。

 しかもぷるぷる震えながら、まるで祈るような動作を繰り返している。


 「ま、まさか……」

 誰かの声が外から聞こえた。


 「テンペイ様の神性が、ついに魔物にも通じたのか……!」

 「神は種族を選ばない……まさに伝承通り!!」


 あー、やっぱり盛られたーーーーーーー!!


 スライムは俺の足元にぐにぐに寄ってきて、

 身体の一部たぶんをぴとっと俺の足にくっつけた。


 「ぎゃあ!?」


 ひんやりしてビビったけど、スライムは穏やかに震えているだけ。

 まるで「忠誠の証」を示しているようだった。


 そして次の瞬間――

 俺の頭の中に“謎の通知音”が響いた。


 《魔物:スライムと魂の同調が成立しました》


 「えっ、何それ、聞いてない!」


 ステータスとかスキルとか、今まで一切出てこなかったのに、

 急に通知くるの怖いから!


 《ユニークスキル:魔物共鳴》

 《説明:テンペイ教信仰対象による、無意識の契約効果》


 いや、俺知らんし!そんなつもりないし!!


 スライムが満足そうにぷるんと震え、俺の隣にぺたっと落ち着いた。

 完全に“神の使い”ポジションで鎮座している。


 村人たちはそれを見て――


 「テンペイ様……今、祝福を与えられましたね……!」

 「スライムは初の神獣だったのか……!!」

 「さすがテンペイ様……選ばれし者……!!」


 俺の足元にいるのは、ただのスライム。

 でも、この瞬間から――“神獣スライム”としての伝説が始まった。


※バグってるのは俺じゃない、世界の方だ。


次回 → 「聖水(井戸水)が売れ始めた件について」



第4話をお読みいただき、ありがとうございました!


今回は、テンペイ教がついに“異種族”にまで広がってしまいました。

まさかのスライムが信者入り → 神獣扱いされる展開に。


本人が何もしていないのに、信仰と伝説だけがどんどん積み上がっていく……

まさにバグ存在 × 無自覚最強 × 世界が勝手に盛ってくるコメディの真骨頂です。


次回:「聖水(井戸水)が売れ始めた件について」

どうぞお楽しみに!


感想・評価・ブクマなども、とても励みになります。

いつでもお待ちしています!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ