表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/56

「テンペイ様、春を待つ?〜ふわっと咲く日を楽しみに〜」

「テンペイ様、春を待つ?

〜ふわっと咲く日を楽しみに〜」


テンペイ村に、春の気配が近づいてきました。


けれど、花のつぼみはまだ固くて、子どもたちは心配顔。


「咲かない花」に、テンペイはどんな言葉を贈るのでしょうか。


今日もスライムと一緒に、ふわっとやさしい時間を――。



テンペイは、畑の隅でスライムと一緒に腰を下ろしていた。


目の前には、小さな花のつぼみが並んでいる。



「ね〜、スライム。まだ咲かなくても……つぼみって、かわいいよね〜」



スライムが“ぷるん”と優しく跳ねた。



そのとき、子どもたちが駆けてきた。



「テンペイ様〜!」



「これ、おまじないの水あげてもいいかな?」



「早く咲いてほしいんだ……」


テンペイは、つぼみを眺めながら、にこっと笑った。



「おまじないは、やさしい気持ちだね〜」



「でもね、咲かないからって、わるいわけじゃないんだよ〜」



子どもたちは、ちょっと困った顔で言った。



「でも……咲かないと、なんか寂しいんだもん」



テンペイは、スライムをなでながら答えた。



「うんうん、わかるよ〜。


でもね、咲かないときって、“咲く準備”してるだけかも〜」



「つぼみのままでも、“ちゃんとここにいる”って、それだけですごいんだよ〜」



子どもたちは、つぼみを見つめた。



「……そっか。咲かなくても、がんばってるんだね」



「うん。だから“ありがとう”って言ってあげよう〜」



みんなで声をそろえて言った。



「咲かなくても、ありがとう!」


スライムが、うれしそうに“ぷるんっ”と跳ねた。



その光景に、テンペイはほっと息をついた。



「……やさしい空気だねぇ〜」


* * *


夜。


テンペイは焚き火のそばで空を見上げていた。



「ぼくも……つぼみみたいなもんだな〜」



「ずっと咲かないままでも、なんか、それでいいや〜」


スライムがそっと寄り添って、体をあずけた。



テンペイは、やわらかく笑った。



空は今日もふわっと、やさしく広がっていた。




お読みいただき、ありがとうございました。


今回は「咲かない花も、そのままでいい」というお話でした。


人も花も、咲くタイミングはみんな違う。


でも、つぼみのままでも、そこにあるだけで十分すてきなんだと思います。



テンペイは変わりません。


焦らず、無理せず、ただそばにいるだけ。


その姿が、読んでくださるあなたにも、ちいさなやさしさを届けられていたらうれしいです。



「今日もありがとう〜。高評価もブクマも、“ぷるんっ”てよろこんじゃうよ〜」



もし、次回も楽しみにしてくださるなら……


「そ〜っとでいいから。“ふわっ”と、そして“ぷるんっ”とブクマしてくれたら……すっごくしあわせだな〜」



次回は、「テンペイ様、旅の途中で雨宿り?〜ひと休みも悪くない〜」。


のんびり屋根の下で過ごす、ちいさなひとときのお話です。


次回も、どうぞお楽しみに!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ