「テンペイ様、お手紙ってなあに?〜気持ちを言葉にしてみたら〜」
テンペイがのんびりしている広場に、
子どもたちが集まってきました。
「お手紙」を書く授業をしているらしく、
みんな大好きな人へ言葉を届けようとしています。
でも、一人の子がうまく書けずに悩んでいて――
今日は、「言葉にすることの優しさ」を描きます。
スライムと一緒に、
今日も“ぷるん”とやわらかく過ごしましょう。
テンペイは、村の広場で
スライムと一緒に空を見上げていた。
「ね〜、スライム。
空って、今日もふわっとしてるねぇ〜」
スライムが“ぷるん”と、軽やかに跳ねる。
そのとき、子どもたちの声が近づいてきた。
「テンペイ様〜!
お手紙って、どうやって書くの?」
テンペイは首をかしげた。
「お手紙?
う〜ん……“まだ書いたことない”かも〜」
一番小さな女の子が、しょんぼりと紙を抱えていた。
「“ありがとう”って書きたいのに……
うまく書けないの……」
テンペイは、スライムを抱き上げながら言った。
「じゃあ、一緒に考えよ〜。
ぼくも、はじめて書いてみるから〜」
* * *
テンペイは、紙と小さな木のペンを手に取った。
「ん〜、どう書くんだろうね〜」
スライムが“ぷるん”と首をかしげたように揺れる。
テンペイは、ゆっくりと文字を書いた。
『そばにいてくれて、ありがとう』
書き終わって、ちょっと照れくさそうに笑った。
「……なんか、これだけでもいいかも〜」
女の子も、まねして紙に書きはじめた。
『いてくれて、ありがとう』
それを見たテンペイはにっこりした。
「うん。すごく、いいねぇ〜」
* * *
夕方。
子どもたちは、それぞれ手紙を家族に届けにいった。
テンペイは、書いた手紙をスライムにそっと渡す。
「はい。スライムへのお手紙〜」
スライムは紙にぴとっと触れて、
“ぷるんっ”と誇らしげに跳ねた。
テンペイは空を見上げてつぶやいた。
「言葉って……
あったかいんだねぇ〜」
空は今日も、ふわっと広がっていた。
お読みいただき、ありがとうございました。
今回は、「言葉にすることの大切さ」を描きました。
テンペイは言葉をたくさん持っていないけれど、
それでも「そばにいてくれてありがとう」と伝えることができました。
上手に言えなくてもいい。
伝えたい気持ちがあれば、それだけで十分なんだと思います。
ここまで読んでくれたあなたにも――
「今日もありがとう〜。
高評価もブクマも、“ぷるんっ”て喜んじゃうよ〜」
もし、また次も読んでみたいな〜と思ったら……
「そ〜っとでいいからね。
“ふわっ”と、そして“ぷるんっ”と、ブクマしてくれたら嬉しいな〜」
次回は、「テンペイ様、秋の収穫祭に参加する?」のお話。
のんびりした収穫の一日が、
また一つやさしい時間になりますように。
どうぞお楽しみに!




