表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/7

その③ 砂漠の村の長老


 ゴードンはデイジーを乗せて飛び続けました。


 森を超えて山を越えて。


 やがて下に広がる景色は砂漠になりました。


 空からは太陽が照り付けてきます。


「暑いわね」


「僕は竜だから平気だけど、人間のデイジーは大変だね」


 しばらくすると少し先に湖を見えました。


 オアシスです。


 湖のほとりには村もあります。


「デイジーはあそこで休憩してくるといいよ」


「ゴードンも一緒でしょう?」


「僕はいいよ。きっと村の人たちが怖がってしまうから」


 ゴードンは高度を下げて村から少し離れた場所に降り立ちました。


「じゃあ、私が先に行って様子を見てくるわね」


 デイジーは村に入りました。


 砂と同じ色の建物の家が並んでいます。


 砂漠の民は頭にターバンを巻いている人が多いみたい。


 ラクダも飼われているようです。


 その世話をしていた少年がデイジーに気付きました。


「君はどこの子?」


「私のこと、知らないの? それに恐くないの?」


「知らないし、恐くないよ」


 デイジーは嬉しくなりました。


 やっぱり別の国に行けばお姫様だからと恐がられることはありません。


「ちょっとお水を頂けないかしら?」


「いいよ。ご飯も食べていきなよ」


 少年の家に招かれて、お水や砂のかまどで焼いたパンをごちそうになりました。


 それから村の人たちが集まってきました。


 デイジーを恐がることもないし、よそ者と嫌がったりもしません。


 みんな親切な人たちです。


「あの、みなさん。実は私、竜の友達と一緒なの」


「へえ」


 村人たちは感心したようで、怖がったりはしていません。


「ここに連れてきてもいいかしら?」


「連れて来てよ。竜を見てみたいもん」


 さっきの少年が無邪気に笑いました。


 村人たちもうなずいています。


 でも村の長老だけは難しい顔をしています。


「お嬢ちゃん。その竜、名前はなんと言うんだね?」


「ゴードンよ」


 そう聞いた途端、長老の顔色が変わりました。


「だ、駄目じゃ。ここには来させないでくれ。この通りじゃ」


 長老が地面に膝をついて祈るように手を合わせました。


 村人たちは不思議そうに長老を見ています。


「ごめん。この村では長老の言うことには逆らえないんだ」


 少年が申し訳なさそうに言いました。


「うん。わかった。ごちそうさま」


 無理にお願いすれば、みんなに迷惑が掛かってしまいます。


 デイジーは村を出てゴードンの元に戻りました。


「お待たせ。ゴードン」


「休憩できた?」


「ええ。行きましょう」


 デイジーは長老の様子のことは話さずに、ゴードンの背中に乗りました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ