アシモト注意
私たちは本棚を照らしていき、次々とパズルの数字の場所を見つけ出していった。
「へへっ…《2は真ん中》ねー、よし!あと少しだアイ!」
「うん!」
「キュー!」
パズルの位置もあと少し、ルイさんはこういうスライドパズルは得意なようでスラスラと動かして数字の位置を合わせていく。
「これでラストだ、8つのうち7つ埋っちまえば最後は必然的にわかる、…こうだろ!!」
ルイさんが手際よくパズルをスライドさせると、カチッとどこからか音が聞こえた。
「お?やったか?」
「…何か起こるのかしら?」
「……錠前は空いてねぇーな」
「………」
(キーン、カンッカラカラ)
どこからか金属製の何かが落ちる音が聞こえた
「キュ!キュキュ!」
「あ、キューちゃん!」
「《鍵でも》見つけたんじゃねぇの?行ってやれよ、アイ」
「う、うん!」
私は急いでキューちゃんを追いかけた。
「……」
ルイは本棚を指でなぞりながらアイとは反対の方向、鍵が掛かっている扉の方へゆっくり歩き出す
「キュー!」
「…はぁ、はぁ待ってキューちゃん…」
「キュー!」
キューちゃんはピッと鍵を拾い上げ私に見せてきた。
「やっぱり鍵だったのね!お手柄ね♪」
「ルイさーん!鍵ありましたよー!!」
「…おー、よかった、んじゃ早速開けてみようぜ」
「…ルイさん?」
なんだか少しルイさんの様子がおかしい気がする、気のせいなのか…?
…その時だった
(ゴゴゴゴゴゴゴッ)
「えっ!?なに!?」
「キュー!?」
大きな音がなり地響きが大きくなる
「ルイさん!!なんだかおかしいわ!!…ルイさん?」
「………」
ルイは黙って部屋の床を見つめていた。
すると途端に大きな穴が空き、床がみるみる無くなっていく
床が無くなり数多くあった本棚が次々と地面に飲み込まれていった
部屋の中央から崩れていくこの部屋は私とルイさんを完全に分断してしまった。
私の足元まで亀裂が走り、近くの床からどんどん崩れていく。
「ルイさん、これヤバい!シャレにならない!」
「ルイさん!?さっきからどうして返事してくれないの!?」
その瞬間何かが私の顔を横切った。
(パシッ)
穴の向こう側でルイさんが何かを取った音がした。いや、私は知ってる、理解している、《見えないフリ》をしていたかった、だってそれは…
「ルイさん…なんで《鍵だけ引き寄せた》の…なんで?」
「………やれやれだ」
「嘘でしょ!!一緒に謎解きしてくれたのに!!手伝ってくれたのに!!なんで!!」
悪寒が走る、悪い予感、今思えば出会って間もないこの人を信じてよかったのか?あの気さくに話しかけてくれたのは全部演技だったのか?優しく、楽しくお話ししてくれたアレは全部まやかしだったのか?
わからない、わかりたくない、ルイさんが裏切るなんて…
「…さっき出会ったばかりだけど、ルイさんはそんな人じゃないと思ってた、だって私に優しくしてくれたし!私の超能力にも名前をつけてくれた!…優しい…名前…を…」
涙が溢れる、悔しいのか悲しいのかわからない、けど溢れずにはいられなかった。
「…はぁ、ごちゃごちゃうるせぇな」
「…でもぉ、ルイさん…」
力が抜け足元から倒れそうになる時だった。《彼女がそう呟いたのは》
「…これめっちゃ気張るから嫌なんだよ、こっちみんなよ!」
「……え?」
「…ったく悪い予感が当たっちまってついてねぇ…いくぜ!!魔引き!!全力全開!!
(…ギュイーン‼︎ガガガガガガッ‼︎)
穴の底から崩れたはずの床、本、棚などが浮き上がってきて、不完全ながらも道が生まれた。浮いている床や棚を伝っていけば向こう側まで行けそうだ。
「…グズっ、る゛い゛ざーん!!」
「いいから早くしろ!!落とさねぇように鍵は持ってやってんだから急げ!!」
ルイさんは扉の方を見ながらこっちを見ようとしない。
「…なんでそっち向いてるの?」
「踏ん張ってる顔見られたくねぇんだよ!!てかマジ早く急げ!!」
私は急いで床や棚を飛び渡っていき、ルイさんの元に向かう。
「キュッキュッキュッキュ-!」
(シュタッ!)
キューちゃんは先に華麗に飛び渡りルイさんの所に着地した。
「ぐっ…おい、まだか…もうもたねぇーぞ…」
「あと、…ちょっと…」
最後に浮いている本に脚をかけ、あとひと飛びでルイさんの所に着く。
「よし!これで!…えっ…」
「…っ!?」
「キュッ!」
…脚を滑らした
落ちる、身体が重力に逆らえない
下へ下へとどんどん身体が沈んでいく。
「くっ…アイ!!」
「…ルイさ」
ルイさんが手を伸ばすが体勢が崩れ私の髪を掠った。
その勢いで髪留めが外れふわりと宙に舞う。
光り輝くその紐が仕事を終えたように光の粒子になって消えていく。
(髪が縛られてる?)
(「引き寄せる時の応用だ、逆に押し戻して返してやったのさ」)
(ルミナス…優しい光)
今までの出来事が走馬灯のように流れる、たった数時間程度の記憶だったが、《たった数時間程度の記憶だったからこそ》たどりついたのかもしれない
力の応用…髪を縛る光…それはつまり……
「光手の蜘蛛糸!!!」
(シュイーン‼︎‼︎)
私の手から光の紐が伸びる。それをルイさんがガッチリ掴んだ。
「ぐっ…うぅ…」
「キュキュー!」
光の紐をルイさんとキューちゃんが手繰り寄せ、私はなんとか扉の床にたどり着いた。
「はぁ…はぁ…」
「あ゛~、げほっ」
「キュー…キュー…」
「「「…………」」」
「…い…い…」
「い゛ぎでる゛よ゛ぉ~!!る゛い゛ざぁーん゛!!」
「ちょ、馬鹿っ!!抱きつくんじゃ…いや、よく頑張ったなアイ…」
ルイさんは優しく私を抱きしめてくれた。
裏切られたと思った、死ぬかと思った、でも生きてる、それは間違えなくルイさんとキューちゃんが居たからだ。
「あの土壇場でよく考えたな、《応用》したんだろ?力を」
「う゛ん゛、る゛い゛ざんがづがってだから゛ぁ~」
「キュッキュッ」
キューちゃんも頭を撫でてくれている、頑張ったなって言ってくれてる気がする。
こうして白い本の部屋を攻略し、私には心強い仲間ができた。
榊瑠衣さん
ぶっきらぼうで乱暴な言葉遣いだけど、綺麗でかっこいいお姉さん、私はしばらくルイさんに抱きついて泣いていた。
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