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ホノオの衝突

光手の閃火(ルミナス・フレア)!!」



影のアイの放つ閃火とアイの閃火がぶつかり合い、左右に炎が走る

火炎放射器の撃ち合いのように両者のエネルギーは拮抗して絶えず放出する


「くっ、アイちゃん!!大丈夫ッスか!?」


「う、うん!でも……駄目、押し返せない!」


「……」


影のアイは無表情で炎を吐き続ける

真っ暗で見えないはずのその瞳は、冷たくこちらを見つめているようであった


絶え間なく広がり続ける火の手は部屋全体を覆い始め、次第に酸素を燃やし尽くしていく



「う…アイちゃ…早くなんとかしな……と」


「ケンタ君!?」


ケンタの呼吸は荒くなり、酸素を求めて口を大きく開く

しかし熱気が肺に入り、上手く喋れなくなっていた



「さぁ、()()()、相手はお前自身だ、どうする?このままではその少年はここでゲームオーバーだ」



「……だったらこれ!光手の蜘蛛糸(ルミナス・ロープ)!!」


光の縄が影のアイの背後に出現し、あっという間にその身体を縛り上げる



「……」



影のアイはそのまま身動きが封じられ、沈黙した



「ケンタ君!!大丈夫!?」


「かっ!!はぁ……はぁ……だ、大丈夫ッス……」



ケンタは膝をつき、腕で口を覆いながら答える

気道が少し焼けたのか、どこか掠れたような声で話す



「……はぁ、はぁ……アイちゃん、今一度時間をくれないッスか?……ちと、あの影のアイちゃんを《観察》したいッス」


「うん、わかった!……無理しないでね!」



ブチブチッ


影のアイは光の縄を引きちぎり、再びこちらの方を見つめる



「もうちょっと大人しくしててね、光手の蜘蛛糸(ルミナス・ロープ)!」


「……蜘蛛糸(ロープ)


アイが縄を出すわずか0.2秒後、影のアイは遅れて同じ技名を口にした

その声は、どこか“録音を再生したようなズレ”があった

アイの光の縄に対し影のアイも同じように光の縄を出現させる


縄は絡み合い、綱引きのように互いを引っ張り合う



「ん……負けない……!?」


閃火(フレア)


影のアイは掴んでいる縄に向かって再び炎を放出する

縄に沿って炎がアイに迫る



「る、光手の閃火(ルミナス・フレア)!!」



アイも慌てて炎を出し、手元でぶつかり合う



「熱い……」


「アイちゃん!頑張るッス!!不可侵の解析クレアビジョン・インサイト!!」



ケンタの目が薄紫に発光し対象にピントを合わせ解析を開始する



「ケ、ケンタ君……急いで……」


「待つッスよ……」


「……(ギロッ)」



ふと影のアイがケンタの方を睨みつけた、ような気がした



「っ!?ケンタ君!!気をつけて!!」



ブチッ



「っ!?」



蜘蛛糸(ロープ)



影のアイは手元の縄を自ら千切り

新しく光の縄を作成してケンタに差し向ける



「ぐっ!!しまった!!」


ケンタは光の縄に体を縛られ、手足が封じられる

光の縄はそのまま光が強くなり、赤くその色を変えた



「ぐわぁぁ!!熱いぃ!!」


「ケンタ君!!」



熱を帯びた光の縄がケンタのその身を焼き始める

次第に目の色が紫から赤に変わりかけており、能力、身体共に明らかに限界を超えていた


「ケンタ君!!大丈夫!?今」


「アイちゃん!!大丈夫ッス!!それより……《見えた》ッス!!」



熱さに苦痛の表情を浮かべながらケンタは続ける



「胸の……心臓の位置にエネルギーが集中してる場所が見えたッス…、そこを狙うッスよぉ!!」



「……わかった、少し待っててね、すぐに終わらせる!!」



アイは意を決してケンタから目を離し、影のアイを見つめる

鋭く、冷たく、赤く輝く目で影のアイを睨みつける


「……ケンタ君を解放して…光手の閃火(ルミナス・フレア)!!!」


「……閃火(フレア)


冷たい言葉とは裏腹に先程よりも高熱の炎を放つアイ

それに合わせて同じように影のアイも炎を放出する



「さて…ここまでは先程と同じ状況……どうする?()()()


「……なんで私をアインと呼んだり、どうしてこんなことをするのか、どうやって影の私を生み出したのか……そんなことはどうでもいいの……」



アイの放つ炎の勢いは更に増す

拮抗していた火柱は徐々に影のアイの方に押し出し始める

影の炎よりも熱い、その力は、胸の奥で燃え上がった怒りだった


「でも、私の大事な人を傷付けるのは許さない!!」



炎はより鋭く、細くなり、その分勢いが増す

レーザービームのように光の閃光が走り、次の瞬間、影のアイの胸を貫いた



「……光手の光線(ルミナス・レイズ)



胸を貫かれた影のアイはその形を保つことができずボロボロと崩れ始め

そして、チリのように消え去った



「……素晴らしい、良いデータを取ることができたよ」



「……うるさいわ」



アイは部屋のスピーカーに手を向けると、スピーカーが発火し、消し炭となった



「……っは!?ケンタ君!!」


アイは我に返ったようにケンタの方に振り返る

そこには全身から煙を上げ、俯いたケンタの姿が目に入った


「ケンタ君……しっかり……して……」


涙目になるアイの目にケンタのサムズアップが映る


「ぎ……ギリギリ、セーフ……ッス!!」



バタリ



「ケンタ君!!」



ケンタは満足そうな表情で仰向けに倒れた









「……なるほど、追い詰められると能力は上昇する、その上限も計らせてもらった」



暗闇の研究室


そこで鎮座する男は


眼鏡に砂嵐の画面を写し


ニヤリと笑った


男はペンを走らせ、最後のページに印をつけた

その文字は、ただひとつ


「……All IN 実行の時だ」



男は静かに立ち上がった





ここまで呼んで下さりありがとうございました。

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