ドーモペンギンさん、次のお部屋へ
「え?」
今誰か《こっちにきちゃだめ》って?
そう言ったの?
耳から飛び込んで聞こえたわけじゃない、《頭に響くような声で聞こえた》…気がする。
「キュー?」
「…ううん、なんでもないわペンギンさん、行きましょう」
手を引くペンギンは不思議そうに私を見つめていたが、私の言葉に反応して再び歩き始めた。
(ペチペチペチペチ)
それにしてもこのペンギン、私の言うことを理解している、何もないところから急に現れたいう観点からも普通のペンギンでないことは確かだ。
(ペチペチペチペチ)
「ねぇ、ペンギンさん、そういえばあなたの名前はなんて言うの?」
「キュー?」
先程同じように不思議そうにわたしを見つめてきた。
「あー、なまえ!ペンギンさんって呼ぶのもいいけど、名前があったら呼びやすいでしょ」
「キュ…」
「…もしかして名前をつけてほしいの?」
「キュー‼︎」
ペンギンはこくんと頷いた。今更だが私の言葉による意思疎通は取れることが明白になり、これからのやり取りを考えると少し安心した。
「んー、そうしたらね…《キューちゃん》なんてどう?不思議な鳴き声してるし覚えやすいわ」
「キュー♪」
どうやら気に入ってくれたらしい、この閉鎖的な空間で一人きりは心細かったのでペンギンとはいえ話し相手になってくれる存在は大きかった。
「キューちゃんはどこからきたの?どうして私を助けてくれるの?」
「キュ?」
キューちゃんは首を傾げこまった表情で見つめてくる。
「うーん、まぁいいわ、…信じてもいいわよね、きっと…頼りにしてるわよ、キューちゃん!」
「キュー!」
「あら?行き止まり?」
しばらく歩くと道は無くなった、一本道だったので道を間違えることもない
ここがこの廊下の終着点であることは間違いなかった
「さっきの男の人も居なかったし、他に道があるのかしらね」
「キュー!」
「どうしたのキューちゃん?…これ…」
行き止まりの壁をよく見ると薄ら縦に切り込みのような溝が見られた
「…もしかして」
私が壁に触れると溝のが光だし、ゆっくりと扉のように開いていく。
「キュー!」
「先に進みましょう!」
扉の先はまた通路だったが、以前と違い今度は上下左右真っ白な道だった
その先に開けた場所があるのが確認できた。
(ペチペチペチペチ)
「………」
(ペチペチ…ピタッ)
「…これは」
着いた先は白い部屋だった。大きな本棚がいくつも並び、図書館のように並んでいる
部屋の先にはまた扉があるが、いかにも頑丈そうな錠前で閉ざされていた
「ひとまず不気味な部屋や通路からは卒業ね、いかにも鍵を探して先に進む…って感じの部屋だけど、とりあえず…」
私は近くの本棚に前に行き、本棚を背にして座り込んだ。
「休もう‼︎もう!いっぱい歩かせすぎ‼︎」
「キュー…」
「キューちゃんもお疲れ様、こっちにおいで」
「キュ…」
「それにしても沢山の本ね…いったい何が書かれてるのかしら?」
何気なく近くにあった本を取ってパラパラとめくるが
「…何も書かれてないわね、白紙だわ」
「キュー…」
(ポイっ)
しばらく時間が過ぎ、十分に体を休めた私は探索を開始する。
「ん~、よし、それじゃこの部屋を調べてみましょうか!」
「キュー!」
私はひとまずぐるっと部屋を回って歩いた。天井につきそうなほどの巨大な本棚がぱっと見ただけでも30台以上もある。
本当に図書館にでも迷い込んだようだったが、窓やカウンターなどがないことから誰かの書斎と考えた方が妥当だろうか…。
「キュー!キュー!」
「何?キューちゃん?何か見つけたの?」
キューちゃんの元に駆け寄ると部屋の隅に小さな黒い木箱が置いてあることに気がついた。
「何かしらね、これ?」
木箱を降ったり叩いたりしてみたがどうも何も起きない。
「キュー!キュッキュキュー!」
「え?光を出してってこと?…そうね、えいっ!」
キューちゃんの身振りから察して手を光らせて見ると木箱はピキピキと音を立てて壊れ始めた。
「さすがキューちゃん!ビンゴだわ!」
(バコーン)
木箱が割れると中から数字の書かれた薄い板が現れた
板には1~8までの数字が並びスライドパズルのように動かせるようになっているようだ
「うーん?これ《《パズルゲーム》》なのかしら?でも動かしてどうすれば良いのかしらね?、私こういうゲーム苦手だし、キューちゃんわかる?」
「キュ!キュ!」
「キューちゃんも苦手か~さてどうしま……え?ちょっと待って、なんで私《パズルが苦手》って知ってるの?」
そう、私は目覚めた時から自分自身に関するあらゆる記憶がなかったのだ、それなのに《パズルゲームは不得意》という記憶があることに気がついた。
「…たしか、小さい頃遊んだパズルが難しくて、それで嫌になって…覚えてる、思い出してる!」
「キュ?」
「あ、ごめんね、言ってなかったけ?私ここにきてから自分の記憶が無いの、それなのに思い出して…」
「キュー!」
「 あ、えへへ、もう頭撫でなくていいよー、私は大丈夫だから、心配しないで♪」
「キュー…」
「ありがとね、キューちゃん」
「キューッ!」
私は少しだけ戻った記憶にホッとした。もしかしたらこの部屋や道を進んでいくごとに記憶が戻っていくかもしれない、そんな希望が見えた。
「よーし!キューちゃん!謎も仕掛けも突破してどんどん先に行っちゃいましょう!」
「キュー!」
私たちは元気に腕を突き上げた。
「………へぇ、大変だね、でもこいつは利用できそうかも」
彼女たちは知る由もなく部屋のどこからか誰かがそう呟いた
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