サイゴの記憶
「……はい、回収完了致しました……えぇ予定通り始めます」
「っ!?んんん!!」
アイは見知らぬ研究室のベッドの上に居た
ベッドにはゴム製の大きなバンドがあり、アイとベッドを結びつけてアイを動けなくしていた
さらにアイは口枷をされており、喋ることすらできなかった
「……おや、目が覚めましたか。丁度良いです」
アイに話しかけたのは銀髪で糸目の青年だった
白衣を着ており、ゴム手袋を着用し近くにはよく見えないが何かの機材があるようだった
「……白鳥愛君、だったね、我々は《アイン》と呼んでいたがようやくお目に掛かれましたね」
「……んんん?」
「……君のお母さんは実に賢く、実に愚かでしたね……まさか、成功作を隠蔽しここまで隠し通していたとは……」
青年は優しくアイのほほを撫でる
「……ぁあ、実に立派に育ったようで、沢山の愛情を注がれていたのですね……素敵なことです」
(グチュ)
「……?」
アイは聞き慣れない何かの音を聞いた
その時に腹部に何か違和感を感じた
固定されているので顔は動かせないが、目線をそっと腹部に移した
そこには
鋭いメスがアイの腹を引き裂いていた
「んんんん!!んんん!?」
「実に心苦しいのです、ですが仕方ない、仕方ないのです……貴女の能力の出力テストしなくてはなりませんから」
(ぐちゃ)
「んんん!!んんっ!!」
青年は切り裂いた腹部に自分の指を捩じ込む
「……あぁ、なんて可愛いらしいのでしょう……はぁ…もっと苦しい表情を見せてください」
(グリグリッ)
「ん!……んん!!
「もっと…もっと苦しんでください!感情を出してください!!ほら!痛いでしょ?苦しいでしょ!!泣いて叫んで助けを求めて!!」
「ん~~!!!」
身動きの取れないアイの身体に次々とメスを入れ傷口を抉り、痛めつけていった
「……ほら、爪はこんなにも簡単に取れてしまうんですよ、脆いですよね」
「………っ」
アイは白目を剥き今にも気を失いかけていた
「……なんとも……卑しい表情で誘惑して……大丈夫ですよ、後でちゃんと治療しますから」
そう言うとアイの耳元に口を近づける
「……殺しませんよ、ですからもっといっぱい……苦しんでくださぁい!!」
その瞬間アイの身体が光に包まれた
「っく!!覚醒ですか!?……いや、違う?」
アイは思った、このままでは永遠に拷問されてしまう、ずっと苦痛を受けなくてはならない
身体が動かせず、逃げること、叫ぶことすらできない
アイは思った ここから《逃げたい》と
「……これは!?」
アイの身体の光はそのままアイの身体を形成し分裂した
その場にはベッドにら括り付けられたアイと光が模ったアイの二人に別れる
「霧島君!!大丈夫かね!?」
「キャハ♪なになに~どうなってるの~これ?」
部屋に勢いよく入って来たのは白衣を着たオールバックの中年男性と同じく白衣を着た女の子だった
「……まさか、精神と肉体に別れたのか!?前例がないぞ!!こんなことは!!」
「黒沢さん、危ないです!離れて!!」
次の瞬間光り輝くアイはもうスピードで地下へ潜った
建物の床や壁をまるですり抜けるように落下し、光の波が周りに押し寄せる
「くっ!!椎名さん!黒沢さんを!!」
「はぁい♪おいで黒沢さん♪」
研究室に入って来た男女は一瞬にして姿を眩ませてしまった
「くぅ!!なんて出力!!身体が持っていかれる!!」
青年の身体は少しずつ沈み始め、床がまるで沼になったかのように足が浸かる
「……だが、舐めないでください!!」
青年は目を開くと沈むスピードは減速し、やがて停止した
研究室には静寂が訪れた
「……っく、完全に脚が埋まっていますね」
青年の脚は完全に床と同化し、動けなくなっていた
「……愛さん……いや、あれは間違いなく、《アイン》……黒沢さん、我々は遂に成し遂げましたよ」
青年はニヤリと笑っていた
これが私がここに来るまでの全ての記憶
そしてアイが生まれた経緯のキオク
お母さんを失った精神的ショックと拷問をされた肉体的なショック
二つの痛みから逃げる為に私はワタシから離れた
そして全てを失い
「……ここは?」
全ては最初に繋がった
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