アマい罠にご注意を
あらすじ
見知らぬ部屋で目覚め自分の名前以外の記憶を失っていた少女「アイ」不思議な力、超能力が宿っていることに気がつき、道中同じような力を待つルイ、ケンタと出会う
各部屋で待ち受ける試練やトラップを突破し、アイは自身の記憶を取り戻した
そしてアイは一度能力を暴走させるもルイの想いの力もあって正気を取り戻す
アイの力で具現化した地下だと推察し、引き続き協力して脱出を試みるのであった
アイ達は次の部屋に向かう際、各々の身体のチェックや確認を行っていた
前の部屋は暗闇に居た時間が多かった為か、よく見ると所々服がほつれていたり、汚れたりしていた
「うーん、やっぱりこの服、お母さんが着ていたワンピースに似てる気がする」
「服装も無意識に合わせちまったんだな、にしても不思議なもんだぜ」
「姉さんのタフさも不思議なもんスけどね~、あれだけあってスタミナしか消費してないって化け物スか?」
ルイは前の部屋で巻いた包帯を取ると傷は塞がっており、薄っすら瘡蓋ができていた
「…まだ数時間だよね?」
「アタシは昔が自己治癒力が強ぇんだよ!強ぇから!!」
ルイは腰に手を添えて威張ってみせた
「…だが、オマエ達は違う、ケンタ!オマエは開示をあまり多発すんじゃねぇぞ?」
「えっ?どういう意味ッスか?」
「テメェのあの能力は不可侵の目視の応用じゃねぇ…覚醒だ」
「覚醒ッスか?」
「あぁ、そもそも超能力っていうのは「神様が与えたささやかなプレゼント」っていうのが由来だ、由来の通りアタシ達が使う超能力は本来単純な物ばかりだ」
「…確かに、俺の周りにもいたっスけど、チンケなものばかりッス!」
「だが、稀にその超能力はその能力の範疇を超えて進化する、それが覚醒だ、テメェの場合は「見える」力から「解析」の力に進化しているんだろう」
「ケンタ君すごい!」
「いいことじゃないスか!できることが増えて!」
「そんな都合の良いもんじゃねぇ、いいか、本来神が与えたとされる小さな力、それをデカくするっていう大それたことをしちまってんだ…力を無理矢理大きくするんなら必ず《反動》がある」
「あ…」
「そういえばケンタ君、開示を使う時は鼻血出してたよね…」
「少しず慣らしていくならともかく、テメェは一気に能力をこじ開け過ぎた、脳に負担が掛かっちまってんだよ…」
「……気をつけるッスよ」
ケンタはそう言うと頭を掻きながらハッとした
「じゃあアイちゃんの光手の閃火は!?」
「…おそらくあれも覚醒…なんだろが…」
ケンタとルイはアイの顔を見るが
「…えっ?私はなんともなってないよ?」
「キュ…」
「アイについてはまだ未知数だ、とりあえず先進めばわかるかもしれねぇし、さっさと行くか」
長い一本道の廊下を進むと壁が現れた
今までのものと同様に縦に細い線がはいっている
「優しき光手…」
アイが手をかざすと線に光が走り、ゆっくりと扉が開いていく
「流石にこの流れも慣れてきたな」
「俺は初めてッスよ!!すげぇ!!なんかワクワクするっスね!!」
「キュー!」
扉が開いた先は今までの部屋とは違い再び通路になっていた
ただ違うのは壁の材質が岩であり、いかにも洞窟にやってきたかのような印象を与える
「ん~今回は直接迷路か?」
「待って…なんかこれ、思い出せそう」
「アイちゃんがキャンプとかに行った時の記憶スかね?」
ケンタはがアイに問い掛けながら歩き出したその時…
(カチッ)
「ん?」
「え?」
「は?」
何かのスイッチを押すような音が静かな洞窟内に響き渡る
「…おい、なんだか嫌な予感がするぜ」
「俺、なんかやっちゃいました!?」
「…あっ!!思い出した!!」
(ゴゴゴゴゴゴゴッ)
「…アイ、簡潔に言ってくれ」
「あ、アイちゃん?」
洞窟の横がゆっくり動き出し、穴だらけの壁が露出した
「私が昔やってたテレビゲーム…アクションゲームの…」
壁の穴から勢いよく無数の槍が飛び出す
「デストラップアトラクション」
第一のトラップ 「槍地獄」
アイ達の悲鳴が洞窟にこだました
ここから第三章です。不定期で番外編も執筆予定です。
よければ読んでくださるのをお待ちしております。