15.最終決戦
3日目
死亡者 19人
トータル 45人
あれ以降、3日目が誰も死なずに終わった。
残りは5人。
吸血鬼は残り1人。
(早めに奏を仕留めておけば……。)
3日目のゲームが終わった後、私と来夢は校庭に行った。
そこには、大と奏の死体があった。
奏が吸血鬼だということを私は知っていたのに。
それなのに、仕留められなかった。
くやしさで胸が詰まる。
(少しでも強引にやっておけば良かったかな……。)
後悔しても遅い。残り1人の吸血鬼を仕留める必要があるのだから、そっちを考えるべきだ。
「かりん。何ボーっとしているの? 早く行くよ。」
「う、うん。」
私は笑みを作った。
きっとぎこちなかっただろう。笑みを崩した後に、どっと疲れが出た。
それは1つのことを考えていたからだ。
(来夢が吸血鬼かもしれない。)
私は狩人だ。となると、来夢が吸血鬼の可能性は確率論で25%。極めて高い。
それでも私は、来夢と一緒に行動した。
私たちは1-1に入った。
初日に大とあった教室だ。
そう思うと切なく感じる。
教室には2人が椅子に座っていた。
1人は、目つきの悪い女の子で、もう1人は、気が弱そうな男の子だ。
__28番と49番。
「……っ。」
よりにもよってこの2人だった。
「久しぶりね。3番。……そっちは初めましてかな。よろしく。あと5人しかいないけど。」
28番はクスクスと笑った。
49番は最初に比べて顔が青白くなっており、何かをブツブツと呟いている。
「そうだね。あとはわたしとかりんとあなたたちと2番だもんね。よろしく。」
「来夢、調べたの?」
「うん。毎日調べていたよ。」
「3番がかりん、30番が来夢ね。覚えた。あたしは茅。覚えてくれると嬉しいな。」
「茅ちゃんね。わかった。」
「『サーラ』、ありがとう。」
「『サーラ』?」
「あなたのことだよ。来夢。ライムの別名のサワーライムから取って『サーラ』。ダメ?」
「いいけど。」
そのとき、4日目の開始の放送が流れた。
「じゃあ、Good luck!」
「待って。」
私は茅たちを引き止めた。
「あんた何?」
「今日は話し合おうよ。2番はいないけど、あと1人なんだからさ。4つ角の席で、銃を回収して……ね。」
「なんでそう思った?」
「さすがにまずいよ。今日で吸血鬼は終わらせようとしている__いや、昨日終わらせようとしていたんだよ。4人が集まっていたら、どっちにしても仕留めず仕留められずで終わるし__。」
「かりん。考えが甘すぎるよ。」
来夢だった。
「吸血鬼は触れることもできるよ。もしこの中に吸血鬼がいたら、わたしたちは全滅することになる。」
「え?」
「サーラの言う通り。アンラ、頭が固いねー。」
アンラとは私のことだろう。
「じゃあ、どうしたらいいと思う?」
「1つの教室に1人が入る。誰かが来たら即撃つ。」
「茅ちゃん、やるじゃん。」
来夢もそう思っていたのだろう。
2人の考え方は似ているようだ。少し暴力沙汰な感じもするけど。
「問題ない? アンラ。」
「うん。」
「で、49番はそれでいいー?」
茅は椅子を後ろに倒しながら言った。
「あ、うん。いいよ。」
話を聞いていたのだろうか。49番は慌てて返事をした。
「じゃんけんしよう。勝った順から1-1、1-2、1-3、2-1ね。」
じゃんけんの結果、1-1が来夢、1-2が私、1-3が49番で、2-1が茅になった。
「誰が入ってきてもすぐに撃ってね。Good luck!」
すぐに茅が1-1から出る。
「じゃあ、僕も出るよ。気を付けてね。」
49番も教室から出た。
「来夢、気を付けて。」
「そっちこそ。今日も生き残ろう。」
「うん。」
私は走って隣の教室に行く。
何分も、何十分も、静けさが続いた。
それは、私だけ別の世界に行ったようだった。
__いや、こんな所にいるのだから、もう別世界に行っているか。
その静けさは、その約20分後に壊された。
バン!
銃声のような大きな音。
(……?)
ただ、すぐに静けさは戻った。何か嫌な予感がした。
それから、何秒かが過ぎる。
(殺害されて__。)
ピコン
嫌な予感は的中した。
誰かが殺されたときに鳴る音。
恐る恐るスマホを開く。
『NO.28が殺害されました。』
「茅‼」
私はすぐに教室を出た。