12.緊急会議
始めに。また名前を変更いたしました。「0x__答えは『0』」です。
まさかのコメントに「格好いい」と来てしまったので、もう変更する気は御座いません。
これからもよろしくお願いいたします。
ピコン
教室の席に私たち4人が座ったとき、またメッセージが送られた。
「これから始める議題は『吸血鬼がなぜ大量に殺害ができているのか』。__ただの考察だ。」
「今日が偶然銃を構えて仕留めた人が多かったのかもだけど、もしそうだったら1日目と2日目にも仕留める人が多い可能性のほうが高いから、そうとは考えにくいしね。」
経験者の大と来夢が、私と奏に説明する。
「鳴鳥さん。それって先入観が理由なのかな?」
「たぶん。」
「だったら、かりんと奏の方が答えが出やすい……。よろしく頼む。」
私は何となくルール説明を見た。
多くのところは、「参加者は__」か「吸血鬼は__」から始まっている。
ピコン
またあの音が鳴った。
(そうだ。これは吸血鬼の仕業なんだ。)
私は吸血鬼のルールを見る。
それは、どれも「吸血鬼__」から始まっていて、少し鬱陶しかった。
{吸血鬼のルール}
・吸血鬼は狩人に触れることで『殺害』できる。
※殺害されるのは触れてから1分後である。
・吸血鬼には、毎日『殺害ノルマ』が与えられる。
※吸血鬼によって1日の殺害ノルマ数が違うことはない。
※殺害ノルマを達成できなかった吸血鬼は死ぬ。
・吸血鬼は、自分たちの勝利のために行動する。陣営を不利にする行動はとることができない。
・吸血鬼には、始めにほかの吸血鬼を知らされる。
・吸血鬼は1発の弾丸を持っている。
・仕留めるときには弾丸を発射させる。
※弾数は毎日更新される。
※弾丸で仕留めた場合、1日の殺害ノルマにはカウントされない。
それがどういうことなのだろうか。
じっくりと、穴が開くほどルールを見つめる。
そして、静かな衝撃が走った。
「『吸血鬼には、毎日殺害ノルマが与えられる』……。」
私の体は熱くなっていた。
「青木さん。それがどうしたの?」
「けど__。」
私は息を吸った。
「『吸血鬼は殺害ノルマの分だけしか殺してはいけない』とは書かれていない……。」
つまり。
「__『吸血鬼はノルマの数以上であれば何人殺害しても問題ない』んだよ‼」
ただそれは、決して状況が良くなった訳ではない。
むしろ逆だ。
大量に人を殺す吸血鬼から、身を守る必要があるとわかっただけだ。
ふと、時計を見る。
それは、ちょうど10時を指していた。
「でもかりん。それだと、その吸血鬼はもう仕留められているんじゃない?」
「あ。」
確かにそうだった。
違う理由を考えな__。
「いや。」
大が口を開く。
「いるんだ。きっと。『絶対に狙われない吸血鬼』が。」
「その人物を見つけるのが今回の吸血狩りの醍醐味……と2号ならいいそうだね。」
私たちは「狙われない吸血鬼」を、私たちは見つけなければならない。
ただ、本当に見つけられるだろうか。
__いや、違う。「見つける」んだ。
私は机に隠れている太腿を叩く。
「俺たちは『狙われない吸血鬼』から逃げる必要がある。」
その吸血鬼だと思われる参加者に殺害された人は、今日だけで17人もいた。
残り7人。
狙われない吸血鬼は、今日で吸血狩りを終わらせようとしている。
残り7時間。
「とりあえず隠れよう。」
「あのさ、共有はもうしなくていいと思う。」
「かりん。なぜだ?」
「集まろうとしたときに殺害されたら意味がないから。それにもし、もう1人吸血鬼がいたら、その参加者は本気で襲い掛かる可能性が高い。だったらノルマ未達成で終わらせられる。」
「ここが4人で、他の参加者が3人。その中にいた場合は……。そっか。ほぼ確実にノルマ未達成で終わるんだね。」
奏も納得したところで、次の話__どう隠れるかという議題に行く。
はずだった。
しかし、来夢が「それは相手に隠れ場所を教えているのと同じだ」と言い出したのだ。
結局、ペアで決めることになった。
時間は10時20分だった。
「この中に吸血鬼がいるかもしれないから言っておく。」
来夢はベランダのドア付近で振り向いた。
「君は、今日死ぬよ。」
来夢はベランダのドアを開けて走り出した。
3年生の教室はB棟1階なので、ベランダからすぐに校庭に行ける。
「ま、待って!」
私は急いで走り出した。
「____。」
「____。」
何と言っていたのかはわからなかったが、奏と大が話していることだけはわかった。