表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/18

1.ゲーム・スタート

「皆様、おはようございます。清々しい朝ですね。」

 その言葉が聞こえて、私__『青木かりん』は目覚めた。

 あたり一面段ボールで覆われていて、それには『03』という数字が書かれていた。私がいたのは段ボールに囲まれたところにある布団の中だった。

(ここ、どこ⁉)

「困惑されている方もいらっしゃるでしょう。わたくしは『2号』です。よろしくお願いします。」

 私の気持ちを見抜いた2号は、落ち着いた様子で体育館のステージのような場所に立っていた。2号は人形のような見た目で、十字架のチョーカーを付けた女の子だった。目の下には『02』の数字が記されている。

「これから皆様には、『吸血狩り』をやってもらいます。この小学校でね。」

『吸血狩り』。その言葉が、私には理解できなかった。

「2号! またゲームをやらせるつもり⁉」

「ご了承ください。NO.28(Number 28)。これはわたくしが招待したわけではありません。」

 NO.28と呼ばれた人の声は、怒りに満ちたものだった。

(また?)

 さっきの28番の話を整理すると、吸血狩りというゲームは初めてではなく、2号が選出したわけでもないということらしい。

「では、今回の吸血狩りのルールを説明します。部屋の中に貸与スマートフォンがありますので、確認してください。」

 私はすぐそばにあったスマートフォンを開いた。

『メッセージが3件あります。』

 その文字をすぐに押した。


〔【ルール】

・このゲームは、狩人45人、吸血鬼5人の計50人で行う。

・NO.(ナンバー)は1~50までである。役職は変更できない。

・ゲーム時間は9時~17時までである。残りは自由時間となる。

・狩人は吸血鬼を全員仕留めることで勝利となる。

・吸血鬼は全滅する前に狩人を残り一人にしたら勝利となる。


{狩人のルール}

・狩人は5発の弾丸を持っている。

・仕留めるときには弾丸を発射させる。

※弾数が更新されることはない。

※仕留めた相手の役職は公表されない。


{吸血鬼のルール}

・吸血鬼は狩人に触れることで『殺害』できる。

※殺害されるのは触れてから1分後である。

・吸血鬼には、毎日『殺害ノルマ』が与えられる。

※吸血鬼によって1日の殺害ノルマ数が違うということはない。

※殺害ノルマを達成できなかった吸血鬼は死ぬ。

・吸血鬼は、自分たちの勝利のために行動する。陣営を不利にする行動はとることができない。

・吸血鬼には、始めにほかの吸血鬼を知らされる。

・吸血鬼は1発の弾丸を持っている。

・仕留めるときには弾丸を発射させる。

※弾数は毎日更新される。

※弾丸で仕留めた場合、1日の殺害ノルマにはカウントされない。


{禁止事項}

・参加者はゲーム時間以外の間に仕留めたり、殺害してはならない。

・参加者は舞台から逃げてはならない。

・参加者は9時までに身支度を済ませていずれかの教室に入らなければならない。

※ゲーム開始後の行動は基本自由とする。9時までに入った教室に居続ける必要はない。

・参加者は22時までに自室に戻らなければならない。

※自室とは、段ボールに囲まれた部屋である。

※自室には、自分のNO.(ナンバー)が記されている。

・参加者は他人の貸与スマートフォンを見てはならない。

・狩人は殺害されたことを他人に知らせてはならない。


このルールを破った参加者は本当に死ぬ。〕


「自室が全員体育館にあるので、お手洗い、シャワールームなどの場所を伝えます。」

 突然、2号の声が響き渡り私はステージにいる彼女のほうを見た。

「お手洗いは学校のものを使用してください。シャワールームは男性がサッカーゴール付近のテント、女性がプール前のテントになっています。小さいですので、一人ひとり順番に入ってください。全員20分以内に入れるといいですね。」

(はいはい……。)

「また、食品はすべての多目的室にあります。バイキング形式になっておりますので、いつでも利用してください。」

 2号の話が終わり、2件目のメッセージを見ると、そこには学校の案内図があった。

 そして、3件目のメッセージを見る。

『NO.3様 役職=狩人』


「なんだよ。」

「そのままの意味です。NO.34。これから皆様にはこのゲームに参加してもらいます。」

「なに? 意味わからないことを言うなっつーの。撃とうか? 君のこと。」

「それはわたくしのセリフです。次おかしなこと言ったらわたくしによってあなたが殺害されると考えておいてください。」

「……。」

 NO.34と呼ばれた人は、『殺害』の言葉を聞いて黙り込んだ。

(これに負けたら……。)

 そのことについて、私は考えたくなかった。

(でも、勝てばいいんだ……!)

 やらなければ、私は死ぬ__本当に死んでしまうから。


 こうして、命がけのゲーム__吸血狩りが始まった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ