奉行の仕事
時代小説というジャンルは初めて書きます。自分自身、江戸時代は好きな時代でその中でも中々有名な江戸町奉行が主役の話です。
フィクションのところと本当にあったであろうことが織り混ざった作品になっています。是非、よろしくお願いします。
以下登場人物紹介
・旭見池 忠道(25)
江戸町奉行(南)
若干25歳という今までに前例がないほどの若さで旗本のキャリアトップといえる江戸町奉行になった男。その実力は折り紙付きである。
※本来は旭見ヶ池だが上手くふりがなが打てなかったので上では旭見池になってます。
・優奈(19)
南町江戸町奉行付き
とある縁でまだ小さい頃から旭見ヶ池家に預けられている少女。しっかり者であり、若き奉行を陰から支える苦労人である。
・県町 新助(35)
江戸町奉行(北)
こちらもその歳にしては異例とも言える大出世を果たして江戸町奉行に就任した。忠道とは協力関係で良き相棒。特に政務に長けている。
・上秋 悠(49)
老中・譜代大名
江戸幕府の中枢を担う老中の1人。絶大な権力を誇る。江戸町奉行の2人を理解し、その実力をフルに出させる上司としての有能度は高い。
南町奉行所の奥(奉行の私邸)。奉行である旭見ヶ池の私的な秘書である桜町優奈が旭見ヶ池を起こしにかかる。
「起きてください!主人様!早く起きてください!!」
「うっさいな〜....優奈、まだ朝早いだろ!?」
「もう明六つはいっつか過ぎてます。」
※大体5時〜7時
「はぁ!?嘘だろ!!」
「本当です。あ〜上様にこのことが伝わったらどうなるでしょうね〜。お江戸の奉行様が遅れた登城なんてwww」
江戸町奉行は毎日、江戸城への登城が義務であり絶対に行かなければならない。行かなければ最悪、切腹もあり得るのだ。
「優奈!籠だ籠!早く籠を準備してくれ!後、握り飯かなんか!」
「もう用意できてます。いってらっしゃいませ、主人様。」
「行ってくる!兄ちゃん、頼む!!」
「任されましたよ!」「あいよ!」
旭見ヶ池は籠に飛び乗った。南町奉行所は現在で言うところの東京、有楽町駅の辺りにあった。江戸城は目と鼻の先であるが遅れる事は絶対に許されないためさっさと行く必要があるのだ。
先ほども言ったが遅れればタダでは済まない。ちなみに昼四つ(9時〜11時)には登城をしなければならない。また鼻の先の江戸城に行くのに2時間前に出発するのは社畜の極みに感じるがこれは必要なのだ。
理由としては朝、江戸城の周りには江戸城に登城する大名や江戸城で働く多くの役人が少ない門から入城するためである。
▲▽▲▽▲
「ゼーゼーゼー....っは、危ねぇ。」
登城の為の大渋滞に巻き込まれて登城したのは昼四つギリギリだった。
「いや〜お前はいっつもギリギリだな。」
「うっせ....お前とは....訳が...違うんだ。」
控え室に詰め、南町奉行の旭見ヶ池と対をなし相棒とも言える県町と顔を合わせる。
「まぁどうせ桜町さんに起こしてもらったんだろ?」
「まぁな....あいつが秘書としていなかったら俺、今頃切腹になっとるわ。」
「お前本当にあれだな。ひどい奴だな。」
「あんたは奥さんがいるんだろ?」
「家中ではカミさんの方が強いんだよ。」
「草。」
「んだと?」
「おーおー怒るなって。ほら、太鼓が止まったぞ?」
「ちっ。本当に運は良いな。」
「運も実力の内☆」
太鼓が止まるというのは彼ら町奉行の直属の上司である老中の出勤を意味する事である。まぁこんな様子を見つかれば2人ともクビ&切腹&色々なのだ。
「失礼します。お二方様、御老中様がお呼びでございます。」
「「はい。」」
江戸城の長い廊下をお城坊主(世話係)の先導で歩き、老中の執務室である御用部屋の前に立つ。
「御老中様、江戸町奉行のお二人が参上仕りました」
「入れ。」
「「失礼致します。」」
2人で襖を開け、部屋に入る。いくつかの机が並べられ40代はとうの昔に過ぎたほどの歳をとった武士が数名座っていた。
「よく来た。表を上げよ。」
2人はうやうやしく顔を上げる。ここまで2人が畏まるのは相手との格の違いである。
老中は名家中の名家の大名がつく、幕閣の最高位。数万石の大名である。ちなみに1万石というのが領地から1万石の米が取れるという事であり、ざっくりいうと石高=その家の軍事力である。
しかし2人の江戸町奉行は数千石程度の武士であり、どう頑張ってもその差は明らかである。
「ではこの件の決裁から始めるかの...」
江戸町奉行は今風に言えば東京都知事・警視総監・東京地裁裁判官を兼任した役職であり、その奉行が行う政策についての重要案件を審議するのが老中である。
さらに江戸町奉行は今で言う最高裁の裁判への出席も求められるのだ。そして今からそれらの審議だったりがスタートしたのだ。
▲▽▲▽▲
「本日は以上である。南町奉行の旭見ヶ池は残り、北町奉行の県町は残るように。」
「「はは。」」
居残りの命令というのはどの時代においても大変辛いものである。
「して、何かありましたでしょうか。」
「これについてだ。」
そう言って老中が出したのはとある書状だ。
「これは....最近町で話題の」
「そう。最近、江戸の街に現れるという大悪党。つい先日も金10両ほどを商家から盗みおった。町の商家からの盗みを上様のお膝元でやるなど言語道断。上様も悲しまれている。今月の月番は南じゃ。即刻、捕まえるように」
「はは。我ら南町奉行所、全力で確保に向かいます」
10両というのは1両13万円と言われるので130万程度である。当時は今よりも防犯能力が高くなく、かなり窃盗に対する罰則は重いのだ。
証拠も集めづらく、21世紀と違って光の一つも無い江戸の夜で見つけるのは至難の業である。頭を抱えつつ南町奉行所に戻る旭見ヶ池であった。
読んでくださってありがとうございます。分からない点有れば、質問等どうぞ。また、登場人物に関しては初登場回の冒頭でこれからも紹介していきます。




