生物学が学びたいのに物理を強要された男子高校生の末路
生物学を愛してやまない男子高校生の呟き
ここ最近俺は疑問に思う事がある。それはなぜ自分は物理を勉強しているのだろうかという事だ。
あぁ言わないで欲しい。
「物理なんて将来何の役に立つ?」
なんて小学生じみた事など微塵も思っていない。むしろ俺は物理はかなり将来の役に立つと思っている。物理そのものの公式は使わずとも、ある事象を特定の条件に当て嵌めて結果を予想するという所謂数学的な思考というものは社会に出れば度々求められるものだ。
しかしこれだけでは分かりにくい。ならば例えを挙げてみよう。
君は一般企業の会社員(一年目)だとしよう。
年齢は…22だ。
大学在学中に何度も何度も行ってきた就職活動。血反吐を吐き、ストレスで眼瞼ミオキミアになり諦めかけていた時にようやく届いた採用通知。そんな救世主の如く現れた会社に、君は一生忠を尽くそうと誓った。
そんな会社に君は就いている。
就職一日目、君は既に、教育段階ですらないタイミングで先輩から残業を要求されている。君はこれを快く受け入れた。
「お前のような仕事熱心な人間はすぐに出世する。」
と先輩は大いに感銘を受けた。
さて、残業だ。
しかしなんてことは無い。ゴミ溜めの中の腐った魚の腸のような精神状態で就職活動をしてきた君にとって、こんな残業などストレスとも何とも思わない。帰ってきたら家のインターフォンにゴキブリひっついるなんて方が余程ストレスだろう。
因みにインターフォンゴキブリは俺の実体験だ。
勿論そのクソッタレなゴキブリは箒で叩き潰して始末したよ。……祖母がね。
…いやそんな事はどうでもいい。話を戻そう。
そして残業を終え、タイムカードを切ったその時。君は先輩とその上司から飲みの誘いを受けた。
あぁそこの君!
「追加の地獄で草」
なんて思わない。
断る理由なんて無いだろう?
なんせ一生忠を尽くすと誓った会社からの飲みの誘いなんだ。
さぁ君は君は先輩と上司と共に家から少しばかり遠い居酒屋へと足を運ぶ。暖簾を上げだと共に、威勢が良く馬鹿デカい声が店内に響く。何を言っているか分からないが恐らく君達客を歓迎しているのであろう。
席に着く。自分の席には1番上の取り皿を置き、順番に分配する。店員が来た。
「お前、酒はいけるか?」
と上司。えぇ。と君は肯定する。少しばかり酒が苦手な君だったが、1日くらい無理をしても健康には問題ないだろう。
暫くすると酒や数々の食材達と共に、頼んだ覚えの無い数々の上司の自慢話が運ばれてくる。
さぁ接待の始まりだ。
君は淡々と流れてくる自慢話を笑顔で聞く。
無駄が無く。
隙もなく。
嫌な顔1つせず。
終始笑顔だ。
何時間だっただろうか。上司はすっかり上機嫌。最後まで話を聞いてくれた君を随分と気に入ってくれたようだ。
しかしマズい。そろそろ終電の時間が近い。もう帰宅せねば明日に影響するだろう。そう思い君はわざとらしく腕時計を見る。
「…あっ、終電も近いので、そろそろ失礼いt」
「もう1軒行くかぁぁ」
…。
……。
………。
…まぁ慢性的な運動不足になりやすい社会人にとって、走って家に帰る程度の運動は必要だろう。
結局君が帰って来れたのは深夜2時。ベットに横になる。瞳を閉じ、今日起きた事を振り返る。そして最後に見た、上機嫌そうな上司の笑顔を思い出し君は意識を手放した。
ーそして数年後、君は他の同僚の誰よりも早く出世した。
さて、ここまで読んだ暇な諸君らはきっとこう思っただろう。
「どこに物理要素あるねん。」
当たり前だ。それが普通の感覚だ。
ここで物理を思い浮かべた人間は今すぐこんなくだらない小説モドキなんざ読むのを辞めてさっさと物理学者だの大学の名誉教授にでもなって論文を書いてくれ。
…残された諸君ら一般ぴーぽーズに教えよう。ここには間違いなく数学的思考がある。確かに傍から見ればただの新卒一年目の熱心な社畜の物語だろう。
しかしもし君がただ熱心な社畜ではなく、誰よりも早く出世してやるという野心を抱いているとすればどうだろうか?
今までしてきた、そしてこれからするであろう君の行動全てが、最短で出世をする為の軌道に乗る計算の元で行ってきたものだとすればどうだろうか?
ならばこの物語は数学的思考が将来の役に立った一例と言っても過言では無いだろう。
勿論これが全てでは無い。これはあくまでも1つの例に過ぎない。他にも様々な場面で役に立つ。
ならば何故、俺が物理を学ぶ事に疑問を抱いているのか。
それは単純だ。
━━もう中学で習ってんだよボケ。
つまりはそういう事である。基本的な物理は中学で終えた。ならば何故。高校にまでなってこんなクソくだらない文字の羅列を覚えているのだ。
はっきり言おう。
俺は物理が死ぬ程嫌いだ。
授業の度にクソ難しい問題ばかり俺に当ててくる物理のクソ教師が嫌いだ。
授業スピードをアホみたいに上げたクソ自称進学校(作者在学中)が嫌いだ。
期末に出た波動のクソが嫌いだ。
小テストに出た音波のクソが嫌いだ。
良問の風に出てくる熱力学のクソが嫌いだ。
今授業で習っている電磁気学のクソが嫌いだ。
これから出るであろう原子のクソが嫌いだ。
全部クソほどの役に立たねぇよゴミカスが!!
…落ち着こう。あぁ分かっている。
「ならなんでお前物理選択したんだよ」
だろう?自分が1番疑問に思っているさ。なんで物理選んだんだろう。とね。
俺は物理が死ぬ程嫌いな分、生物学は死ぬ程好きだ。
正直将来生物学に関わる仕事に就きたいと今でも思っている。1年前までの自分は今頃自信に満ち溢れた顔で生物セミナーを解いている自分を想像していた。しかし、今目の前にあるのは配られて一日で表紙をなくした良問の風(物理)だ。どうしてこうなったのだろうか。今でも理解出来ない。
…いや、理解している。もうとっくに結論は出ているじゃないか。そうだ。俺は本当は物理が好きなんだ。理解できなくてもその奥深さが、本当に好きなんだ。相対性理論を知ってから、俺は無意識に物理学について調べていたじゃないか。
だが俺は…物理の才能が無かったんだ。
成績が伸びない自分に苛立っていた。
「嫌いだから」と言って言い訳し続けた。
俺はずっと… ''本当の自分'' から逃げていたんだ。
あぁそうだ。
もう認めよう。
俺は物理が……好きだ。
俺はもう自分から逃げない。
…諸君。最後に俺が何を言いたかったかを言おう。
生物の方が好きだと懇願し続けたにもかかわらず物理を強要したクソ両親とクソ担任にファッ〇ク!!
物理選択者の方が進学率が高い日本の大学にファッ〇ク!!!!
物理選択者の方が就職率が高いこの世界にファァァァァァァッ〇ク!!!!!!!!!!!!
物理なんかクソ喰らえだゴミ!!!!!!!!!!!!!!!!!!
以上!!!
文理選択と物生選択には気を付けよう!