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「こんなところと言われても、ここは私の家なんですけど……。それよりうちの嫁と子供を見ませんでしたか。二人とも姿が見当たらないんですよ」
私は思った。
これはよくある、死んだことに気がつかないというやつではないかと。
「いや村下さん。気付いていないみたいですけど、あなたはもう死んでいるんですよ」
村下さんの顔が、まさに変わった。
「死んでいる? あなた何を言っているんですか。それは失礼にもほどがあるでしょう!」
「いや失礼とかそういんじゃなくて村下さん、あなたは本当に死んでいるんですよ」
「まだ言うか!」
村下さんの身体が真っ赤になった。
まるで激しく燃えているようだ。
――やばい!
どうしようかと必死に考えていると、誰かが私の横に立っていることに気がついた。
――?
どう見ても五十は超えているのだが、その格好は今時の中学生がするようなものだった。
村下さんも男に気付き、男を見た。
すると男が村下さんの耳に口を近づけて、何かをささやいた。