謎が謎のまま、いつまでも残っています。
「ものすごく、何か言いたそうな顔だね?」
「……何も疑問を持たない方が、おかしいと思いますが」
宮島へ向かう途中のフェリーの中。
和泉がおかしそうに話しかけてきたので、駿河は思ったままを口にした。
あのDVDに上書きされていた動画の件で、和泉が突然宮島へ出かけると言い出し、こちらがまだ、何も言わない内からお供をさせられている。
「だって、葵ちゃん。宮島で駐在所勤務してたでしょ? 地元の人に馴染みがあるだろうから、話しやすいんじゃないかって。それにね……葵ちゃんだって浅井ってバァさんにいろいろ聞きたいこともあるでしょ? 美咲さんのこととか」
「……そんなプライベートなことは、後回しです。今は事件のことを最優先にしなければなりませんから」
「葵ちゃんは真面目なんだからなぁ~、もう」
「和泉さんが不真面目なだけです」
言い過ぎたかな、と思ったが、彼は何も気にしていないようだった。
「それよりも和泉さん……」
なーに? と、和泉は暢気な声で答える。
「あの、特殊捜査班の北条警視とは、古いお知り合いなんですよね?」
「そうだけど……」
「自分の気のせいかもしれませんが、なんとなく……和泉さんは、あの警視のことを避けておられませんか?」
すると和泉は一瞬だけ、暗い表情をした。しかし、
「普通、オカマに迫ってこられたら逃げない? あれ、なんて言ったっけ。白鴎館の若旦那だってそうでしょ、確か。葵ちゃんも、追いかけられたことあるんじゃない?」
大当たりである。
思い出したら嫌な気分になってしまった。
宮島に到着する。
平日だというのに、相変わらず観光客が多い。
2人の刑事はまず、白鴎館に向かった。
時刻は午後2時過ぎ。まだチェックインが始まって間もない頃だろう。
2人が玄関先に入った時、ちょうど大型の観光バスがはいってきた。
降りてきたのはどうやら外国人のようだ。日本語ではない。
そして問題の(?)斉木晃が玄関に出てきた。
彼はどうやら中国語と思われる言語で応対している。
全員が館内に入り終えた頃を見計らい、駿河と和泉は斉木に声をかけた。
「ごきげんよう、斉木さん」
すると彼はニコニコしながら振り返った。
いらっしゃいませ、と言いかけてこちらが誰かに気付いたのか、途端に顔をしかめる。
「……何の御用でしょう?」
「我々が県警捜査1課……殺人事件を担当する係だということは、きっとご存知だろうと思うのですが……」
和泉もニコニコしながら答えると、いきなり斉木は彼の腕をつかみ、玄関の隅っこに連れて行った。
和泉の方が身体も大きいのに、意外と力があるようだ。
「こんなところで、そんな物騒な話はやめてください! ここは、旅館なんです。お客様は日頃のお疲れを癒しにお見えになっているのですよ?! それを、殺人事件なんて……」
「でしたら、素直に我々の質問にお答えください」
「業務中ですので。おまけに本日は、先ほどご覧になったように、団体のお客様がお見えですのでね……とても忙しいのですよ」
斉木はちらりと館内の奥の方を見て、そう答えた。
「そんなことは、こちらの知ったことではありません。行方不明になっているというこちらの女将さん……あなたのお母さんのことで、いくらかお聞きしたいのですよ」
すると。
斉木の顔色がさっと変わった。
確実に何かある。
「行方が知れなくなったのは、いつからです? 噂では、若い男性と駆け落ちしたとかなんとか……」
「……」
「答えていただけませんか?」
すると、斉木は怒りの形相を浮かべた。
「あの女の差し金ですか……?!」
「あの女? ああ、美咲さんのことですか?」
「あのメギツネが、うちの評判を落とそうとして、妙な噂を立てようとしているんでしょう?!」
和泉は大げさに肩を竦める。
「彼女はまったく無関係ですよ。あなたも大概、脳がやられてるみたいですね。おクスリでもやっているんですか? 何か自分に都合の悪いことが起きると、全部彼女のせいにする。冗談じゃありませんよ。美咲さんはあなたのことにかまっていられるほど、ヒマな人ではありませんのでね。もしかするとあれですか? 歴代の彼氏なり、好きな男性が皆、彼女に心を寄せて行ったから……恨んでるとか、そんなくだらない嫉妬心ですか?」
どうしてこの人は、ここまで人を怒らせるのが上手なのだろう?
駿河は呆れ半分、驚き半分で和泉と斉木の遣り取りを見ていた。
「あんたは、何もわかってない。所詮は他所者だな!!」
いきなり斉木の口調が変わった。
「……どういう意味です?」
「美咲に魅かれる男なんて、この島にはいないんだよ。皆、あの女の素性は知ってるからな。皆が知ってる。あいつが、誰にでも足を開くよう……」
カっと、頭に血が昇り、思わず殴りつけてやろうかと駿河が思うよりも早く、和泉の方が手を出していた。
もっとも、寸前で止めたが。
「……それ以上、言ってみろ……」
斉木の顔から血の気が引く。
駿河も驚いていた。
和泉が本気で怒っている。
あんな表情は見たことがない。
そうしてまた、一度有耶無耶になってしまったはずの疑問が沸いてしまう。
彼はやはり、美咲のことを……?
その時だった。
「おい!」
後ろから声がした。
振り返ると、駿河がこの島にいた時、一度だけ会ったことのある老婦人が立っていた。
「話があるけぇ、来い」
和泉はそれでも斉木の胸ぐらをつかんだ手を離そうとせず、胡散臭いものを見るような目で老婦人を見た。
「はよせぇ!!」
しぶしぶ、といった感じで和泉は手を離す。
その老婦人は何も言わずに踵を返すと、元気そうな足取りでスタスタと歩きだした。
こんばんは! エビ太だよ!!
ここまで読んでくださった皆さん、どうもありがとうエビっ。
……えっ?
ここだけ見てるエビ……?
まぁいいや。
あのね、パソコンで読んでる人限定になっちゃうけど。
もし、ここまで読んで面白かったら……
びみょー、もう読まなくてもいいやって言う人は……
ただし。右クリックすると、とんでもないオプションが待ってるよ?
天井から水が落ちてくる、足元から雑草が生えてくる、朝、目が覚めたら隣に裸の隊長さんが眠ってた……怖い怖い。
すごく面白かった、続きが気になる人は……
押したところで、何も起きないエビけどね!!(笑)
次回更新は今週水曜日か、金曜日か、土曜日か、日曜日か!!
じゃ、またエビ~♪




