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ああ、胃が痛い……。

 先日、と和泉は続ける。

「美咲さんと少しお話する機会があったんですがね」


 彼は温かい緑茶を啜りながら、

「例の横領事件は結局、米島朋子が全部仕切っていた……ということでカタがついていますが、本当にあの仲居頭1人だけの仕業だったんだろうか、と」


「……お前は誰を疑っているんだ?」

「僕じゃありません。美咲さんが、そう言ったんです」

 そう答えて和泉は遠い目をする。


「彼女……やっぱり今でも、葵ちゃんのことが……好きみたいですね」

 息子は何を言わんとしているのだろうか?


 聡介はしばらく黙っていたが、結局、和泉は何も言わなかった。



 それからなんとなく壁にかかっているテレビに目を向けた。ニュース番組を放送している。


『……先日の事件に引続き、これで3件目ですねぇ』

『すべて同じ県内です。何か関連性があるんでしょうか?』

 元警視庁捜査1課の肩書きをもつコメンテーターが、ボードに貼られたシールを剥がしながら何やら説明している。


 どこかで聞いたような地名だな……と思ったら、地元ではないか!!


 聡介は思わずテレビに近づき、何を言っているのか訊き取ろうとした。


 先日、医師の一人が帰宅途中に賊に襲われ、怪我を負わされた事件は知っている。

 所轄署のみで対応するということだったし、こちらは原田節子の事件を追っているから、ほとんど情報を持っていなかった。


 ニュースを見ているとしかし、それだけではなかった。


 つい2日前、安芸総合病院に勤務する事務員が帰宅途中に、やはり何者かに襲われて全治2週間の怪我を負わされたというのだ。


 いずれも現時点で聡介には詳しい情報が入っていない。


「聡さん。気になります? この事件」

「当たり前だ……管内だぞ?」


「詳しいことを知りたければ、あのオネエ…じゃなかった、北条警視にお訊ねになればいいですよ。あの人、暇さえあればあちこちいろんな事件や、トラブルに首を突っ込みたがりますから」


 なんだかわかる気がする。


「ところで聡さん。あの【御柳亭】の社長と言い、白鴎館の若旦那と言い、どうやら何かを探している様子でしたね?」


「ああ、そうだったな……」


「なんとなく、ですが。例の噂に絡んだ証拠品か何かでしょうか」

「例の噂?」

「斉木が支倉とつるんで、麻薬取引をしているとかいないとか……」


 そうだった。

 その件の真相に関しては、年末から追っていたが結局のところ、はっきりしないまま時間だけが過ぎた。


 詳しいことを知っているであろう人物からも、何も供述はとれていない。


「あるいは。横領の証拠になる、裏帳簿のコピーでも残されていたか」


 和泉は嬉しそうというか、妙に張り切っている感じがする。

 こう言う時、違う意味でいろいろ危険な兆候なのだということを、聡介は長い付き合いで熟知している。


「……クスリのことは組対、横領は2課の仕事だ」


 本心でないことを口にした時、料理が運ばれてきた。


ここまで読んでくださってありがとうエビっ!!

まったね~♪

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