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シスコンは徹底してますから

イラストは相出憩様よりいただきました(その2)

2枚とも和泉です(^o^)

挿絵(By みてみん)


 話題を変えよう。


 何度も電話をしてきたのは、そのことだけが目的ではなかっただろうから。


「ねぇ、周君。最近、美咲さんの様子はどう? 少し疲れてるんじゃない?」


 周は表情を曇らせた。

「見た感じは元気そうだけど、たぶん疲れてると思う……ずっと病院と家の往復だし。賢兄があんな調子だから、毎日様子を見に行ってるよ」

「そうだよね……」


 この時、ふと和泉は美咲と原田節子の関係性について、周に訊ねてみようかと考えた。


 彼は年末、被害者と一緒に働いたことがあったはずだ。


 この子のことだから、自分の姉に他人がどう接するかをくまなく観察していたに違いない。

 姉の味方だと判断したら自分も笑顔で接するし、敵だと判断したら、徹底的に態度を変えたことだろう。


 ……やめておこう。


 下手をすれば、周にも容疑がかかる恐れがある。


「和泉さん……?」

「あ、ごめんね」


 すると周は少し悩んだようなそぶりを見せた後、思いきったように口を開いた。


「ニュース、見たんだ。節子さんが亡くなったって……」


 やはりか。


「知ってる人があんなことになるって、いい気分がしないもんだね」


『警察は実際のところ、この事件をどう見ているの?』

 周の言葉の裏にそんな疑問が隠されているのだ、とすぐにピンときた。


 彼の懸念はおそらく自分と同じだろう。


 被害者である原田節子に恨みを持つ人間として、美咲が槍玉にあがったりしないか。


 彼も彼女達を取り巻く人間関係について、無知な訳ではないはずだ。


 和泉は微笑んで見せた。


「大丈夫だよ。絶対に、美咲さんを困らせるようなことにはしないから」


 周は驚いている。

 それから頷き、再びこちらを真っ直ぐに見つめてきた。


「うん。俺は和泉さんのこと、信じてるよ。姉さんもそうだ」


「周君……」


 ああ、そうだ。

 この子はいつだって自分に全幅の信頼を置いてくれた。


 それが嬉しくて、愛おしくて、だからこそ彼も決して自分を裏切るような真似はしないと信じることができる。


 かつての上司だった『あいつ』とはまったく違う。


 優しい言葉と上辺だけの気遣いで、こちらの心を虜にしてしまったあの男とは。


「時間とってごめんね。それじゃ、おやすみなさい」

「うん……」

 周はまだ何か言いたそうな、訊きたそうな顔をしてるが、時間的なことを配慮したのかもしれない。

 扉を閉めるポーズをした。


「おやすみ、周君」


 にゃーん、と鳴く猫の頭を撫でてから和泉は踵を返した。


 それから自宅(仮)のドアを開けて中に入った。


 自分の分と聡介の分の着替えをカバンに詰めながら、和泉は呟いた。


「……よし。明日からは真面目に仕事しよう!!」


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