表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

26/303

KYと言われようがなんだろうが

 今、このタイミングはどうかとも思ったが、チャンスだと思った。


「悪いが、先に行っててくれ。ちょっとだけこいつと話があるんだ」


 駿河は何の疑問も挟まずに靴を履いて、先に外へ出る。


「なぁ、志乃。お前……【蓮】っていう名前のホストを知ってるか?」

 もちろん、と彼女はあっさり答えてくれた。


「だってあたし、いつも指名してたもん。でもねぇ~……蓮って人気者だったから、なかなか長い時間は無理だったなぁ」


「だった……って、もうホストはやめたのか?」

 そうじゃないよ、と志乃はパーマの取れかけた髪をいじりながら言う。


「彼、亡くなったもの。自殺したって聞いた」


 そうだった。


 あの日、智哉に話しかけてきた女性は確か『死んだなんて嘘だったのか』と言っていたことを思い出す。


「自殺の原因を知ってるか?」


 さぁ、と志乃は首を傾げる。


「すっごく明るい子だったよ。あの子と話してると、なんかいつの間にか日頃の不満とか、忘れちゃえたんだ。聞き上手っていうのかな? 天性のホストだったと思うよ」


 へぇ、と相槌を打ちながら胸の内で思う。


 顔は似ていても中身はかなり違うようだ。

 とは言っても、一緒にいると癒されるという点では智哉と共通している。


 あの子は静かで自己主張も控え目で、もっとワガママを言えばいいのにとも思うのだが。


「その、亡くなったのは何年ぐらい前の話だ?」


「えーと……2、3年前かな?」


「何が原因だったのか、噂でもいいから教えてくれ」


 志乃は怪訝そうな顔をし、それから心配そうに友永を見つめてくる。


「……なんだよ?」


「調べてどうするの?」

「そんなの……言える訳ねぇだろうが」


 志乃はぬるくなったお茶を一気に飲み干した。


「あんまりいい噂、聞かないよ? あの子が亡くなった原因については」


「……ひょっとして、支倉絡みか?」

 しばらく返事はなかった。


 だが、彼女の表情を見ている限り、当たらずとも遠からずだろうと友永は考えた。


「詳しいことは知らないけど、以前、蓮の自殺の件でいろいろ調べ回っていた人がいたみたいなの。この界隈じゃ有名だったよ。でも一度怖いオジさん達に睨まれて、ボッコボコにされちゃったこともあったみたい。修ちゃんも気をつけてね?」


「どんな人間だ? 男か、女か?」


「だから、詳しいことは知らないって」


 嘘をついているのかどうか、判断はつかない。


 そろそろ引き揚げよう。


 友永はドアノブに手をかけた。


 修ちゃん、と志乃が見上げてくる。

「気をつけてよ。この世界、ほんとに危険なんだからね……」


 心配するな、と友永は答えたが、少なからず不安もあった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ