知った顔を見ると安心できるって、ほんとだな。
イラストはウナムムル様よりいただきました。
【あぶない刑事】をイメージされたそうです(^o^)
まさか、こんなことになるなんて。
遺体を一目見てすぐにわかった。
鶏ガラだ、と。
友永は自分では冷静でいるつもりだったが、思いの外ダメージは大きかったようだ。
テレビや小説で、若い刑事が遺体を見て吐き気を催すという場面を見聞きするが、あれは大げさな演出なんかじゃない。
死体を見るのは初めてじゃないが、本当に吐きそうになった。
ましてそれが知っている顔ならなおのことだ。
相棒は無言でこちらを見ている。
なんと声をかけていいのかわからないのではなく、彼は元々しゃべらない。
「……心配すんな、大丈夫だ」
「とても、そういうふうには見えませんが……」
こんなことならもう少し、丁寧に接してやればよかった。
今さら遅いが。
だとしたら、いま自分がするべきことは、真相を明らかにすることだけだ。
この町は生活安全課にいた頃から何度も来ているから、もはや路地裏まで知り尽くしている。檀家も何人かいる。
誰か事件を目撃していないだろうか。
期待を込めて友永が携帯電話を握った時だ。
「あ、修ちゃん!! 修ちゃんじゃないの!!」
向かいから女性の声がした。
顔を上げると、よく見知った相手だった。
「もう~! 最近、全然お店来てくれないじゃん!!
源氏名を志乃、という女性は昔、友永が生活安全課にいた頃、売春やそれに類することで何度か補導し、顔馴染みになった相手である。
彼女は現在、この町の高級クラブでホステスをしている。
だって接客業が好きなんだもん、と本人いわくである。
友永も特に止めなかった。
その代わり、情報提供者として協力してもらう約束はしている。
化粧をしておらず、いつものドレス姿ではない彼女を見るのは初めてだったので、しばらく誰だったかわからなかった。
「わりぃな。俺も、何かと忙しくって……」
「どうしたの? 顔色悪いよ」
志乃はこちらの顔を覗きこむ。
そんなに表に出ていたのか。
「あ、わかった! 他の安いお店で安いお酒飲んだんでしょ? もぅ、だからうちのお店に来てって言ってるのに。修ちゃんなら割引するんだからね!!」
いつもなら軽口の一言ぐらい出るのに、今はそんな気になれない。
彼女もそのことに気付いたようだ。
「……ねぇ、少しウチに寄っていかない?」
「さっき店閉めたばっかりだろうが……?」
正直、ありがたいと思った。いっそのこと吐いてしまえば楽になれる。
「そうじゃないよ、私のお家!」
そう言えば彼女はこの近所に部屋を借りているのだった。
「そっちの、ロボットみたいな刑事さんも一緒に」
そう名指しされた駿河はやはり無表情のまま、一緒についてきた。




