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KYな鑑識子と相棒の犬登場!!

初めて犬の絵を描きました。

「……身元を示すようなものは何も持っていませんでした。現場に残っていた痕跡からすると、階段から誤って足を滑らせたか、もしくは……」

「突き落とされたかも、ってこと?」


 鑑識課の女子職員……平林郁美は和泉に真剣な顔で見つめられ、ぽっと顔を赤く染めて俯き加減にはい、と答える。


 あんたね、今は仕事中なんだってことわかってる?!


 結衣はそうツッコミを入れたかったが我慢した。


 すると。結衣の代わりに犬が「ワン!」と吠えた。


「ワンちゃんが何か見つけたのかな?」和泉が言う。

 そうじゃなくてきっと、郁美にツッコんだのよ……とは言えない。


 それにしても驚いた。

『警察犬』が臨場しているのを今まで見たことがなかったからである。


 つい先日、ようやく訓練を終えて現場に出ることが許されたらしい。


挿絵(By みてみん)


 警察犬は鑑識課の所属になる。そのため郁美が綱を引いていた。


 身体が大きくて強そうな犬だった。名前はアルヴィン。


 今朝早く、事件発生の呼び出しがあった。


 流川のとある雑居ビルの1階部分に女性が倒れている。頭から血を流している、と。最初は消防に通報があり、駆け付けた救急隊員達はしかし、既に死亡していることを確認すると、警察に連絡を入れたのである。


 倒れていたのは50代後半ぐらいの女性。


 死後およそ6、7時間は経過しているとのことだ。つまり、死亡推定時刻は午後10時から11時ごろと考えられる。


 発見が遅れたのは非常階段側の裏口だったからである。


 そこはゴミ捨て場となっており、滅多に人が足を踏み入れない場所だ。遺体を発見したのはゴミ収集に来た業者の人間であった。


 着衣の乱れや、現場に残っていた痕跡からして、事件と事故、両面の可能性が考えられる。


 周辺に何も持ち物らしい持ち物が落ちていないことを考えると、強盗のセンが濃い。


 犯人が一切を持ち去ってしまったと考えられる。


「ワンワン!!」

 アルヴィンは地面に鼻を近付けてクンクン臭いを嗅いでいたが、何かを見つけたのか、急に猛スピードで走りだした。


「きゃあっ?!」

 郁美が悲鳴を上げ、犬に引っ張られて行く。


 やがて犬は遺体発見現場から約30メートルほどしか離れていない場所で停まった。


 結衣も後を追いかけた。


 犬の視線の先にあったのは、ハンドバッグであった。有名なブランド物である。

 結衣はそれを拾いあげて中を確認したが、金具が外されており、中身は何も入っていなかった。


「ひょっとして、被害者の持ち物かしら……?」


「多分間違いないわね。この子が見つけたんだもの」

 郁美は嬉しそうに言って犬の頭を撫でた。

 犬も嬉しそうにくぅ~ん、と答える。


「中身が空っぽだわ。犯人が持ち去ったのかしら?」

「その可能性が高いわよ。ということは、強盗……かしらね?」


「うさこちゃん、郁美ちゃん!」

 後ろから和泉の声がした。


「何かあったの?」


「ガイシャの物と思われるバッグです。中は空っぽでした」


「そう、ワンちゃんのお手柄だね。偉いえらい」

 和泉がしゃがんで犬の頭を撫でる。犬は嬉しそうに目を細めた。


 が。次の瞬間、きゃぅん~と情けない声を出して尻尾を巻く。


 郁美に睨まれて委縮しているようだ。


 あんた、犬に嫉妬してどうすんのよ……。


 そんな結衣と郁美達の内心など、まったく関知していない和泉は手袋をした手でバッグを検分していたが、


「……何か探していたのかな……?」


「え、どうしてですか?」


「あちこちのファスナーが開けられていて、根こそぎ中身が持って行かれてる。なんていうのか、この中に大切な何かが隠されてでもいたのかな……って、そんな気がしただけ。たいした話じゃないよ」


 なるほど、そういう見方もできるのか。


 結衣が感心して聞いている横で、郁美は眼をキラキラ輝かせている。


 友人が何か余計なことを言いはしまいか、と危惧を覚えた時に、上司が集合するようにと声をかけた。

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