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Q:あの魔族がこの街の領主様ですか? A:ああ、そうっぽいね


 丘まで運んでくれた魔族にお礼をいって別れた。今は着ていた服を絞っている最中だ

 肌着のシャツまで脱いでいるが、現在はシャツ一枚でも汗ばむ程に熱いので丁度いいかもしれないな。そう思えば海に出たのはタイミング的に良かった。これが冬だったら寒くてやってられない


 絞った上着を拡げて上下に大きく振る。乾くまでもう少し時間が掛かるだろうが、この熱さなら問題なかろう。着よう


「そいえば全魔眼さ」

〈はい?〉

「あんまし想像したくないんだけんども、『受精卵をムリクリくっつけたっぽい』っていったよな?」

〈いいました〉

「その頃に俺の眼球なんてのはないだろ? お前眼球なのにどうやってみてたんだ?」

〈……さあ?〉


 本気で不思議そうに答えられても困るんだが……

 ああ、やっぱりこんな事聞くんじゃなかった。摩訶不思議な異世界事情は普通の考えじゃいかんよな。どうにも前世思考で考えてしまう


 今世に併せて考えられる様になったのは、魔物の効率のいい倒し方かな。剣で切ったり、殴って潰したりと魔核を壊して、生き物を殺すという。これに関しては本当に抵抗がなくなってしまった

 仕方がないだろう? 目の前で人が食われる様な光景を目にしたら、誰だって生きる為に『容赦』を捨てれる様にもなるさ


 服も着終わったので街にくり出そう。当面の目標は、村に帰る事だな


〈ご友人の敵を討つというのは?〉

「流石に、なんの手がかりもなしに探しはしないさ。七年経っちゃいるが、一旦村に帰って痕跡を探してみよう。森ならエルフの俺に頼りなさいっての。古い痕跡も見つけちゃうぜ?」

〈ハーフですけどね〉


 黙りんしゃい。ふむ、歩く度に水を吸った靴が音を立てる。裸足で歩っこかなあ

 船で丘を目指していた時は人が沢山いたのに、服を絞っている時は人一人っ子周りにいなかった。というのも、俺が服を絞っているその後ろは、打ち上げられた時でもハッキリと見える程の大通りがあり


 その大通りを真っ直ぐ進んでいくと、小さな広場がある。今そこに人が集まっていく集まっていく

 どうしてそんなに集まるのってくらい。広場に人が吸収されていく


 まあ、気になった俺もそこに向かう訳なんだけどもね。流石にもう、町中で全魔眼と普通に会話する訳にも行かない


〈なんでしょうね。この人集りは〉


 さあ? 魔族の平均身長が高いのか。俺がチビなのかは定かでは無いが、広場が見えね


〈どう考えても主が小さいのでしょう。身体は子供ですし〉


 うっせうっせ!

 しかしまあ、見えなくとも俺の耳にはなにが起きているのかはハッキリと聞こえている訳だ


『おお! 領主様。あの噂は本当なのですか?』

『ああ、すまないな皆。真偽も判断ままならない噂話に気苦労をかけた。ボクもしっかりと情報を集めて来た

 後半年以降、一年未満に、人間は必ず大陸を攻めて来る事が解った。その時にこの街は最前線となるだろう』


 広場がざわつく

 まあ、そりゃそうだろうなあ。谷底が異様に平和だけだった訳で、普通ならこんなもんだろ。いきなり戦争になるなんてのは驚きだが、文化があり種族が違えば争いも頻繁にあるよね


〈やけに冷静ですね〉


 元日本人嘗めんな。平和の絶頂を生きた男だぞ? 戦争なんて聞かされてもピンと来ないわ

 それよりも俺は、あの領主様の方が気になるね。偉いじゃないの。魔族が不安にならない様に演説を続けている


〈主。主〉


 はいはい?


〈千里眼で見てたんですが、ざわつきましたけど魔族の誰一人ショックを受けた様な顔をしてませんよ〉


 なに? 全魔眼。千里眼発動


〈了解です〉


 おうおう。見える見える。お前こんな視界で今の演説聞いてたのかよ。一人一人の喜々とした顔がしっかりと認識できるじゃないか。あれ、魔族ってそんなに好戦的な種族だったっけ?

 俺の魔力勝手に使って羨ましい光景だ。使うなら俺にも見せろ


〈よろしいのですか? 主とわたくし分を常時使用すると日の使用回数減っちゃいますよ〉


 んん? ちょっと待ってくれよ。俺がお前を経由して魔眼を使うと、俺とお前の分の魔眼に必要な魔力を消費するってことか


〈ええ、そうですけど?〉


 …………なあ、俺って無駄に魔力を消費してないか?


〈無駄とは失礼な。私が先に使って、その後主に都合のいい魔眼を提供する事で! 本当に無駄な魔力の消費を抑えているのではないですか〉


 モノはいいようである。結局俺が魔眼を使う時は二人分の魔力が必要って事だ

 共有眼を使って複数個の魔眼を使った場合どうなるんだ?


〈私の共有眼の魔力×主が出す眼球数+使用魔眼一つ一つの魔力。って所ですかね〉


 馬鹿にならない消費量。通りで十個同時使用が限界な訳だ。つうか、リンクした眼球も共有眼分の魔力消費すんのかよ!


 スキルの燃費の悪さに悲しくなった所で、話が逸れた事を思い出した

 範囲内であれば好きな所を見れる魔眼・千里眼。一人一人の顔が認識できるんだからついでに領主様とやらがどんな顔なのか見ておこう


 あの緑色の髪した人っぽいな。人ってか魔族

 髪が緑色は珍しい。魔族の髪は黒、白が殆どで、稀に緑や赤といった色の者もいる感じだ

 おかっぱ頭に緑の髪。前頭部から二つの角が上へを向かう様に湾曲している。……角が生えてる魔族もいるんだね

 細マッチョな爽やか系のイケメン。身長は百八十程。随分と若い領主だな二十代後半くらいだろう


 彼の左右後ろに魔族がいる。三人ともタイプが違う

 左にいるのは人間と形が変わらないタイプ。メイド服を着ている

 右にいるのは後頭部が肩甲骨まで伸びているタイプ。腰に剣を吊っていて、学ランの様な服を着ている

 後ろに控えるのは二頭身タイプだ。ゆったりとした服を着ていて眼鏡をかけている


 因みに領主は、なんていうかアラビア風服装をしている。綺麗に割れた腹筋を見せつける様なシャツに七部の短いジャケット、灰色のズボンという格好だ


 領主の演説が終わる。それと同時に数人の子供が彼を囲む。辺りの魔族はお祭り騒ぎだ。えいえいお〜! っと皆で掛け声をあげていた

 そんな中でも聞き取れる俺の聴覚に感謝


『まおーさま。ぼくたちも戦いたい』

『街を守りたいんだ』

『みんなの気持ちはありがたい。が! 君たちはまだ、守られる側だよ。ボク達、大人に任せておきなさい』


 そう領主が言い聞かせて渋々子供達は帰っていく


〈主〉


 全魔眼。言いたい事は解るよ


〈いい魔族ですね〉


 そこじゃないと思うの。子供達のいった言葉の方を気にして欲しいの


〈まおーの件ですか? こんな街に魔王がいる訳ないじゃないですか。来年には戦争の最前線決定の地ですよ?〉


 む、そういわれると確かに


「最前線に魔王が領主の土地なんてある訳ないか」


 演説が終わると自然と人が散っていく。俺の横を通る魔族は一瞬俺を見て驚くが、これを予期して今は耳を出している。すれ違う魔族は安心した様に通り過ぎていった


 千里眼で見なくても遠くに領主がみえる様になった


「ん?」

〈どうかしましたか?〉


 やばい。目が合った。めっちゃ笑ってる


〈どうします?〉


 なんだかよく解らないけど、危機とは違う嫌な予感しかしないので、逃げます

 領主に背を向けて歩き出す

 

 

 

 勢い良く歩き出し過ぎて人にぶつかった。かなりガタイのいい人だったようで、俺の方が弾き飛ばされる


〈え?〉

「いてて、ごめんなさい前を見てなくて」

「いやいや、こちらが悪いんだよ」


 顔の前に差し出された手を取る。顔を見ると二本の角の生えた緑の髪を持つ魔族がいた


「はい? 領主様?」


 領主の顔を見てから後ろを見る。さっきまで領主が居た所には誰もいない

 え? なに。今いる場所からさっきまで領主がいた位置は大分離れてるよ。手を前に出した時の親指と、領主様が同じ大きさになる距離だよ?


〈測定不能測定不能。鑑定眼による測量は不能です〉


 全魔眼が淡々とそんな事を告げてきおった。今いわれても困る


「なんだ君。濡れているじゃないか。丁度いい。ボクはこれから家に帰るんだ。君も一緒に来たまえ」

「いえ、俺はこれから予定があるので遠慮させていただきます」

「まあまあ、いいじゃないか。領主の家なんて滅多に入れないぞ! いい経験にもなるだろう。おいで」


 おいでと言いつつ領主は俺を持ち上げる


「おや? 主様。誘拐ですか?」

「おいレティ。人聞きの悪いことを言うな。これは保護だ」


 いや、誘拐だろ

 今、領主に話しかけたのはメイド服を着た魔族だ。その後ろから他の二人もついてくる

 俺は有無をいわさず連れて行かれた





 リプトン様のミルクティーを試験勉強中に零し、PCから甘い匂いがします


 いい香りを体感しながら書いたら、駄文が更に駄文と化した

 ごめんなさい

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