Present.4 【今時語で戦争?】
「かなめさん、かなめさんは、他人のために命を絶つことが出来ますか?」
外は歩いていられないほど蒸し暑い(部屋は冷房★)その日に、快は冷たい言葉を出した。
「…は?なに、いきなり。」
俺はマンガにおとしていた目を、快に向けた。
「いや、例えばですよ、例えば。参考に聞いてみただけです。嫌なら何も言わなくて結構です。」
「・・・俺は・・・他人のためになんかに命を捨てることはできない。でも、俺の命で多くの人が助かるときが来るのだとしたら、俺は喜んで自分の命を捨てると思う。」
自分なりに恥ずかしいことを言ったなぁ・・・。
少し感心している俺の頭上に、氷の塊が落ちてきた。
「そんな日、一生無いと思いますけどね♪」
その言葉は、いまが夏とかそうゆうの関係なく俺の心に重く圧し掛かった。
俺の心はピュアなんだよ。
きっと。
「そっちから聞いておいて、それは無いだろ・・・。」
俺の声に、快は今度は何も言わずに、にんまりと笑って、俺が読んでいたマンガを取り上げて読んでいた。
(酷っ・・・!)
そして、目線をマンガから外さずに呟くように俺に言った。
「僕は、家族のためになら死ねますよ?勿論、かなめさんのためでも。」
そう呟いた言葉が、俺には意外なものだったため、俺は一瞬固まったが、直ぐにからかってやろうと言った。
「じゃあ、しんでみろよ。俺のために。」
冗談半分で言った俺の言葉に、快はすんなりと返した。
「はい、いいですよ。」
…即答かよ…。
「・・・お前、KYだろ。」
いまどき(俺が言うのもおかしいが・・・)の言葉を快に言った。
たぶん意味が通じるかと思ったのだが・・・。
「・・・?・・・!ああ、『クソ汚れた野蛮な貧民』、のことですか??」
・・・ダメだった。何気に酷いこと言ってるし・・・。
「全然違ぇよ!!『空気読めない』奴ってことだッッ!!なにお前、さらりと酷いこと言ってんだぁぁっ!!貧民なめんなよっ!これでも頑張って生きてんだよぉぉぉ!!!!」
「ほぅ、この時代のギャルという愚民は、そういう言葉を開発していたのですねっ!」
快は話をそらすように言った。
「・・・お前、前々から思ってはいたが、文がおかしいぞ・・・。」
ってか、愚民って言うな・・・。
「では僕の時代は、今ISというギャル語が流行っています!そうですねぇ、かなめさんみたいな人のことです♪」
「・・・イケてる秀才・・・?」
かすかな期待をのせて(いや、のせてないけど)、俺は言ってみた。
「いえ、まったく違います。かなめさんは、何処を如何見ても、イケてないですから、大丈夫です。」
うん、それ、全然フォローしてないよ、むしろ傷つけてるぐらいだから。
「じゃあ、なんだよ。」
頬に怒りマークをつけて、俺は聞いた。
「『いつまで経ってもモテない、とても可哀想な庶民』、のことです。」
・・・おい待てコラ。完璧流行るわけないだろ、そんな言葉。
ってか流行ってほしくないし・・・。
「お前、俺のことがそんなに可哀想に見えるのか?モテなそうに見えるのかっ?!」
叫ぶように言った俺の声に、快は五月蝿そうに耳を塞ぎながらため息をついた。
「だってかなめさん、いえ、お祖父ちゃんは、」
いえ、おじいちゃんは、って文はいらないから。
「祖父ちゃんゆうなや・・・。」
快は、呟いた俺の声を聞こえないフリをして続きを言った。
「・・・かなめさんはのどに餅を詰まらせて即死してしまったのです!」
・・・俺、一体これからどんな人生送っていくんだろう・・・。
「分かった、俺は年寄りになったら、一生餅くわねぇから・・・。」
「いや、僕は全然困りはしませんが。」
っるせぇぇ!!
少しぐらい同情してくれよっっ!!
とまぁ、心の中で号泣(ある意味)寸前だった俺は、
溜まりに溜まってしまった宿題があることに気づき、快に言った。
「お前、頭いいんじゃないか?だったら手伝ってほしいんだけど・・・。」
「いくらで手をうちますか?」
目を光らせて聞いてきた快の耳もとで、俺は怒鳴ってやった。
「居候の身でなにを言うかっっ!!!」
その声に圧倒された快は、渋々俺の宿題を手伝ってくれた。
・・・わざと間違えてなけりゃいいが・・・。