Present.3 【証拠写真】
「ちょっと待て、俺はまだピチピチの十五歳なんですけど・・・。」
冷静になろうとしている俺に向かって、快は突っ込みようの無い突込みをした。
「ピチピチってジジイくさいからやめてくれますか?」
・・・すいませんでしたねっっ!!(怒)
「まぁとにかく、僕はなんと!六十年後の世界からやってきたネコ型ロボットなのですっ♪」
「ドラ●も●かよっっ!!しかもお前どう見てもネコ型じゃねぇだろっ!」
「いやだなぁ、六十年後ジョークですよ。」
そんなジョーク、聞いたこと無いから。
ふつ〜に・・・。
「あ、でも、本当に六十年後からやってきたんですよ。このタイムマシンを使って。」
そう言って、れいのUFOを指差した。
それ、タイムマシンだったの…?
そんな疑問を浮かべる俺を明らかに無視して、快は必死に説明していた。
「お祖父ちゃんが結婚して、そして生まれた赤ちゃんが僕のお母さんで、そしていま、僕がこうしているわけでして・・・。」
明らかに分かり辛い説明ありがとう!(説明している本人もハテナを浮かばせてるしね)
頭を抱えて聞いていたいよ。
「いや、もういいし。」
俺は快に強く言って、説明を止めさせた。
(半ば強制終了)
「なんとなく分かった。」
そんな分かりやすい嘘をついて、俺は快に質問した。
「で、お前、最近流行ってるの?そうゆーイタズラ。」
俺は呆れて快に言った。少なくとも、このときは全く信じてはいなかったのだった。
「もう、何事にも諦めて信じることが大切ですよ?疑っていると、将来よどんでしまいますから。」
「悪かったな、疑ってて。当たり前だろ、信じられっかコノヤロウ。」
そう俺が言うと、快は微かに方のところに怒りマークをつけて、UFOの中に戻った。
どうする気かと思えば、快は一枚の写真を俺に渡した。
「はっっ!!!コレハッッッ!!!!」
その写真には、一人の小さな幼児がいて、真っ裸で部屋の中を走り回っている光景が写しだされていた。
目ん玉が飛び出そうになった。
なんとその写真は、俺の年少のころの写真だったのだ。
しかも、一枚しかないはずの、赤いアルバムの中に封印されていたはずの、あの恥ずかしい写真が、知らないはずの少年に持たれていたのだ。
驚かないやつのほうが凄いと思わないか?
「何でお前、俺の写真をぉぉっ!!」
取り返そうと思って手を伸ばしたが、直ぐに叩かれた。
「かわいいですよね〜。お祖父ちゃんもこうゆ〜時があったんだね。」
何故か感心した口調で言っている快に、俺は生まれてはじめて『恨んでやる』という気持ちを覚えた。
「てめぇ、俺を怒らせに来たのか・・・?」
てかもう六十年後だが一〇〇年後だがどうでもいいから、早く帰れ。
「まぁたしかにそれもありますが・・・。」
おい、あるのかよ…!
「僕は忠告しに来たのです。お祖父ちゃんに。」
その言葉を発したときの快の表情があまりにも真面目で、一瞬戸惑った。
「忠告・・・?」
ごくりと音を立てて、唾は喉を静かに流れていった。
(途中で止まらなくてよかったよ。)
「・・・まぁこんなアッツイ場所で話すのも何なんで、かなめさんの家にレッツラゴ〜★」
「え、ちょっと待って、このタイムマシン(?)はぁぁぁぁーーー!!!??」
という流れで、いま快は居候の身として俺の部屋に居座っている。
(生意気でムカツクが、仕方ない。)
快が言うに、やつは本当に俺の孫らしい。
俺が結婚して出来た娘の、息子だそうだ。
もう訳がわかんなくて、俺はこの数日間、セミの激しい合唱も耳には入らなかった。
にしても、なんでタイムマシンがあるんだろう・・・。
俺がジジイになっている時代には、もう文化がかなり進んでいるってことなんだな・・・。
「・・・いや、まぁ、信じたって言えば信じたけど、信じてないと言えば信じてない。」
〜現在に戻って、今・・・。
「優柔不断な人ですねぇ〜。そこはもう余計なこと考えないでスパッと認めちゃいましょうよ。」
いや、君が俺を悩ませているんですが・・・。
「だ・か・ら、僕は未来からやってきたネコ型ロb・・・」
「六十年後が世界に変わってだけでしょ!!お前人間だろ、ロボットじゃあねぇだろ。」
これじゃ俺ら、売れない漫才師みたいじゃあねぇか。
「なに本気にしてるんですか。そんなのにイチイチ突っ込んでたら、将来きっとハゲますよ〜?」
「大きなお世話だぁぁ!!」
ちゃぶ台返しをしていたお父さんたちの気持ちが、今なら分かる気がする…
(いつの時代だ・・・。)
「―で、お前どうやって六十年まえに来たわけ?」
ある日の俺の質問に、快は不敵に笑って、いつの間にか俺の部屋に持ち込んでいた、
あのUFO(本人曰くタイムマシン)を指差しているだけだった。