覚醒(めざめ).8
登場人物
妹:草露 りんご
HSU急行部隊隊長:高津 茂
HSU急行部隊調査班の一人:五徳 永
HSUオペレーター:美月 鏡
ヒーローNO.0006:ラスティング
ヒーローNO.0006について僕の知る限りでは、強力な兵器を内蔵したスーツを着用した純戦闘型のヒーローだ。
彼は主に、戦闘禁止空域外での作戦行動が多く、滅多に人家のある場所で行動することはない。
高津もそれを解っているからこそ、少しのためらいが生まれたのだろう。
「それでは彼に回線を繋いでくれ」
だが、HSUの義務として、または責任ある立場の人間として、ヒーローへの依頼及び報告は避けられなかった。
『了解しました』
『久しぶりだね高津。今日はどんな凶悪との戦いを楽しませてくれるんだい?』
通話の相手が返事をしてからすぐ、ラスティングがご機嫌なしゃべり方でそう言った。
「お久しぶりですラスティ。申し訳ないが、今日は『罪人』の捕獲依頼だ」
彼の事を愛称で呼ぶことができるのは、HSUの中でも限られた人間だと言われている。
『へぇ~、俺っちに『罪人』の捕獲をしろってか?』
高津はその限られた人間の一人のようだ。
「……はい」
『ふっ……。知っているか?『罪人』は悪なんだぜ。俺たちは悪を滅ぼすために存在するヒーローなんだ。悪は滅ぼそうとも、捕まえるなど論外だ』
彼らヒーローにとって悪は絶対の敵であると、この世界に定められた法律が植えつけられている。
彼の行動や発言は法律的には正しいものであるが、人情を重んじる人間にとっては歯がゆいものであった。
「しかし……」
『とりあえず、写真を送ってくれ。対象はこちらで排除してやる』――ブツンッ。
ラスティングは一方的に回線を切断した。
「高津さん……」
高津と五徳はHSU内でも特別な人間で、僕たち『罪人』に対しても分け隔てなく良くしてくれた。
「我々に彼の行動を制限する権利はない。……我々には、りんごちゃんが無事であることを祈る事しかできない!!」――ガッ!
「……」
僕が彼らと同じ立場であったなら、きっと……
同じ選択をしたに違いないだろう。