たぶん、規格外②
カリーナの能力?
やっぱり悪役令嬢、つまりラスボスだけあってカリーナちゃんは能力値が高いのかな?
カリーナちゃんについて知っておきたいことが多すぎるけど、聞く暇がなさすぎる。
「カタブレア公爵の仰ることも分かります。しかし、現状私の方からは何とお答えすることもできかねます。」
「ああ、そうだな、すまなかった。私も王に意見したいわけではないのだ。」
「いえ、申し訳ありません。引き続きご令嬢には魔力制御のピアスを肌身離さず身につけていただき、学園でも変わらず過ごしていただきたいのです。」
「……仕方がないことだな。カリーナ、よいな。お前にも不満はあるだろうが変わらず過ごすのだ。それが国のためなのだから。」
「国のため……。」
スケールが大きくないか。カリーナちゃんの魔力はどうなっているの?
つまりこの力を野放しにしたくないから学園には在籍しろ、けれど力を誇示するな、ってことよね。
なんて勝手だ!って切り捨てて学園を辞めてもよさそうだけど、それって死亡フラグが立ちそうじゃない……?国をあげてカリーナ一人を討ちにきてもおかしくなさそうな規模の話……。
であればここは従順に。
「もちろん、国のためですもの。私カリーナ、不満なんてございません。おっしゃる通りにいたしますわ!」
カリーナの言葉を聞いてチェルティ団長は胸を下ろした。安堵したような表情を少しだけ見せ、また仕事顔に戻る。
公爵はうんうん、と頷くと、それでは次の予定があるからと席を外した。
「カタブレア公爵令嬢のご理解とご協力に誠に感謝いたします。ネリオドラノ公爵家にはまた監査も入ると思いますので……。」
「監査?」
「はい、ネリオドラノ家の次男に関しまして、日頃の素行の悪さに限らず、何やら良くない噂が立っておりましたので今回公爵家自体に監査を入れることになりました。」
カリーナちゃんの元婚約者、素行悪かったんだ。私も前世で碌でもない男と付き合ってたことあるもんな。そして向こうの浮気が原因なのにこっぴどく振られたな。とことんやってくれ!
「とことんやってくださいませ!」
気合いを入れた返事に、チェルティ団長が少し驚き表情を崩す。
カリナは堅物のように見えた相手の表情が変わる面白さを覚えてしまい、少しいたずらすることにした。
「ところで団長様、私、私室に男性を招いたことなどありませんでしたから、団長様が記念すべき一人目になりましたわ。」
チェルティ団長の顔が固まる。
壁際の騎士たち数名は目を見開く。
「あ、でもお仕事でいらしてたお医者様も男性だったわ。団長様もお仕事でいらしたんですものね。やっぱりまだノーカウントですわ。」
「ご、ご令嬢、私は先ほどの無礼の他に何かご機嫌を損ねるようなことをしてしまいましたでしょうか……。……いえ、先ほどの無礼はよっぽどのものでしたね。申し訳ありませんでした。ぜひお詫びをさせてください。何かご希望に合うものが用意できれば良いのですが……。」
あ、カリーナちゃんの魔力が強すぎてビビらせすぎてしまっている。これはやりすぎた。
「ではネリオドラノ公爵家について、団長様が責任を持ってしっかりご対応お願いいたしますわ。私のために、心を込めて、ご対応くださいませね。」
「かしこまりました。カタブレア公爵令嬢のために。」
「それから、」
「それから?」
「お近づきの印に私のことはカリナとお呼びください。ぜひ今後も団長様と仲良くさせていただきたいですわ。」
「よろしいのですか。カリーナ様……ではなくカリナ様ですね。では私のことはルイスと。」
「よろしいの?ではルイス団長、今後もよろしくお願いいたしますわ。」
おもしろいおもちゃを見つけた……と思ったものの、あまりに怯えるので自分の庇護下に入れたくなってしまった。団長の方が年上だというのに。
帰っていく甲冑、もといルイス団長を見送り、カリナはレティに問いかける。
「レティちゃん、魔法を思いっきり練習できるようなところはあるのかしら?」




